輸入食品卸が専門飲食店を新規開拓する方法|韓国・ベトナム料理店に選ばれる提案と接点の作り方

輸入食品卸が専門飲食店を新規開拓する方法|韓国・ベトナム料理店に選ばれる提案と接点の作り方

韓国やベトナムなど海外の食材を輸入・卸している会社で、専門料理店の新しい取引先が増えないという悩みを抱えている方もいらっしゃると思います。円安や輸送費の上昇で仕入れ値が上がる中、価格を下げて取引を取りに行けば利益が残りません。一方専門店の側も、本場の味に欠かせない食材が欠品したり、急に値上がりすることに困っています。

専門店は、単価の安さよりも「本場の味を切らさず、同じ規格で出し続けられるか」を見て仕入れ先を選んでいます。そのため輸入食品卸の提案では、欠品や価格改定が起きたときの備えと、その食材を店のどの料理に使えるかを先に示すことが中心になります。

本記事では、専門飲食店が輸入食材の仕入れ先に求めること、輸入食品卸が示せる強みの整理の仕方、韓国料理店・ベトナム料理店を例にした料理ジャンル別の提案、取引のない専門店と接点を作る方法について解説します。

専門飲食店が輸入食材の仕入れ先に求めること

専門飲食店が輸入食材の仕入れ先に求めること

本場の味を出す専門店にとって代わりの利かない食材がある

専門料理店には、その国ならではの味を目当てにお客さんが来ます。ベトナム料理のヌックマム(魚醤)や、韓国料理の粉唐辛子・コチュジャンのように、国産品や別の似た調味料に替えると味が変わってしまう食材があり、店によっては使う銘柄まで決めています。

こうした食材は、国産の食材に比べて入荷が不安定になりやすい品目です。輸入の遅れや現地の供給事情で欠品することがあり、為替や輸送費の動きで仕入れ値も変わります。代わりが利かない食材ほど、店にとっては「今より安いか」より「切らさずに届くか」が仕入れ先を決める材料にもなります。

なお、国内には今回例に上げるベトナムや韓国の出身者も多く暮らしており(2025年末の在留外国人数は、ベトナム国籍が681,100人、韓国国籍が407,341人)、本場の味を知るお客さんがいることも、専門店が食材にこだわる背景のひとつです。

参考:出入国在留管理庁「令和7年末現在における在留外国人数について」

専門店が仕入れ先を比べるときに確認していること

専門店が輸入食材の仕入れで困ること、確認していること、輸入食品卸がそれに対して卸業者側が示せるメリットを整理すると次のようになります。

専門店が確認していること店がそれを気にする理由輸入食品卸が示せる材料やメリット
本場の味・規格が変わらないか別の銘柄に替わると料理の味が変わる原産国・メーカー・規格、サンプル
欠品しないか、欠品したときにどうなるか輸入の遅れや現地の供給事情で入荷が止まることがある在庫の持ち方、代替品の候補、欠品が見込まれるときの事前連絡
急に値上がりしないか為替や輸送費の変動が仕入れ値に響く価格改定の頻度と、改定を伝える時期の目安
少量で頼めるか、使い切れるか保管場所が限られ、賞味期限内に使い切る必要がある最低発注量、小分けの規格、納品時の賞味期限の残り日数の目安
自分で輸入するより手間が減るか輸入の届出や安全確認、日本語の表示は輸入者の責任になる自社が輸入者として手続きと確認を担い、日本語の規格書をそろえていること
メニューへの使い方を相談できるか新しいメニューを考える時間が取れない使い道、調理例、他店での使われ方

専門店は、複数の仕入れ先を比べたうえで取引先を決めることがあります。卸としては相見積もりを取られる前提に立ち、価格以外に比べてもらえる材料を用意しておくと、「今の業者と何が違うのか」に答えやすくなります。

輸入食品卸が専門店に示せる強みを整理する

輸入食品卸が専門店に示せる強みを整理する

扱う国・料理ジャンルと品揃えの専門性を示す

幅広い品目をそろえた総合的な品揃えよりも、「韓国食材」「東南アジア食材」のように国や地域を絞った品揃えのほうが、専門店にはどの料理に使える卸業者なのかが伝わりやすくなります。取引先に示すときは、扱っている国と料理ジャンル、主なメーカー・ブランド、原産国を一覧にしておきましょう。

国内の他の業者ではあまり扱われていない調味料やスパイス、特定の地域の食材は、専門店に話を聞いてもらうきっかけになります。産地や製法、現地でどう使われている食材なのかも説明できると、店側はメニュー表での記載や接客の際に伝える材料としても使えます。

欠品・価格改定への備えを営業の段階で伝える

輸入食材は、為替や輸送費の変動が仕入れ値に直接響きます。帝国データバンクの分析でも、飲食料品卸売で価格転嫁が進まない背景のひとつとして、円安による輸入食材の値上がりが挙げられています。

参考:帝国データバンク「『飲食料品卸売』の倒産動向(2026年上半期)」

欠品や値上がりをゼロにすることはできませんが、専門店が知りたい「もし発生したときにどうなるか」を対策し、仕組みを伝えることが重要です。営業の段階で、次の4点を自社の実態に合わせて伝えます。

  • 主力品の在庫をどのくらい持っているか
  • 欠品が見込まれるとき、いつ・どの方法で連絡するか
  • 代わりに提案できる品(同じ国の別メーカー、近い規格の品など)
  • 価格を改定するとき、どのくらい前に知らせるか

「欠品させません」「価格は据え置きます」と言い切るより、もしものときの手順を具体的に示す方が、店側は仕入れ先を切り替えたあとの状況を想像できます。守れない約束をすることは、実際に欠品や値上げが起きた時点で信頼を失う原因になります。

日本語の規格書と表示をそろえて採用を判断しやすくする

販売目的で食品を輸入する時は、食品衛生法に基づいて検疫所への届出が必要で、その食品が安全かどうかの確認も輸入者が責任を持って行います。店側が自ら直輸入すれば、これらを店自身が担うことになります。自社で輸入している卸業者であれば、その手続きと確認を引き受けていること自体が、店にとっての価値です。

表示の面では、輸入された加工食品には原産国名の表示が必要です。業者間の取引では、規格書や納品書で情報を伝える方法も認められています。(参考:消費者庁「新たな加工食品の原料原産地表示制度について」)

実務では、原産国、原材料、アレルゲン、賞味期限、保存方法を日本語でまとめた規格書を品目ごとに用意することは、採用を判断しやすくなります。外国語のラベルだけでは、お客さんからアレルゲンを尋ねられたときに店側が正確に答えられない事もあるので、スムーズに回答できるよう店側に資料を共有する事自体が付加価値となります。

料理ジャンル別の提案の組み立て方

専門店への提案は、品目をその店での用途を共有することでメニューを組み立てやすくなります。毎日使い、切らすと営業できない調味料や基本の食材は、安定供給と価格を軸に提案します。一方、他店との違いを出したいときに使う食材やスパイスは、どのメニューにどう使えるかを軸に提案します。定番や差別化を図る材料どちらの品目でも、提案には次の情報を共有しましょう。

  • その店のどのメニューに使えるか
  • 1回(1皿)あたりの使用量の目安
  • 規格(容量・荷姿)
  • 保存方法と開封後の扱い

以下では韓国料理店とベトナム料理店を例にしますが、タイ料理店など他の料理ジャンルでも同じ考え方で商品提案を組み立てることができますので、是非参考にしてください。

韓国料理店:毎日使う調味料を軸にし、話題の食材は入口にする

韓国料理店で使用量が多いのは、コチュジャン、粉唐辛子、テンジャン(韓国味噌)などの基本の調味料です。粉唐辛子には粗挽き・細挽きなど挽き方の違う規格があり、キムチ用か、スープやたれ用かで使い分ける店もあります。まず店が今使っている銘柄・規格と月あたりの使用量を聞き、同等の規格の品を月あたりの金額で比べられる形で示すことが基本の提案です。

店が新しいメニューに取り入れたい食材や季節の限定品は、話を聞いてもらう入口として使えます。例えば新しいソースやシーズニングを紹介し、試しに使ってもらう中で、毎日使う基本の調味料の見直しへと話を進めます。取引が続くかを左右するのは、入口の食材よりも、毎日使う品目の安定供給と価格です。

ベトナム料理店:ヌックマム等の調味料とハーブ類の供給体制を分けて示す

ベトナム料理店の味の決め手になるヌックマムは、メーカーや産地によって塩気や香りが異なり、銘柄を決めて使っている店もある調味料です。同じ銘柄を切らさずに届けられることを示し、やむを得ず別の銘柄に替える場合は、味の違いを事前に伝えてサンプルで確かめてもらう段取りを説明しておきます。ライスペーパーやフォーの乾麺など、輸入品を使うことの多い品目も同じ考え方で提案できます。

一方、パクチーやレモングラスなどの生のハーブは、国内で栽培されているものもあり、生の植物を輸入する場合は植物防疫の検査対象になります。輸入で安定して届けられるかは品目や産地によって異なるため、調味料とは分けて、自社が実際にどこから調達しているのか(または扱っていないのか)をそのまま伝えます。扱っていない品目は、無理に取り扱うと言わないほうが、あとで欠品による信頼の低下を招きません。

仕込みを減らしたい店には合わせ調味料・冷凍スープを提案する

フォーのスープやチゲの味付けなど、一から作ると仕込みに時間のかかる工程には、業務用の冷凍スープや合わせ調味料が使えます。専門店は味へのこだわりが強いため、店の料理をすべて置き換える提案より、時間のかかる工程だけを置き換え、仕上げの味付けは店で調整できる使い方を示すほうが受け入れられやすくなります。サンプルを渡す際は、店の味との違いと、味を足すときの調整方法をあわせて伝えましょう。

仕込み時間や廃棄を含めて1食あたりのコストを示す計算の考え方は、以下の記事でも解説していますので参考に活用ください。

食品卸が飲食店の新規開拓で価格競争を抜け出す方法|安さを生かす提案と接点の作り方

取引のない専門店と接点を作る方法

料理ジャンルと地域で営業先を絞り、FAXで効率よく案内する

営業の際、飛び込み営業やテレアポなどが思い浮かびますが、既存顧客との対応と並行して新規開拓を行うには人手や工数がかかります。そんな中、開業したばかりの企業や営業マンを雇っていない企業でも対応できる方法の一つがFAXを営業に活用する方法です。店が不安に思いやすい品質管理や原産国の情報を紙面で記載し、配送ルート圏内の対象店舗を絞り込んだ営業リストに向けて配信します。訪問に伺う時間や門前払いを防ぎ、一瞬で広範囲へ自社を発信することができる点が魅力です。

参考事例になるのが、ベトナムにあるグループ工場で製造した冷凍カツを国内で業務用に販売する神奈川県の食品会社の事例です。この企業は、取引経験の無いパン屋に向けて新規営業を目的としたFAXを配信し、50件との契約を獲得しています。実際の紙面も公開していますので参考に活用ください。

冷凍えびカツの食品会社がパン屋へFAX営業|8,000件配信で反応率1.50%、50件の契約につながった事例

検索で仕入れ先を探している店に見つけてもらう

仕入れ先を探している店長や発注担当者は、自らインターネットで業者を探しています。「輸入食材 卸」「タイ食材 業務用」といった言葉で検索すると、検索上位の大半を輸入食材卸の会社のサイトや、飲食店向けの仕入れ先を探すサイトが占めています(2026年9月時点)。検索される数は多くないものの、こうした言葉で探している人は、明確な目的があり新しい仕入れ先を積極的に探している方と考えられます。

そんな方たちに向けて、国・料理ジャンル別に取扱品のページを分けて仕入れに関する知りたい情報(原産国、メーカー、規格、最低発注量、配送エリア、サンプルの申込方法)を詳しく載せましょう。輸入食材は「ヌックマム」「ニョクマム」「フィッシュソース」のように呼び方が複数ある品目も多いため、現地での呼び名と日本での一般的な呼び方を併記しておくと、店がどちらで検索しても見つけやすくなります。日本語の規格書を用意している品目や、欠品時の連絡方法を載せておけば、店は問い合わせる前に取引できる相手かどうかを判断することができます。

自社サイトの取扱品や規格の情報を充実させ、Google検索だけでなくAI検索でも仕入れ先を探している専門店に見つけられ、問い合わせを獲得できるサイトに改善したい場合は、Web集客のサービスの導入も一つの手段としてあります。自社での対応が厳しい場合は取り入れてみましょう。

まとめ

専門飲食店は、輸入食材の仕入れ先を単価だけで選んでいるわけではなく、本場の味に欠かせない食材を切らさず、同じ規格で届けてもらえるかを見ています。輸入食品卸の提案では、欠品や価格改定が起きたときの手順と、日本語の規格書、そしてその食材を店のどの料理に使えるかを、価格より先に示すことが取引の入口となります。

まずは、自社が強みを持つ国・料理ジャンルと、配送できる地域を決め、営業先を絞り込んでみることから始めましょう。営業方法とあわせて、主力品の在庫の持ち方、欠品時の連絡方法、価格改定の連絡時期、サンプルを渡す条件などを顧客対応に関する方針も社内で共有することで、担当者が違っても同じ説明で商談を進めることができます。

もし、人手や工数に悩みながらも取引のない専門料理店との営業機会を獲得したい場合は、営業先リストの準備、FAX紙面の作成・配信までを代行するFAX営業代行をご活用ください。

上部へスクロール