リフォーム営業のコツ|受注が安定する経営の考え方について

問い合わせや紹介を待つ営業が中心で、月によって受注件数が大きく変わる。相見積もりになると、値引きをして受注を決めることもある。社長自身が現場と営業を兼ねている中小企業のリフォーム会社では、こうした悩みを抱えていないでしょうか。

本記事では、個人施主から選ばれる営業のコツと、受注の波を小さくする「受注経路」の増やし方、少人数でも営業の質を保つ仕組みづくりについて解説します。

リフォーム会社の経営が営業で左右される理由

施工の腕があっても、仕事の取り方が受け身のままだと経営の見通しは立ちにくくなります。まず、営業のあり方が経営にどう影響するのかを確認します。

受注が単発中心で、売上の見通しが立ちにくい

個人施主のリフォームは、キッチンや浴室の交換、外壁塗装など、一度工事を終えると同じ住まいから次の依頼が来るまでに間隔が空く場合があります。そのため、新しい施主から継続して仕事を得る必要があり、受注は単発の積み重ねになりがちです。

問い合わせや紹介を待つ営業が中心だと、その月に何件の相談が来るかを自社でコントロールしにくくなります。その結果、月ごとの受注件数に波が出て、職人の手配や資材の準備、資金繰りの見通しが立てにくくなります。

値引きで受注すると利益が残りにくい

相見積もりで金額だけを比べられると、受注するために値引きという方法を選びたくなります。しかし、工事の内容や材料、職人の手間が変わらないまま値引きをすれば、その分はそのまま粗利から差し引かれます。

値引きでつかんだ受注が続くと、件数は確保できても手元に利益が残りにくくなります。営業を見直すことは、件数を増やすだけでなく、適正な価格で選ばれる状態をつくることにもつながります。

個人施主から選ばれるリフォーム営業のコツ

施主が依頼先を決めるまでには、問い合わせ、ヒアリング、現地調査、見積・提案、契約から引き渡しという段階があります。各段階で施主が何を見ているかを意識すると、自社の営業のどこを改善すべきかが見えてきます。

問い合わせへの初回対応を早くする

施主は、複数のリフォーム会社に同時に問い合わせている場合があります。返信や訪問日程の提示が遅れると、先に対応した会社との話が進み、比較の対象になる前に候補から外れてしまうこともあります。

すぐに日程を決められない場合でも、「問い合わせを受け取ったこと」と「いつまでに連絡するか」を先に伝えるだけで、施主は安心しやすくなります。電話・メール・問い合わせフォーム・FAXのどれで受けても、受付時に聞く項目(工事したい箇所、建物の種類、希望時期、連絡しやすい時間帯など)を社内基準として設けておくと、誰が対応しても同じ水準で次の段階へ進めます。早い初回対応は、「この会社は話を進めてくれそうだ」という最初の安心材料になります。

要望の背景まで聞き取る

「キッチンを新しくしたい」という要望の背景には、「収納が足りない」「掃除がしにくい」「家族が増えて手狭になった」など、施主ごとの不満や暮らし方があります。要望だけを聞いて設備を選ぶと他社と似た提案になり、比べられるのは金額だけになりがちです。

ヒアリングでは、今の住まいで困っていること、どのような暮らしにしたいか、予算の目安、譲れない点と妥協できる点を聞き取ります。聞いた内容は、提案や見積の説明で「〇〇とおっしゃっていたので、この仕様にしました」という形で反映させます。

自分の話を踏まえた提案を受けると、施主は「この会社は分かってくれている」と感じやすくなります。それが、金額以外で選ばれる理由になります。

現地調査で「任せて大丈夫」と思ってもらう

現地調査は、工事内容を確定させる場であると同時に、施主が会社の仕事ぶりを直接見る機会でもあります。何を確認しているのかを説明しながら進め、気になる箇所は写真に撮って施主と共有すると、調査の内容が伝わりやすくなります。

特に、解体してみないと分からない部分や、追加工事が必要になる可能性がある部分は、調査の段階で伝えておくことが大切です。工事が始まってから想定外の費用を伝えると、トラブルや不信感の原因になりかねません。リスクも含めて先に説明する姿勢は、「この会社なら任せて大丈夫」という信頼につながります。

相見積もりを前提に、見積と提案を分かりやすくする

個人施主のリフォームでは、相見積もりが取られることがあります。比べられることを前提に見積と提案の見せ方を整えておくことが、値引きに頼らないための土台になります。

まず、見積の内訳を分かりやすくし、含まれる工事と含まれない工事を明記します。「一式」の多い見積は、他社の見積と並べたときに内容の違いが伝わらず、総額だけで判断されやすくなるので、何にお金がかかっているかを可視化させることが重要です。

次に、可能な範囲で選択肢を示します。たとえば、標準的な仕様と、要望を多く取り入れた仕様の2案を用意すると、施主は予算と希望のバランスを自分で判断できます。

さらに、金額以外の判断材料を具体的に示します。工期の目安、保証の内容、工事後の連絡窓口、施工を担当する体制などは、施主にとって大切な比較ポイントです。自社がどの工事を得意とし、これまでどのような施工をしてきたかを言葉にしておくと、説明もしやすくなりより内容が伝わります。

金額だけでなく内容で比べてもらえる見積があるだけで、安さで選ばれるのではなく、利用するメリットを感じさせることに繋がります。

契約から引き渡しまでの対応で次の依頼につなげる

契約後の対応は、施主が「次もこの会社に頼みたい」「知人に紹介したい」と思うかどうかを左右します。

工事前には近隣への挨拶を行い、工事中は進捗を定期的に伝えます。予定が変わる場合はわかった時点で即連絡することで、施主の不安を減らせます。引き渡しの際は、仕上がりの確認とあわせて、設備の使い方や手入れの方法を説明しましょう。不具合があったときの連絡先や保証の内容もこの場で伝えておくと、施主は安心して住まいを使い始められます。

工事中から引き渡しまでの丁寧な対応が、次の依頼や紹介を受けるための土台になります。

受注を安定させるために受注経路を増やす

営業の各段階を見直しても、受注のほとんどを一つの経路に頼っていると、その経路からの依頼が減ったときに受注全体が落ち込みます。受注の波を小さくするには、自社の仕事がどこから来ているかを把握し、受注経路を分散することを考えます。 

主な受注経路の特徴は、次のとおりです。

受注経路仕事の入り方価格の決まり方・比較のされ方継続性自社で取り組む際の注意点
自社への直接問い合わせ施主が自社サイトや看板などで自社を知り、直接相談する最初から自社を候補にした相談になりやすいが、他社と比べられることもある工事ごとの単発になりやすい問い合わせを待つ形になるため、件数を読みにくい
紹介・OB客過去の施主からの再依頼や、施主・知人からの紹介信頼を前提にした相談になりやすく、金額だけで比べられにくい関係を保てば次の依頼や紹介につながる可能性がある件数を自社で増やしにくい。名簿の管理と定期的な接点が必要
一括見積・ポータルサイトサイト経由で、複数社に同時に依頼が届く複数社との比較が前提で、価格競争になりやすい工事ごとの単発になりやすい利用料や手数料がかかる場合がある。頼りすぎると利益が残りにくい
元請け・工務店からの下請け元請けから工事を依頼される元請けが示す単価で受けることが多くなりやすい関係が続けば継続的元請けの受注状況に左右され、価格を自社で決めにくい
不動産管理会社・オーナー等の事業者修繕・原状回復などを協力業者として依頼される金額に加え、対応の早さや見積の分かりやすさも見られる協力業者として認められれば継続的な依頼につながる可能性がある最初の接点を自社でつくる必要がある。早い対応を求められることがある

過去1年ほどの受注を経路別に振り返ると、自社がどこに偏っているかが見えてきます。そのうえで、自社の体制で取り組みやすい経路から増やしていきます。

OB客と紹介からの依頼を仕組みにする

OB客は、すでに自社の仕事ぶりを知っている施主です。工事が終わった後も関係を保っておくと、別の箇所のリフォームや、知人への紹介につながることがあります。紹介を仕組みにする第一歩は、顧客名簿を残すことです。施工した場所、工事内容、時期、使用した設備などを記録しておくと、次の提案のきっかけになります。

名簿をもとに、無理のない接点を持ち続けます。工事から一定期間後の点検の案内や、季節に合わせた住まいの手入れの案内など、売り込みではなく施主の役に立つ連絡であれば、受け取る側の負担も小さくなります。

紹介については、引き渡しや点検の機会に「お知り合いで住まいのことでお困りの方がいれば、お声がけください」と一言添えておくと、施主が紹介しやすくなります。

自社サイトから直接問い合わせを受ける

自社サイトを見て問い合わせてくる施主は、一括見積サイト経由の依頼と違い、「最初から自社を候補にした相談」になりやすい傾向があります。 

そのためには、施主が依頼先を探す段階で自社を見つけられ、比較の材料がそろっていることが大切です。施工事例、対応できる工事の種類、対応エリア、工事の流れなど利用する場合に気になる情報をサイト上で具体的に掲載しておくと、施主は問い合わせる前に自社の仕事ぶりを確かめられます。

施工事例や対応内容をWeb上で充実させ、Google検索やAI検索から見込み客に見つけてもらう方法については、以下のサービスでもご紹介しています。

Web集客支援サービス「売り方ドットエーアイ(urikata.ai)」

不動産管理会社・オーナーなど事業者から継続的に受注する

個人施主とは別の受注経路として、不動産管理会社や賃貸オーナー、店舗などの事業者や法人からの依頼があります。賃貸物件では、退去時の原状回復や設備の交換、共用部の修繕などが発生するため、管理会社やオーナーは修繕を繰り返し発注する立場にある場合があります。

事業者から協力業者として認められると、修繕が必要になるたびに声がかかる関係になり、継続的な依頼につながる可能性があります。個人施主からの受注と組み合わせることで、受注の波を小さくする選択肢のひとつになります。

法人が業者を選ぶ際は、工事の内容に加えて、連絡の早さ、見積の分かりやすさ、対応エリアや対応工事の分かりやすさも判断材料になりやすいといえます。退去後の原状回復のように次の入居までに工事を終えたい案件では、返答や見積提出の早さが評価されやすくなります。また、一つの物件での対応が評価されれば、同じ管理会社が扱う別の物件の工事を任される可能性もあります。

新規開拓をする場合、テレアポや訪問営業など色々方法はありますが、既存の施主に対する対応もやはり重要です。両立させたいと考える場合は、FAXを営業に活用する事で、人手や時間を割くことなく広範囲に営業することが可能です。実際に成功した事例を使用した紙面と合わせてご紹介しています。取り入れられる営業方法の一つとして、ご検討ください。

少人数でも営業品質を保つ仕組みづくり

社長が現場と営業を兼ねる会社では、忙しい時期ほど返信が遅れたり、見積の作り方が担当者ごとにばらつき成約率が偏ることもあります。営業の質を各個人の力量に頼りすぎないために、最低限の仕組みを整えることから始めましょう。

対応手順と見積の型を社内でそろえる

前の章で紹介した営業のコツや顧客属性ごとの対応を、社内で共有できる手順として整理しておきます。 問い合わせ時に聞く項目、現地調査で確認する項目と施主に説明する内容、引き渡し時に伝える内容などを一覧にすることで、誰が対応しても抜け漏れを減らせます。

見積も、内訳の書き方、含まれない工事の記載方法、保証内容の説明などをヒアリングの基準として共有しましょう。ヒアリングで使用するテンプレートなどがあれば、担当者が変わっても施主に伝わる情報の水準を保ちやすくなり、見積作成や引き継ぎの手間も減らせます。

案件と失注理由を記録して改善する

問い合わせを受けた案件について、受付日、受注経路、工事内容、見積金額、結果を記録しておきます。表計算ソフトの一覧表でも、どの経路からの案件が多いか、どの段階で話が止まりやすいかを振り返れます。

特に役立つのが、失注した理由の記録です。「金額で他社に決まった」「返信が遅れた」「提案が要望とずれていた」など、分かる範囲で残しておくと、見積や提案のどこを見直すべきかが見えてきます。断りの連絡を受けたときに、差し支えない範囲で理由をたずねてみるのもひとつの方法です。

記録を担当者の頭の中だけにある状態をなくすことで、社長が現場から離れられないときに社内の誰かが営業を続けるための備えになります。

まとめ

リフォーム会社の経営を安定させるには、まず個人施主向けの営業を段階ごとに見直すことから始めます。初回対応の早さ、要望の背景のヒアリング、現地調査での説明、内容で比べてもらえる見積、引き渡しまでの対応のうち、自社が弱いところから一つずつ改善していきます。

次に、過去の受注を経路別に振り返り、偏りを確認して、取り組む経路を一つ選びます。 紹介・OB客、自社サイト、事業者からの受注など、自社の体制で取り組みやすい経路を育てていくことが、受注の波を小さくすることにつながります。

そのうえで、対応手順や見積のテンプレート、案件や顧客情報の管理を整えることで、少人数でも営業の質を保ちながら改善を続けやすくなります。管理会社などの法人に向けた営業方法のノウハウがない、時間や人手がなく手が回らないと言う場合は、営業の外注も選択肢の一つです。既存・新規施主に限らず、価格以上の価値を皆さんに感じてもらえるよう、出来ることから順に取り組んでいきましょう。

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