バイヤー目線で紐解く!加工食品メーカーが取引先に確認されること

自社の加工食品をスーパーなどの小売店やチェーンに扱ってもらいたいが、商談をしても採用が決まらない。そもそも取引のないバイヤー(仕入れ担当者)と話す機会が少ない。そうした悩みを持つ加工食品メーカーの経営者・営業担当者に向けた記事です。

スーパーのバイヤーは、商品のおいしさよりも、売場で売れるか、欠品なく届くか、店に利益が残る価格かを確認します。商談の時間は限られるため、これらに答える資料と取引条件を商談前に揃えておくと、その場で判断されやすく検討頂く機会を増やします。

本記事では、バイヤーが加工食品の仕入れで確認すること、商談前にそろえる資料と卸価格の出し方、チェーン本部との商談の進め方、取引のないバイヤーに自社を知ってもらう方法を解説します。スーパーなどの新規開拓に成功した事例は営業で使用したFAX紙面と合わせて公開しています。

バイヤーが加工食品の仕入れで確認すること

スーパーのバイヤーが新しい加工食品を採用するかどうかは、品質・価格・安定供給の3点を前提に判断されます。ここでは、バイヤーが確認する理由や背景について整理していきます。

品質と表示を書類で示せるか

おいしさはサンプルで伝わりますが、衛生管理や表示の正確さは試食では分かりません。バイヤーは、製造所でどのような衛生管理をしているか、原材料・アレルゲン・賞味期限などの表示が正しいかを、書類で確認します。また、表示ではアレルギー表示の改正に注意が必要です。2026年4月1日の食品表示基準の改正で、表示が義務となる特定原材料に「カシューナッツ」が加わり、9品目になりました。もし、改正の詳細を反映できていない、あるいはサンプルでは把握しきれない場合、店頭の商品で表示に誤りが見つかると、売場からの撤去や回収が必要になり、店の信用にも関わる事を懸念しています。

参考:消費者庁「食物アレルギー表示に関する情報」

売場で売れるか

バイヤーは商品そのものより、仕入れた後に売上や売り場の作業がどう変わるかを見ています。確認されるのは、主に次の点です。

  • 店の客層と価格帯に合っているか
  • 同じ棚に並ぶ商品と比べて、何が違うか
  • 棚に並んだとき、何の商品で、どう食べる・使うのかがパッケージから読み取れるか
  • 売場が抱えている課題に合っているか

同じ棚の商品との違いは、産地や製法で示せます。例えば、いちごジャムの場合、「〇〇県産の完熟いちごだけを使い、少量ずつ炊いている」といった説明があると、大手メーカーの汎用品と並べたときの違いが伝わります。

そのため、売場の課題に合わせた提案も判断材料になります。人手が足りず惣菜の調理に手が回らない店には調理の手間を減らせる商品を、食品ロスを減らしたい店には賞味期限が長く個包装で管理しやすい商品を提案する、といった形です。

欠品なく届けられるか

定番の棚に採用された商品が欠品すると、売場に空きができてしまい、店は売る機会を失います。そのためバイヤーは、通常の発注量に加えて、特売や季節の需要で注文が増えたときに対応できるか、発注から納品までの日数(リードタイム)はどれくらいかを確認します。

さらに、納品方法も確認される点です。スーパーやチェーンへの納品には、各店舗へ直接届ける方法と、チェーンの物流センターへまとめて納品する方法(センター納品)があります。取引先がどちらを求めているか、自社の配送体制で対応できるかを、商談前に把握しておきましょう。

商談前にそろえるべき資料と価格

商談資料で商品と会社の情報を1枚にまとめる

商談では、口頭の説明に加えて、バイヤーが社内で検討する際に見返せる資料を渡しましょう。資料の型として使えるのが、農林水産省のフード・コミュニケーション・プロジェクト(FCP)で作られた「FCP展示会・商談会シート」です。出展者が伝えたい情報とバイヤーが知りたい情報を1枚にまとめるための統一シートで、農林水産省のサイトで様式(Excel)と作成の手引き(PDF)が公開されています。

名前のとおり展示会・商談会向けのシートですが、個別の商談に持参する資料や、問い合わせのあった相手に送る資料としても使えます。記載する内容例は以下のとおりです。

  • 商品の特徴(産地・製法・味、同じ棚の商品との違い)
  • 想定する売場・利用場面・客層
  • 内容量、想定する店頭価格帯
  • 保存温度帯、賞味期限
  • 取引条件(最低発注ロット、納品方法、リードタイム)
  • 会社の情報(製造所、HACCPに沿った衛生管理の取り組み、担当者の連絡先)

参考:農林水産省「FCP展示会・商談会シート」/農林水産省「FCP展示会・商談会シート作成の手引き」

規格書と取引条件をそろえる

取引を始める前には、商品の詳しい仕様をまとめた規格書(商品規格書・食品規格書とも呼ばれます)の提出を求められることが多くあります。取引先の書式での提出を求められる場合もあるため、次の情報をすぐに書き写せるよう、事前にまとめておきましょう。

  • 原材料と配合
  • アレルゲン
  • 栄養成分
  • 賞味期限と保存方法
  • 製造所
  • ケース入数、商品とケースのサイズ・重量

また、スーパーの定番売場ではレジ(POS)で商品を管理するため、JANコードが付いているかを確認されることもあります。JANコードの取得方法は、一般財団法人流通システム開発センター(GS1 Japan)の案内で確認できます。(参考:GS1 Japan「GS1事業者コード・GTIN(JANコード)」)

上記で紹介した項目以外でも、取引条件を商談の場で聞かれてから考えるのではなく、先に決めて資料に記載するか、別途資料を作成しておきましょう。

  • 最低発注ロット(小ロットに対応できる場合は明記する)
  • リードタイム
  • 納品方法(店舗への直送か、センター納品か)と配送できる地域
  • サンプルの送付条件(無償か有償か、数量)
  • 販促物(POP、調理例の写真など)の有無

調理例の写真は、バイヤーが商品の使い方を想像しやすくなるほか、売場の販促物として使ってもらえる場合もあります。ここで上げた取引条件以外にも、商談を重ねるに連れて聞かれやすい項目や情報なども事前準備に反映していきましょう。

卸価格は小売の粗利と物流費から逆算する

卸価格を自社の原価だけで決めると、店に利益が残らない価格になったり、必要以上に安くなりがちです。価格を決める際は以下の3項目を確認しましょう。

  1. 原価を出す:原材料費だけでなく、加工賃、光熱費、包装資材費、物流費を含める
  2. 上限を知る:想定する店頭価格から、小売が確保したい粗利を差し引いた額が、卸価格の上限の目安になる(問屋を通して納品する場合は、その取り分も差し引いて考える)
  3. 利益を確かめる:その範囲の卸価格で、自社の利益が残るかを確認する

発注ロットや納品方法によって物流費は変わるため、店舗直送とセンター納品、ロットの大小など、条件ごとの価格を事前に用意します。センター納品では、取引先によって物流センターの利用料(センターフィー)の負担を求められることがあるため、見積もりを出す前に確認しましょう。また、特売を行う際の価格や数量など、販促への協力条件を聞かれることもあるので、対応できる価格を決めておきましょう。

チェーン本部のバイヤーとの商談の進め方

自社商品の強みを売場の言葉にする

作り手は自社商品の良さを知っているぶん、「良いものだから扱ってもらえるはずだ」と主観で考えがちです。チェーン本部のバイヤーには日々多くのメーカーから提案が届くため、商談の前に「なぜ今、他社ではなく自社の商品なのか」「今の売場にない強みは何か」を、顧客目線で考え、その上で自社商材の強みを売場の言葉に置き換えます。

「創業以来の製法」であれば、その背景によって味や品質がどう安定しているのか、店に来るお客様にとってどんな選ぶ理由になるのかまで説明できるようにしましょう。主観ではない考え方をすることは、新たな強みを発見することにも繋がります。

売場と販売の場面まで提案する

商談での説明は、次の順で組み立てると、短い時間でも伝わりやすくなります。

  1. 売場の課題
  2. 解決策としての自社商品
  3. 導入した場合の売場の変化
  4. 裏付け(他店での販売実績、試食での反応など)

強みを言語化できたとしても、商品の仕様を並べるだけでなく、どの棚に、どの商品の隣に置き、どんなお客様に向けて、どう売るかという販売に関わるメリットや手順まで示します。決裁権を持つ担当者へ共有や説明する際にそのまま使える材料を渡すと、検討が進みやすくなります。

1回で決めず、指摘を持ち帰って再提案する

チェーン本部では、新しい商品の採用に社内の調整が必要になります。また、棚の入れ替えの時期も決まっていることが多いため、初回の商談で採用が決まらない事は珍しくありません。そこで初回提案では、契約締結(クロージング)を目標にせず、売場の課題や求められる条件を聞き取る場と考えましょう。バイヤーから頂いた質問や指摘は、次の提案で題材にできる提案材料となります。その場で無理に答えを出さず、指摘された規格・価格・ロット・販促の条件を持ち帰り、次回の商談資料と見積もりに反映して再提案しましょう。

取引のないバイヤーに自社を知ってもらう方法

商談の準備が整っていても、商談の機会がなければ採用は検討されません。スーパーのバイヤーが新しい仕入れ先を探すのは、バイヤー側の都合やタイミングで基本決まります。取引のない会社がそのタイミングを事前に知るのは難しいため、営業したい業態・地域の相手に、商品の特徴と取引条件が分かる情報を発信し続けることが、接点をつくる方法の一つです。展示会参加やマッチングサイトの活用などありますが、取り入れやすい手法として「FAX営業」から始めてみましょう。

実際にスーパーへの案内から取引が始まった例として、静岡県で鮮魚・冷凍マグロを卸す水産仲卸業者がスーパーを対象にFAXを配信し、品質に見合う取引先を探していた他県のスーパーに届き、見事取引先を開拓。その後、15店舗と取引が始まり、センター納品の形で4年以上、月400万円ほどの取引が続いています。

この事例の詳細は実際に活用した紙面も合わせてご紹介していますので、合わせてご覧ください。

水産仲卸業のスーパーに向けたFAX営業代行事例|1.2万件配信が生んだ4年以上継続の取引先開拓

まとめ

スーパーのバイヤーは、商品の良さより先に、売場で売れるか、欠品なく届くか、店に利益が残る価格かを確認します。商談の前にバイヤーの知りたい条件を資料としてまとめ、1回で決めようとせず、指摘や要望を反映して再提案することが、契約に近づく進め方です。

最初の一歩として、主力の1商品について商談資料と規格書をつくり、ロットと納品方法ごとの卸価格を設定しましょう。資料を作りながら、商品の強みを顧客目線で言語化し、需要のある業態と地域を決めておくと、闇雲な営業を避けて新規開拓に取り掛かることができます。

人手や時間が不足している為、営業活動をすぐ開始できないと悩む方は、事例でもご紹介したFAX営業代行の導入もご検討ください。弊社の場合紙面作成だけでなく、強みに価値を感じる業態の選定・リスト作成や配信対応も踏まえて1社約20円から対応しております。

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