葬儀社の集客を安定させる営業戦略|送客元になる業種と法人営業の進め方

葬儀社の集客を安定させる営業戦略|送客元になる業種と法人営業の進め方

葬儀社の経営において、折込チラシやWeb広告を中心としたBtoC(個人客向け)の集客活動は、費用対効果の面で徐々に限界を迎えつつあります。加えて、葬儀の需要は突発的なタイミングで発生するため、集客だけに頼った経営では売上の波を平準化することが困難です。

こうした課題を解決する鍵となるのが、法人営業によって「紹介ルート(送客元)」を確保し、安定した受注体制を築くという発想です。本記事では、葬儀社が営業をかけるべき具体的な法人業種と、実際に提案する際のポイント、法人営業を軌道に乗せるための実践的なコツを解説します。

葬儀業の送客元(紹介ルート)となる法人業種

葬儀業の送客元(紹介ルート)となる法人業種

老人福祉・介護事業(施設系)

ターゲット:有料老人ホーム、特別養護老人ホーム、サービス付き高齢者向け住宅、グループホームなど

厚生労働省「人口動態統計」を基にした分析によれば、死亡場所に占める施設死の割合は2000年の2.4%から2023年には15.5%まで上昇しており、病院での看取りが減少する一方で、介護施設で最期を迎えるケースが増加する傾向にあります(参考:第一生命経済研究所「多死社会のゆくえ(1)」)。施設内でご入居者が亡くなられた際、ご家族から「どこか良い葬儀社を知りませんか?」と相談されることは少なくありません。施設長や現場のスタッフ、ケアマネージャーとの信頼関係を築き、いざという時の紹介ルート(パイプライン)を構築することが最重要課題と言えます。

医療業(病院・クリニック)

ターゲット:療養型病院、地域の中核病院、訪問診療クリニック

施設での看取りが増えているとはいえ、同じ人口動態統計では2023年時点でも病院死が65.7%と依然として最も高い割合を占めており、逝去場所のトップは病院です。医療ソーシャルワーカー(MSW、患者・家族の療養中の相談援助や退院支援を担う専門職)や看護師長などに提案し、病院が指定する葬儀社(ご遺体の搬送請負など)になることができれば、重要な安定受注ルートの一つとなります。ただし、参入障壁も高いため、長期的な関係構築が求められます。

専門サービス業・金融業(士業・保険など終活関連)

ターゲット:司法書士、行政書士、弁護士、税理士、生命保険代理店、FP(ファイナンシャルプランナー)

士業や保険代理店は、遺言の作成や相続相談、生命保険の整理など「生前の終活」に関わる顧客を数多く抱えています。こうした専門家と提携し、「お葬式の事前相談ならここが良いですよ」と紹介してもらうパイプづくりが有効です。葬儀後のお客様を士業へ紹介し返すなど、相互に送客し合える関係を築きやすいのも特徴です。

宗教法人(寺院・教会)

古くからの繋がりとして、地域の寺院や教会も重要な取引先です。檀家さんや信徒さんが亡くなった際、住職や牧師から自社を指定・推薦してもらえるよう、日頃からの関係構築を心がけましょう。

葬儀業の「直接の利用客」となる一般企業への営業手法

葬儀業の「直接の利用客」となる一般企業への営業手法

送客元の開拓と並行して進めたいのが、法人自身にサービスを利用してもらうための営業です。地元の中堅〜大手企業を中心に、以下のような提案が有効です。

福利厚生としての法人提携(従業員・家族向け)

企業の人事・総務部門に対し、「御社の福利厚生制度として、当社の葬儀サービスを割引価格(例:基本料金20%オフ)で導入しませんか」と提案する手法です。企業側は無料で福利厚生を拡充できるメリットがあり、葬儀社側は従業員やそのご家族の葬儀を独占的に獲得しやすくなります。

供花・弔電の指定業者化(BtoBの商流を押さえる)

企業が取引先に対して送る胡蝶蘭やお悔やみの花(供花)の手配を、すべて自社で一括受注できるように提案します。総務担当者にとって、都度業者を探す手間が省けるため、窓口を一本化する提案は喜ばれやすく、安定した売上につながります。

社葬・お別れの会の事前契約(高単価案件の獲得)

創業者や高齢の会長・社長が在籍する地元企業に対し、「万が一の際の社葬・合同葬・お別れの会」のプロデュース契約を事前に結ぶ提案です。参列者の規模や演出内容によって変動しますが、企業規模によっては数百万円から数千万円の売上になることもあり、経営基盤を大きく安定させる重要な案件となります。

葬儀業が法人営業(BtoB)を成功させるコツ

葬儀業が法人営業(BtoB)を成功させるコツ

提携先や顧客を獲得するためには、ただ訪問してお願いするだけでは不十分です。営業の際は以下の3つのコツを意識しましょう。

相手企業に明確なメリットを提示する

「お客様を紹介してください」という一方的なお願いでは提携は進みません。紹介料(業務委託費)の支払いや、前述した士業への相互送客の仕組みなど、相手企業にとっても明確なメリットを提示することが成功の第一歩です。

決裁者(キーマン)を見極め、的確に働きかける

施設長や病院の事務長、総務部長など、各業種で提携の決裁権を持つ人物は異なりますが、共通するのは「現場の担当者と、実際に契約を決める決裁者は別人であることが多い」という点です。まずは現場の担当者と信頼関係を築いたうえで、「一度、責任者の方にもご提案の機会をいただけませんか」と橋渡しを依頼する、あるいは提携のメリットを簡潔にまとめた資料を担当者経由で決裁者に渡してもらうといった進め方が有効です。現場との関係だけで満足せず、常に決裁者への到達ルートを意識して動くことが、提携を前に進めるポイントです。

定期的な接触で「いざという時」に思い出される関係を作る

葬儀のニーズは突発的に発生します。そのため、一度名刺交換をしただけで放置していては、いざという時に思い出してもらえません。定期的な訪問、ニュースレターの送付、終活セミナーの無料開催の案内など、継続的に接触し、常に頭の片隅に置いてもらう関係維持が不可欠です。これは寺院や教会に対しても同様で、行事の手伝いや日頃の挨拶を通じた地道な関係構築が、指定・推薦につながる土台となります。

人手や時間不足にお悩みなら営業代行の活用がおすすめ

人手や時間不足にお悩みなら営業代行の活用がおすすめ

ここまで法人営業の重要性をお伝えしてきましたが、頭では理解していても実行に移せない葬儀社様が多いのも事実です。

葬儀業が抱える法人営業のハードル

  • 「現場の施行や打ち合わせが忙しく、テレアポや飛び込み営業をする時間がない」
  • 「ご遺族へのBtoCの接客やサポートは得意だが、法人に向けたBtoBの営業ノウハウがない」
  • 「営業専任の担当者を新しく雇う余裕がないし、採用してもすぐに辞めてしまう」

このような業界特有のハードルがあるため、法人開拓が後回しになってしまうケースが散見されます。

営業代行サービスを利用するメリット

営業代行を利用することで、自社に合ったターゲット選定から、初回連絡対応、商談の設定やクロージング(契約締結)までの一部あるいはすべてを依頼できます。現場のスタッフは本来の業務である「葬儀の施行・ご遺族のケア」に集中したまま、法人提携先や紹介ルートが増加する仕組みを作ることができます。

葬儀業の会社が実際に新規の取引先を獲得する流れは、以下の動画でも解説しています。

まとめ:法人との提携強化で安定した葬儀の受注体制へ

一般のお客様からの問い合わせを「待つ」営業から、法人と提携して紹介ルートを確保する「攻め」の営業方針への転換が、これからの葬儀業界を生き抜くための鍵となります。

本記事で紹介した法人業種に向けて自社の存在を伝えつつ、何かあったときの相談相手や提携先として選ばれる為にも関係性の構築や、メリットを提示する提案方法を営業に取り入れることが大切です。営業を行う際に、人手や時間が不足している、ノウハウがないとお困りの場合は、営業の専門会社に相談することも選択肢のひとつです。法人顧客との関係性を構築し、安定した受注体制を築いていきましょう。

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