
ブロー成形事業において、既存顧客からの受注に依存し、新規開拓に行き詰まりを感じていませんか?価格競争が激化する製造業界では、下請け構造から脱却し、自社のプラスチック加工技術を高く評価してくれる優良顧客を新たに獲得することが急務となっています。
本記事では、ニッチな技術力を「見える化」するターゲット選定や、高付加価値を生む提案型営業への転換、さらにWebや営業代行を駆使した販路拡大の具体策についても細かく解説していきます。最後までお読みいただくことで、自社の技術力に見合った適正な利益率を確保し、持続的な受注拡大を実現する営業戦略が身につきます。
ブロー成形業界で新規開拓・販路開拓が急務となる背景

製造業全体でサプライチェーンの見直しが進む中、ブロー成形業界においても新規開拓や販路開拓の重要性がかつてなく高まっています。長年培ってきた金型設計や成形技術がありながら、特定の取引先に依存している状態では、取引先側の環境や状況の変化に脆く、安定した収益基盤を築くことは困難です。ここでは、なぜ今ブロー成形企業が自ら市場を開拓し、新たな顧客層へ働きかけるべきなのか、その背景となる課題と市場の可能性について解説します。
既存顧客への依存リスクと価格競争からの脱却
下請けとしての受注形態が定着している場合、既存顧客の案件に頼ることで一時的な安定は得られますが、絶え間ないコストダウン要求による価格競争に巻き込まれやすくなります。利益率が低下するだけでなく、取引先の業績悪化が自社の存続に直結するリスクも抱えることになります。こうした多重下請け構造から脱却し、自社が主導権を握り適正価格での取引を実現するためには、直接契約を結べる優良な新規顧客の開拓が必要です。
ニッチな技術を求める潜在市場の存在
一方で、中空成形や複雑な形状への対応、特殊樹脂の加工ノウハウなど、ブロー成形特有の技術を必要としている異業種は確実に存在します。例えば、医療機器、自動車部品、建材などの分野では、軽量化や部品点数削減の需要が高まっています。自社のニッチな強みを適切に言語化し、課題解決の解決案として提示することで、これまで接点のなかった業界と新たな繋がりを見出し、付加価値のある取引を生み出すことが可能です。
自社の強みを「見える化」するターゲット選定戦略

新規開拓を成功させる第一歩は、自社が持つ独自の強みを明確にし、それを最も必要としているターゲット企業を正確に見定めることです。やみくもな営業活動は人手や時間の浪費を招きます。ここでは、自社の技術的な優位性を言語化し、売り込むべき最適な市場を選定する手順について解説します。
ブロー成形・金型設計ノウハウの言語化と差別化
自社の強みを提案するには技術力の「見える化」が必須です。単に「高品質な成形が可能」と伝えるのではなく、「独自の金型設計で従来比〇%の軽量化を実現」「特殊樹脂を用いた複雑な中空形状の量産ノウハウがある」といった具体的な提供価値に変換できるようにしましょう。競合には真似できない自社特有の強みを言語化することで、明確な差別化要因となります。
新規開拓が狙える有望な業界・製品分野の絞り込み
強みを言語化できたら、その技術やノウハウを最も評価する市場を見極めます。ブロー成形の場合、軽量化やコスト削減が急務の自動車部品、衛生面と精度の要求が厳しい医療機器、耐久性が求められる建築資材などが有力なターゲットです。自社の設備や生産体制と照らし合わせ、どの業界のどんな製品課題に最も貢献できるか仮説を立て、営業先を絞り込みましょう。
見込み顧客を集める精度の高い営業リスト作成
ターゲット業界が定まれば、次は効率的な営業リストの作成です。企業名や連絡先を集めるだけではなく、企業規模、既存の主力製品、直近のプレスリリースなどの動向を含めたリストを構築します。ターゲット企業の購買担当や設計開発部門が抱えていそうな具体的な課題を事前に推測しておくことで、その後の声掛けや提案の成功率が飛躍的に高まります。
以下はターゲット選定と自社の強みを再定義して1週間で100企業からの問い合わせを獲得した金型製造業の方とのインタビューです。とりあえずの営業で480万円の損失を出した過去も合わせてお話しています。
下請けを脱却する「提案型営業」の展開

既存顧客からの図面通りに製造するだけの「待ちの営業」や多重下請け構造から抜け出すためには、顧客の製品価値を高め、全体コストを最適化する「VA/VE(価値分析/価値工学)」を用いた提案型営業への転換が必要です。単なるプラスチック部品の加工請負ではなく、製品の企画・設計段階から入り込んで具体的な改善案を提示することで、顧客にとって専門家としての地位を確立できます。ここでは、直接取引と高収益化を実現するための実践的な提案手法について解説します。
顧客の課題(コスト削減・品質向上)を解決するVA/VE提案とは
VA/VE(価値分析/価値工学)提案とは、製品の機能や品質を維持・向上させつつ製造コストを下げる技術的な働きかけを指します。ブロー成形においては「部品の一体化による組み立て工数の削減」や「代替樹脂の活用による軽量化と材料費の圧縮」などが挙げられます。顧客の抱える事業や経営に関わる本質的な課題を抽出し、自社の成形ノウハウで解決策を提示することが、価格競争を回避する最大の武器となります。
専門的な技術要件を購買担当者へわかりやすく伝えるコツ
新規開拓では、必ずしも技術者が最初の窓口になるとは限りません。購買や調達の担当者に対しては、専門用語を並べるのではなく導入による具体的なメリットを「数値化」させて伝えることが重要です。「この金型構造にすれば歩留まりが〇%向上し、年間〇万円のコスト削減になる」など、費用対効果や納期短縮といったビジネス上の利点へ変換して説明しましょう。
試作や小ロットの依頼から量産・継続受注へ引き上げるステップ
新規顧客との取引は、いきなり大規模な量産から始まることは稀です。まずは試作や小ロット案件を確実に取り込み、品質や納期の正確さで信頼を構築します。その際、単に納品するだけでなく、将来の量産化を見据えた歩留まり改善案や金型の耐久性向上策を併せて提案することで、他社への切り替えを防ぎ、継続的な量産受注(リピート)へスムーズに移行させることができます。
Webと外部の力を駆使した営業媒体の多角化

従来のテレアポや飛び込み営業といった手法だけでは、提案できる範囲に限界があります。特に専任の営業マンが限られている、あるいは社長自らが営業を兼任しており時間がない製造業において、効率的に新規開拓を進めるためには、Webを活用した問い合わせを待つ集客方法や、外部の営業のプロを活用した声を掛けに行く営業を組み合わせる事が大切です。ここでは、ブロー成形の認知を広げ、質の高いリード(見込み顧客)を継続的に獲得するための営業戦略について解説します。
自社サイトを活用した待つ集客
成形メーカーを探す購買担当者は、必ずWebで情報収集を行います。単なる会社概要ではなく、ターゲットの課題や知りたい情報の検索意図を満たす専門的なコンテンツ(加工事例、対応可能な樹脂の種類、技術コラムなど)を発信することが重要です。適切なキーワード選定やサイト設計といったSEO対策(検索エンジンに見つけてもらい評価される対策)を徹底し、検索経由で質の高い問い合わせを獲得する仕組みを構築しましょう。
BtoB製造業向け展示会・マッチングサイトの有効活用
BtoB向けの技術展示会は、自社のブロー成形技術の実物をアピールし、その場で具体的な技術相談へ繋げられる絶好の機会です。また、製造業特化型のビジネスマッチングサイトへの登録も有効です。オンラインとオフラインの両面で自社の露出を戦略的に高め、ニッチな加工技術を求めている顧客との接点を効率よく増やしていきましょう。
社内の人手不足を解消する「営業代行」の活用戦略
専門性の高い製造業において、新規開拓を担う営業人材を自社のみで育成するのは容易ではありません。そこで、BtoB営業に特化した「営業代行」の活用が効果的です。営業リストの作成や初回連絡、商談獲得をプロに任せることで、自社の技術者は商談や技術提案に専念できます。自社の強みを的確に共有し、専門企業を拡大させるための営業体制を早期に構築しましょう。代行会社を選ぶ際には、自社と似た商材の代行実績があるか?提案したいターゲットの特徴や商習慣を理解しているか?を事前に確認することが大切です。
新規商談から受注に至るまでの対策とコツ

見込み顧客を獲得した後は、獲得したその接点を受注へと結びつけるかが重要です。ブロー成形の新規開拓においては、顧客が抱える漠然とした課題をヒアリングし、自社の技術力でどう解決できるか?を商談の場で明確に示さなければなりません。ここでは、初回商談の準備から、競合との相見積もりにおける差別化、そして失注を防ぐための中長期的なフォロー対応まで、成約率を高める方法とコツを解説します。
初回商談の獲得率を高める仮説と提案資料の準備
初回商談では、顧客の業界や製品課題に合わせた専用の提案資料を準備することが重要です。一般的な会社案内ではなく、「貴社の課題に対し、当社のブロー成形技術でこう解決できる」という仮説をもとにした資料を作成しましょう。視覚的にわかりやすい過去の加工事例や改善実績を盛り込むことで、技術的な信頼感が伝わります。
大手競合との相見積もりを勝ち抜く自社の強みの伝え方
新規開拓では大手成形メーカーとの競合が頻発します。規模や価格だけで勝負せず、強みとなる自社ならではの付加価値を提示することが重要です。「金型設計からの一貫対応によるスピード」「特殊樹脂の成形ノウハウ」「小ロットへの柔軟な対応」など、大手が対応しきれないニッチな領域での強みを打ち出し、価格以上の価値を訴求しましょう。
失注を防ぐ商談後の対応と中長期的な関係構築
BtoB製造業の営業において、初回商談ですぐに受注が決まる案件は稀です。タイミングが合わず即時案件化しなかった場合でも、定期的な情報提供(新たな加工事例の案内など)による接点づくりを継続しましょう。接点を維持することで、顧客側に新たな開発案件が発生した際、真っ先に相談される関係性を構築できます。
まとめ:ブロー成形の強みを活かした声掛けで受注を増やそう
ブロー成形業界において、価格競争を抜け出し持続的な成長を遂げるためには、自社主導の新規開拓が欠かせません。本記事で解説したように、まずは自社のニッチな技術力や金型ノウハウを言語化し、それを高く評価するターゲット市場を的確に絞り込むことが重要です。
その上で、顧客のコスト削減や品質向上に寄与する提案型営業を行い、単なる下請けではなく専門家としての立ち位置を確立しましょう。さらに、自社サイトのSEO対策や展示会、そして営業代行を組み合わせることで、社内の人員が限られていても販路開拓を大きく前進させることができます。自社の強みを最大限に活かした営業活動を実践し、安定した受注拡大と高収益化を実現してください。
米澤 俊一(よねざわ しゅんいち)
株式会社セールスマーケティングファーム代表
1979年横浜市出身。日本体育大学卒業。
IT企業で4年間Web運営に携わった後2008年に独立。
その後、福井県のベビーリーフ農家へ転身し、独自の営業手法を駆使してわずか2ヶ月でスーパー150店舗、レストラン400店舗との新規取引を開拓。ビニールハウス2棟から33棟への急拡大を牽引。OTAや農業ベンチャーの役員を経て、現在は営業職不在の中小企業を支援する営業代行会社の代表取締役。