
イベント警備の新規開拓において、営業マンの不足や単価の叩き合いに悩まされていませんか?従来の人出し中心の御用聞き営業では利益率が低下し、直案件の獲得もますます困難になっています。業界全体で人手不足が深刻化する中、社長や一部の営業マンに依存する属人的な手法はすでに限界を迎えているのが実情です。
本記事では、安全経営や提案型営業への移行方法と、AIや営業代行を活用した分業体制の構築方法について解説します。お読みいただくことで、人手不足の壁を越え、高利益なイベント警備案件を安定的かつ仕組みで獲得する次世代の営業体制が整います。
施設・イベント警備における新規開拓の現状と課題

営業マン不足と属人化の限界
多くの警備会社では、社長や一部の優秀な営業担当者に新規開拓が依存する「属人化」が深刻な課題となっています。既存顧客のフォローや現場のトラブル対応に追われ、新規開拓に割く時間が圧倒的に不足しているのが実情です。結果として、計画的な営業活動ができず、売上の波が激しくなる傾向にあります。事業を成長させるためには、個人の能力に依存しない、組織的な営業活動の確保と仕組み化が大切です。
「御用聞き営業」による価格競争と利益低下
従来型の「何人必要ですか?」と御用聞きに徹する営業手法、いわゆる「人出し」の売り込みでは、他社との差別化が図れません。独自の強みや付加価値を提示できなければ、顧客にとっての選定基準は「価格」のみとなり、必然的に単価の叩き合いに巻き込まれます。利益率が低下すれば、警備員の待遇改善や教育への投資も困難になり、サービス品質の低下を招くという悪循環に陥る危険性を孕んでいます。
求められる下請けからの脱却と直案件獲得の重要性
大手警備会社や総合ビルメンテナンス会社からの下請け案件は、営業の手間が省ける一方で、仲介手数料が抜かれるため利益率が低く抑えられます。イベント警備において高収益な事業を構築するには、イベント主催者や施設管理者からの「直案件」を獲得することが最重要課題です。直請けの体制を整えることで、自社で適正な価格設定が可能となり、利益水準の大幅な改善と経営基盤の安定化が実現します。
イベント警備の新規開拓を成功に導く「提案型営業」への転換

単なる人員配置から「安全経営・リスクマネジメント」の設計へ
これからのイベント警備営業では、「警備員を〇名配置します」という単なる人員提供から脱却する必要があります。主催者が真に求めているのは、来場者の安全確保と事故による信用毀損の回避です。営業担当者は、イベントの規模や動線、過去のトラブル事例を綿密に分析し、最適な警備計画を立案する安全経営やリスクマネジメントの設計者として振る舞うことが求められます。この視点が競合との明確な差別化に直結します。
VA/VE手法を用いたコスト最適化と品質向上の提案
価格競争を避けるための有効な手段が、VA(価値分析)とVE(価値工学)の手法を取り入れた提案です。無駄な人員配置を漫然と続けるのではなく、必要な箇所に質の高い警備員やAIカメラなどのテクノロジーを組み合わせることで、全体の警備コストを抑えつつ安全性を向上させます。「安くする」のではなく「コストパフォーマンスを最大化する」という論理的な提案を行うことで、直案件の顧客から強い信頼を獲得できます。
イベント主催者や施設管理者の課題を解決する付加価値の作り方
顧客自身も気づいていない潜在的な「課題」を解決することが、強力な付加価値となります。例えば、イベント会場における入場待機列の緩和による顧客満足度の向上や、周辺住民からのクレーム対策などは、的確な警備計画によって大きく改善できる要素です。事前のヒアリングを通じてイベント運営全体の課題を抽出し、警備の枠を超えた運営支援としての解決策を提示することで、単なる外注先ではなく頼れる取引先となります。
営業工数の壁を越える分業戦略と営業代行の活用

営業活動の分解:ターゲット選定から商談・クロージングまで
属人的な営業から脱却する第一歩は、営業活動の細分化です。新規開拓業務は、「ターゲットリストの作成」「テレアポやメールなどによる初回連絡」「問い合わせ獲得」「商談・提案」「クロージング(契約)」という複数の段階に分解できます。これらすべてを一人で担うと物理的な限界に直面するため、各工程を可視化し、誰がどこを担当するのかを明確に切り分ける「分業体制」の構築が必要となります。
営業代行を活用し、自社の社員を「商談」に集中させる仕組み
分業化を進める上で極めて有効なのが、初回連絡における「営業代行」の活用です。リスト作成やテレアポといった膨大な時間と労力を要する業務を外部の専門企業に委託することで、自社の限られた人材や社長は、最も重要で利益に直結する「商談や提案」の対応のみに専念できます。この仕組みにより、人手不足を解消しつつ、商談数を劇的に増加させ、成約率の向上を図ることが可能になります。
費用対効果を最大化する代行会社の選び方
営業代行を選定する際は、単なる「架電数」や「商談獲得数」だけでなく、最終的な受注に繋がる質の高い顧客を提供できるかを見極める必要があります。自社の強みや警備業界の特性を深く理解し、ターゲット企業に対して的確なトークスクリプトを構築できる代行会社を選ぶことが重要です。実際、そんな対応をしてくれる代行会社は警備業での営業実績が豊富であることが多いです。また、活動状況の透明性や、得られた顧客情報を自社に還元してくれるかどうかも、費用対効果を最大化するための必須条件となります。
AIやツールを活用した新規開拓の効率化とリスト作成

営業工数が限られる中、新規開拓の仕組みづくりを劇的に効率化するのがAIと営業ツールの活用です。勘や経験に頼った従来の営業手法から脱却し、データに基づいた営業方法を取り入れることで、少ない人員でも質の高い商談を量産し、成約率を飛躍的に高めることが可能になります。
AIによる高度な絞り込みと新規営業リストの自動作成
過去の受注データや市場動向をAIに学習させることで、自社の強みが活きるターゲット企業を精密に抽出できます。手作業で行っていた企業情報の収集作業をAIが代替し、成約確度の高い新規営業リストを自動で生成します。これにより、営業担当者はリスト作成という単純作業から解放され、優先順位の高い見込み顧客への提案に時間を集中できるようになり、商談獲得率が大幅に向上します。もし開業や独立したばかりの状況であれば、自社で作成せずリストレンタルなどを活用することも有効です。
現場別の最適な提案書をAIで効率的に作成する方法
イベント警備の提案では、会場の特性に応じた個別化が重要です。生成AIを活用すれば、過去の成功事例や類似現場のデータを基に、顧客の課題に合致した提案書のテンプレートを瞬時に作成できます。リスクアセスメントの項目や最適な人員配置のシミュレーションをAIが素早く出力するため、担当者は内容を微調整するだけで済みます。結果として、高品質な提案書を短時間で作成でき、競合に対する速度で優位に提案できます。
SFA/CRMを活用した商談管理の仕組み化と属人化の排除
SFA(営業支援システム)やCRM(顧客管理システム)などの営業ツールの導入は、営業活動の不透明化を防ぎます。各担当者の商談進捗、顧客の反応、過去の提案履歴をシステム上で一元管理することで、組織全体でノウハウを共有できます。これにより、担当者の急な不在や退職時にもスムーズな引き継ぎが可能となり、個人に頼っていた営業活動を完全に排除できます。
利益率を改善する案件の見極め方と受注後の戦略

新規開拓を進める上で、単に売上規模を追うだけでは健全な経営は実現できません。重要なのは、自社の強みを最大限に活かし、確実に利益を残せる案件を見極めることです。ここでは、利益を圧迫する案件の回避基準や、イベント案件を受注した後にさらなる収益を生み出す合わせ売りや、継続的な指名受注を獲得する戦略について解説します。
自社の利益を圧迫する「断るべき案件」の明確な基準
利益率を高めるためには、「断る勇気」を持つことが大切です。事前の危険性を軽視し、単なる価格競争のみを求めてくる案件や、直前での理不尽な人員変更を強いる案件は、現場の疲弊を招き、自社の利益を大きく圧迫します。事前に「最低受注単価」「必要準備期間」「安全基準の合意」などの明確な基準を社内で設け、条件に満たない案件は毅然として見送る仕組みを構築しましょう。
イベント警備から施設警備・交通誘導への合わせ売り戦略
単発で終わりがちなイベント警備案件ですが、顧客との接点を活かして他サービスへ展開するクロスセル(合わせ売り)が収益拡大の鍵となります。例えば、イベント会場となる商業施設の管理者に対して、日々の施設警備体制の最適化を提案したり、来場者の動線データをもとに周辺の交通誘導警備をセットで提案することが有効です。イベント単体ではなく、顧客の事業全体の安全を包括的にサポートする視点を持ちましょう。
顧客満足度の追求を次回のリピートに繋げる仕組み
顧客満足度(CS)の向上は、最強の営業活動と言えます。イベント終了後に単に請求書を送るだけでなく、当日の警備実績や発生した軽微なトラブル、次回に向けた改善案をまとめた「完了報告書」を提出することが重要です。プロとしての的確な情報共有は顧客に強い安心感を与え、競合他社への乗り換えを防ぎます。この徹底したアフターフォローが、次回の受注を確実なものにします。
まとめ:持続可能な営業体制を構築し、イベント警備の売上を最大化しよう
イベント警備の新規開拓において、従来のような「御用聞き営業」や属人的な力技はすでに通用しなくなっています。価格競争を抜け出して高利益な直案件を獲得するためには、VA/VE視点を持った「提案型営業」への切り替えが必要です。
さらに、AIによるリスト作成や営業ツールでのデータ管理、そして初回連絡を営業代行に任せる「分業戦略」を取り入れることで、自社の貴重な人手を最も重要な工程である商談に集中させることができます。今回解説したノウハウを実践し、人手不足の壁を乗り越え、再現性と持続性のある強固な営業体制を構築してイベント警備事業の売上最大化を実現してください。
米澤 俊一(よねざわ しゅんいち)
株式会社セールスマーケティングファーム代表
1979年横浜市出身。日本体育大学卒業。
IT企業で4年間Web運営に携わった後2008年に独立。
その後、福井県のベビーリーフ農家へ転身し、独自の営業手法を駆使してわずか2ヶ月でスーパー150店舗、レストラン400店舗との新規取引を開拓。ビニールハウス2棟から33棟への急拡大を牽引。OTAや農業ベンチャーの役員を経て、現在は営業職不在の中小企業を支援する営業代行会社の代表取締役。