これからの土木営業・コンサルタントに必要なスキル|選ばれるための発信力と直請けの増やし方

公共工事の入札や元請けからの下請け、付き合いの長い官公庁からの業務で、仕事はひとまず回っているが、発注が少ない年度や、元請けの受注が落ち込んだ時期には、自社の売上もそのまま下がってしまう。土木工事会社や土木コンサルタント会社で受注を担う経営者・営業責任者の方なら、思い当たる場面があるのではないでしょうか。

土木の営業は、誰から仕事を受けるかによって進め方が大きく変わります。入札やプロポーザルで受注者が決まる公共の仕事と、相手が自由に発注先を選ぶ元請け・民間の仕事とでは、準備や対策すべきことがまったく違うことが理由です。

本記事では、受注先ごとに土木工事会社・土木コンサルタントの営業をどう進めるかについて整理し、自社が何から手を付けるべきか判断できるよう解説します。

土木の営業は「誰から仕事を受けるか」で進め方が変わる

土木の仕事を受けるルートは、大きく『公共』と『元請け・民間』の2つに分けられます。 どちらから受けるかによって相手が発注先を決める方法が違い、営業でやるべきことも変わります。

受注ルート主な発注者発注先の決め方営業でやること
公共工事(工事会社)国・都道府県・市町村など競争入札。価格のみで決める方式と、価格と技術を合わせて評価する総合評価落札方式がある入札参加資格の取得・更新、発注情報の確認、技術評価に使う実績・技術者の整理
官公庁の業務(土木コンサルタント)国・都道府県・市町村などプロポーザル方式・総合評価落札方式・価格競争参加資格の取得・更新、技術者の実績整理、技術提案書の準備
元請けからの下請け地場の建設会社、ゼネコンの支店など付き合いのある協力会社や紹介の中から、対応工種・エリア・対応力を見て選ぶ対応できる工種とエリアを伝え、協力会社の候補に入る
民間発注者からの直接受注開発事業者、工場・物流施設・商業施設の所有者など似た工事の実績、工期、稼働中の施設で施工できるかなどを比べて選ぶ相手を絞って案内し、判断できる実績を示す

同じ「土木」でも、工事会社とコンサルタントでは受注の仕組みが異なります。事業ごとの主な受注先について整理しましょう。

土木工事会社の主な受注先

土木工事会社の仕事の入口は、主に3つです。国や自治体が発注する公共工事を入札で受ける、地場の建設会社やゼネコンから工事の一部を下請けとして受ける、民間の発注者から直接受ける、というものです。

公共工事が中心の会社では、仕事量が発注機関の予算や発注計画に左右されます。下請けが中心の会社では、元請けの受注状況がそのまま自社の仕事量になります。どちらも、相手側の事情で受注の増減がある点は共通しています。

土木コンサルタントの主な受注先

土木コンサルタント(建設コンサルタント)は、道路や河川、上下水道などの調査・計画・設計を担う会社で、工事の施工は行いません。国土交通省には建設コンサルタントの登録制度があり、登録は任意で、有効期間は5年とされています。(参考:国土交通省「建設関連業者の登録制度とは?」/建設コンサルタント登録規程 )

国や自治体の業務では、技術提案をもとに受注者を選ぶプロポーザル方式、価格と技術力を合わせて評価する総合評価落札方式、価格で決める価格競争のいずれかで受注者が決まります。このほか、民間の開発事業者や建設会社から、調査や設計を依頼される仕事もあります。

公共工事・官公庁業務で受注を増やす準備

公共の仕事は、発注担当者を訪問して関係を築けば受注できる、というものではありません。 受注者は入札やプロポーザルの手続きで決まるため、参加資格・発注情報・技術評価への準備がそのまま差になります。営業担当の仕事も、訪問の回数を増やすことより、この準備を社内で回すことが中心になります。

入札参加資格を整え、発注情報を追う

まず、受注したい発注機関の競争参加資格を確認し、必要な資格を取得したうえで、有効期限が切れる前に更新します。申請の時期や受付方法は発注機関ごとに違うため、対象にする機関を決めて一覧にしておくと漏れを防げます。

工事会社の場合、公共工事を発注者から直接請け負うには、経営事項審査を受けていることが前提になります。各発注機関は、この審査結果も使って入札に参加する会社の資格審査や格付けを行っています。

参考:国土交通省「経営事項審査及び総合評定値の請求について」

資格を持っていても、発注の情報をつかめなければ入札には参加できません。各発注機関が公表する発注見通しや入札公告を、担当者を決めて定期的に確認する体制をつくります。自社が対応できる工種・業務と地域に絞って確認すれば、少ない人数でも続けやすくなります。

技術評価で選ばれる実績・技術者・提案を用意する

総合評価落札方式やプロポーザル方式では、価格だけでなく技術面も評価されます。国土交通省の運用ガイドラインでは、同種・類似業務の実績、配置予定技術者の資格や経験、業務の実施方針や技術提案の内容などが評価の対象として示されています。工事の総合評価でも、会社や技術者の施工実績が評価項目に含まれることがあります。

参考:国土交通省「技術調査:入札・契約」(建設コンサルタント業務等におけるプロポーザル方式及び総合評価落札方式の運用ガイドライン)

こうした評価への備えは、案件が公告されてから始めると間に合わないこともあります。 日頃から、過去の工事・業務を工種や規模、発注者ごとに整理し、どの技術者がどの案件を担当したかを記録しておきます。

提案書の中身は技術者でなければ書けない部分が多いため、営業担当は技術者と協力し、実績の整理、参加する案件の選定、提案書の締め切り管理などを受け持つ形が現実的です。

なお、発注機関への訪問や問い合わせの扱いは、機関ごとのルールに従ってください。発注担当者への働きかけと受け取られるような行動は避けましょう。

元請け・民間発注者から直接仕事を受ける営業

元請けや民間の発注者に自社を知ってもらわなければ、発注先の候補に入ることは難しくなります。元請けは付き合いのある協力会社や紹介から発注先を決めていることも多く、問い合わせを待っているだけでは接点が生まれにくい相手です。そのため、こちらから接点をつくることが、この受注先に対する営業の出発点になります。

建設業全般で、受注先ごとにどの集客手段が向いているかは、以下の記事で詳しく説明しています。

建設業の集客方法|受注先別に選ぶ手段と優先順位の決め方

対応できる工種・業務とエリアから相手を絞る

最初に決めるのは、案内する相手です。自社が対応できる工種や業務と、無理なく施工・対応できるエリアを書き出し、そこから価値を感じてくれる見込みの高い企業を選びます。

例えば舗装や造成を得意とする工事会社であれば、エリア内の地場の建設会社やゼネコンの支店、宅地や物流施設を手がける開発事業者、構内道路や駐車場を持つ工場・物流施設・商業施設の所有者などが候補になります。土木コンサルタントであれば、計画段階で調査・測量・設計を外部に依頼する開発事業者や建設会社、協力会社を探している同業のコンサルタントが相手になります。

ここでは、件数を増やすことより、自社の仕事と需要が合う企業を選ぶことが最優先です。相手が変われば伝えるべき実績も変わるため、絞り込みの段階で「この相手には何を見せるか」まで考えておくと、適した提案方法がわかります。

最初の接点は「返信しやすい特典」でつくる

相手を決めたら、最初の接点をつくります。手段としては、紹介を頼る、訪問する、電話をする、郵送のDMやFAXで案内を送る、といった方法があります。経営者や技術者が営業を兼ねている会社では、訪問だけで多くの相手と接点を持つのは難しいため、書面での案内も組み合わせると、接点を増やしやすくなります。 

最初の連絡で、契約や商談まで求める必要はありません。「この工事に対応できるか確認したい」「見積もりを依頼したい」「施工事例を送ってほしい」など、相手が気軽に返信できる理由や特典を用意しておくと、初めての相手からも反応を得やすくなります。案内文には、対応できる工種・業務とエリア、代表的な実績を簡潔に載せ、何ができる会社なのかを一目で分かるよう記載しましょう。

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実績を相手が判断できる形で見せる

DMやFAXに反応があった相手や、候補を比べている相手が知りたいのは、自社の案件を任せて大丈夫かどうかです。「何でも対応します」と書くより、似た工事・業務の経験があることを具体的に示すことで、情報が相手の判断材料になります。

実績を見せるために整理する際は、工種や業務の内容、規模、工期、発注者の種類(公共か民間か)、稼働中の施設での施工かどうかといった項目をまとめておきましょう。相手は自社の案件に近い実績を探すため、各項目がそろっていると、比較しやすくなります。

元請けや民間の発注者は、紹介を受けた後や候補を比べる段階で、社名を知っている企業のホームページを確認することがあります。整理した実績をWeb上で確認できる状態にすることで、人手や時間を割かずに、サイトだけで比較や検討を進めてもらえるようになります。

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受注後の対応を次の受注につなげる

受けた仕事への対応は、その案件だけで終わらず、次の受注にも関わってきます。

公共の仕事では、完了した工事や業務に発注者が成績評定を付けます。この工事成績・業務成績は、次の総合評価やプロポーザルで評価項目の一つになるため、目の前の工事や業務の成果が影響することもあるということです。 

元請けや民間の発注者から続けて依頼を受けるには、工程と品質を守ることに加えて、報告や連絡の速さも見られます。図面や計画に施工上のリスクを見つけたら着手前に伝える、コストや工期を抑えられる代替案があれば示す、といった対応を重ねることで、「次もこの会社に頼もう」と思ってもらいやすくなります。

こうした対応の多くは、現場の技術者が担います。営業担当の役割は、相手の要望を正確に技術者へ伝え、技術者の判断を相手にわかるように共有する伝達係です。受注後も営業と技術者が情報を共有しておけば、次の計画や困りごとを事前に把握でき、次の相談や提案にもつながります。

まとめ

土木の営業は、自社の業態と、これから増やしたい受注先を決めるところから始まります。

公共の仕事を増やすなら、入札参加資格の取得・更新と発注情報を確認する体制をつくり、技術評価に使える実績と技術者の経験を日頃から整理しておくことが優先です。元請けや民間の発注者からの仕事を増やすなら、対応できる工種・業務とエリアから相手を絞り、連絡のハードルを下げて、最初の接点をつくることから始めましょう。

どちらの顧客でも、受けた仕事の出来と対応が次の受注につながります。今の受注ルートに加えてもう一つの入口を持っておけば、1つの発注者や元請けの事情に受注が左右されにくくなります。

元請けや民間の発注者への直接案内を検討している方は、業務と並行しながら対応出来るFAX営業などを取り入れながら、新規の受注先開拓に取り組んでみてはいかがでしょうか。

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