マーケティングを専任で担当する人がいない。Webからの問い合わせも、新しい取引先もなかなか増えない。そこで外部の専門家に頼むことを考え始めたものの、「コンサルに何を頼めるのか」「いくらかかるのか」「どこに頼めばよいのか」が分からず、判断を先送りしている経営者・営業責任者の方もいるのではないでしょうか。
この記事では、コンサルに依頼できる業務と支援の型、自社に向いているかの見分け方、費用の決まり方、選び方、相談前の準備について順に説明します。読み終えるころには、自社に足りないのが「戦略」なのか「実行する人手」なのかを切り分け、どのような支援を探すべきか判断できるようになります。
BtoBマーケティングコンサルに依頼できること
BtoBマーケティングコンサルは、法人を取引先とする企業が新たな商談や取引先を獲得するための仕組みづくりを支援する会社・専門家です。 ただし、どの業務を、どこまで関わって支援するかは依頼先によって大きく異なります。
依頼できる主な業務
依頼できる業務は、大きく次の3つの領域に分けられます。
- 戦略づくり:誰に・何を・どう売るかを決める領域です。狙う業種や企業規模、自社の強みと競合との違いを整理し、どの手段で見込み客と接点を持つか、何から優先して取り組むかを決めます。
- 見込み客を集める:自社に関心を持つ企業からの問い合わせや資料請求を増やす領域です。自社サイトの改善や情報発信、展示会、広告、ダイレクトメールなど、決めた方針に沿って接点をつくります。
- 商談・受注につなげる(営業との連携):問い合わせを受けた後の対応手順、営業担当への引き継ぎ方、商談で使う資料など、受注までの流れを見直す領域です。
問い合わせが増えても、商談やクロージング(契約締結)など営業側で受け止める流れがなければ、受注にはつながりません。そのため、3つ目の「営業との連携」まで見てくれるかは、相談の段階で確認しておきたい点です。また、3領域すべてを1社に任せる必要はありません。自社が弱いのがどの領域かによって、探すべき依頼先が変わります。
支援の型は大きく3つ
同じ「コンサル」でも、方針や改善案の助言を中心とするものから、施策の実行まで担うものまで、支援範囲はさまざまです。ここでは、主な支援を3つの型に分けて紹介します。型によって、社内に必要な体制が変わる点に注意してください。
| 支援の型 | 主にやってくれること | 社内に必要なもの | 向いている会社 |
| 助言中心 | 方針・計画づくり、施策の評価と改善の助言 | 計画を実行する担当者と、その作業時間 | 社内に実行できる人がいて、方向性に迷っている会社 |
| 実行支援・代行 | 決まった施策の作業・運用(サイト更新、記事作成、広告運用、営業代行など) | 依頼内容を決め、成果を確認する担当者 | やるべきことは見えているが、手が回らない会社 |
| 伴走(戦略+実行) | 方針づくりから実行、結果の振り返りまで一緒に進める | 窓口担当と判断できる決裁者、一定期間の予算 | 何から始めるか決められず、実行する人も足りない会社 |
伴走の型には、支援を受けながら社内に担当者を育て、いずれ自社だけで戦略立案や営業を回せるようにする「内製化」を目的に含むものもあります。相談の際は、相手がどの型の支援を主にしているかを最初に確認すると、認識の相違が発生しにくくなります。
コンサルへの依頼が向いている会社・向いていない会社
依頼が向いているケース
次の3つがそろっている会社は、コンサルの支援を生かしやすいといえます。
- 社内に実行担当がいる:兼任であっても、提案された施策に取り組む作業時間を確保できる。
- 課題を言葉にできている:「問い合わせはあるが受注に結びつかない」「狙いたい業種からの引き合いがない」など、困っている点を具体的に伝えられる。
- 一定期間続けられる予算がある:施策の効果を確かめるにはある程度の期間が必要です。短期間で打ち切ると、判断材料がそろわないまま終わってしまいます。
3つがそろっていれば助言中心の型でも進められ、実行担当が手薄なら伴走の型が候補になります。
戦略より「実行する人」が足りない場合
注意したいのは、社内に施策を実行する担当者や人員がいないまま、助言中心のコンサルに依頼するケースです。 方針や改善案はまとまっても、手を動かす人がいないため、施策や計画はあるものの進まないことがあります。「何をすべきかはおおよそ分かっているが、手が回らない」という状態なら、コンサルよりも、企画や施策の実行・対応そのものを外部に任せるほうが割に合う場合もあります。代表的なのは次の2つです。
Web・検索・AI経由で見つけてもらう仕組みづくりの運用支援
自社サイトの製品情報や事例、コラムなどを充実させ、Google検索やAI検索から見込み客に見つけてもらうための作業を、継続して外部に任せる方法です。社内で記事作成やサイト更新を続ける人がいない会社に向いています。外注業者は多くいますが、Web制作だけを提供している企業に頼むと、ただサイトが完成しただけで効果が出ず、結局サイトだと意味がないと感じる方もいます。
対象企業を絞って直接案内する新規開拓の代行
自社の商品・サービスを必要としている可能性のある企業を、業種や地域などで絞り込み、直接商材や自社の存在を伝える方法です。資料請求や見積依頼、対応可否の確認など、最初の接点づくりにつなげます。Webからの問い合わせを待つのではなく、狙った法人に直接働きかけられる点が特徴です。実際に伝える方法としては、テレアポ・ポスティング・訪問・郵送DMなど複数ありますが、効率とコストパフォーマンスの良さを重視する中小企業の場合は、FAXを使い需要のある企業に絞って案内を届け、最初の接点をつくることを目的に始めてみましょう。外費用も比較的安く、短時間で広範囲に営業できる方法であり、反応率を返信数で計算することができます。内製化を検討している場合、活用した紙面をもとにトークスクリプト(台本)も作成出来るのでおすすめです。
弊社では、営業先となる企業リストの準備から案内文の作成、FAX配信までを代行しています。実際に成果を出したお客様の事例を、紙面サンプルと合わせて紹介していますので参考にご覧ください。
費用の決まり方と見積もりの見方
コンサルの費用は、支援の型や範囲によって異なります。そのため、金額だけでなく、何が費用に含まれているかを確認することが大切です。ここでは料金の仕組みと、見積もりを受け取ったときに確認すべき点を説明します。主な料金体系は次の4つです。
| 料金体系 | 費用のかかり方 | 合う依頼 | 確認したい点 |
| 月額顧問型 | 毎月決まった額を支払う | 継続的な助言・伴走 | 打ち合わせの回数や作業の範囲が月額に含まれるか |
| プロジェクト型 | 期間や成果物ごとにまとめて支払う | 戦略立案やサイト改善計画など、ゴールが明確な依頼 | 終了後の実行や運用が別契約になるか |
| 成果報酬型 | 問い合わせや商談などの件数に応じて支払う | 成果の数え方を決めやすい施策 | 何を「成果」と数えるか、固定費が別にあるか |
| 実行代行込み | 助言に加えて作業の費用を含めて支払う | 実行する人手が足りない会社 | どの作業が含まれ、どこからが追加費用になるか |
同じ料金体系でも、金額は主に支援範囲(3領域のどこまでか)、打ち合わせの頻度、制作物の有無(サイト・記事・資料など)、契約期間によって変わります。見積もりを比べるときは、これらの条件を各企業ごとに揃えて見ることが大切です。
また、見積もりとは別に、広告費(広告媒体に支払う費用)、ツールの利用料、制作費がかかることがあります。コンサル料だけを見ると安くても、これらを合わせると逆転することもあるため、総額で比較しましょう。
中小企業が費用を検討する際は、「払い続けないと成果が止まる費用」と「資産として残るもの」を分けて見る視点も役立ちます。広告は出稿を止めれば、その経路からの問い合わせも止まります。一方、自社サイトに積み上げた製品情報や記事、整えた営業資料などは、契約が終わっても手元に残ります。広告が悪いということではありませんが、広告費を継続して投じることが前提の提案であれば、その費用を払い続けられるかまで含めて判断するとよいでしょう。
BtoBマーケティングコンサルの選び方
自社の業種や取引の流れを理解しようとしているか
同じBtoBでも、部品加工の受注と業務用サービスの契約では、問い合わせから受注までの流れが異なります。まず、同じ業種・同じくらいの規模の会社を支援した実績があるかを確認しましょう。
初回の相談での姿勢も判断材料になります。「なぜ今それが必要なのか」「誰が問い合わせ、誰が発注を決めるのか」「受注までにどんな段階があるのか」まで深く聞いてくる相手は、自社の事情に合った提案をしてくれる可能性が高いといえます。反対に、こちらの話を十分に聞く前に施策を勧めてくる場合は、どの会社にも同じ提案をしているのかもしれません。
支援範囲と得意分野がはっきりしているか
「SEOも広告もSNSも、何でも対応できます」という提案は、一見心強く感じますが、何が得意なのかが分かりにくくなります。誰の、どんな課題に強いのか(例:製造業の新規取引先開拓、Webからの問い合わせ増加など)が明示されているかを確認しましょう。あわせて、支援範囲や料金の考え方が、サイトや提案書で分かりやすく示されているかも見ておきたい点です。
その会社自身のサイトや発信内容が具体的かどうかも参考になります。自社の強みを具体的に伝えられている会社であれば、依頼企業の強みを伝える支援にも期待が持てます。
成果を商談・受注で考えているか
問い合わせの件数だけで成果を語る相手には注意が必要です。BtoBでは、自社が対応できない内容や、取引につながりにくい相手からの問い合わせが増えても売上には結びつきません。見込み客は数より質であり、最終的に何件の商談・受注につながったかで成果を考える相手を選びましょう。
依頼先を比較する際は、何件受注すれば費用を回収できるか、一緒に試算してもらうと判断材料になります。 例えば、月々の支援費用を受注1件あたりの粗利で割ると、支援費用を回収するために必要な受注件数の目安が分かります。 この数字をもとに、提案内容が現実的かどうかを話し合える相手か確かめてください。
担当者と契約条件
相談時の営業担当と、契約後に実際の支援を担当する人が異なる場合があります。 実際の担当者は誰か、その人の説明が専門用語に頼らず分かりやすいかを、契約前に確認しておきましょう。
契約条件では、次の点を確認しておくと、後からのトラブルを防ぎやすくなります。
- 契約期間:最低契約期間があるか、更新の条件はどうなっているか
- 途中解約:途中で解約できるか、その場合の費用や手続き
- アカウントの名義:広告やツールのアカウントが自社名義か支援会社名義か。支援会社名義の場合、契約終了後にデータや設定を引き継げないことがあります
- ノウハウの引き継ぎ:契約終了時に、資料・データ・運用の手順などを受け取れるか
依頼前に社内で整理しておくこと
相談の前に、次の4点を整理しておくと、提案内容を比べやすくなります。
- 目的を件数で決める:月に何件の商談・受注を増やしたいか
- 現状を把握する:問い合わせがどの経路から何件来ているか、受注までどのように進んでいるか
- 窓口と決裁者を決める:社内で誰が窓口になり、誰が最終判断をするか
- 予算と期間を決める:どのくらいの費用を、どのくらいの期間かけられるか
まとめ
BtoBマーケティングコンサルへの依頼は、次の順番で考えると判断しやすくなります。
- ① 足りないのは戦略か、実行する人かを切り分ける
- ② 支援の型を決める(助言中心/実行支援・代行/伴走)
- ③ 選び方の観点で比べる(業種の理解、得意分野、成果の考え方、担当者と契約条件)
①で「方針はおおよそ見えているが、実行する人が足りない」と分かった場合は、施策の実行を外部に任せる方法も検討しましょう。
弊社では営業代行サービスをアナログ・デジタルの両方で支援しています。検索やAI経由の問い合わせを増やしたい場合はurikata.ai、新しい法人取引先へ直接案内したい場合はFAX営業代行もご検討ください。
米澤 俊一(よねざわ しゅんいち)
株式会社セールスマーケティングファーム代表
1979年横浜市出身。日本体育大学卒業。
IT企業で4年間Web運営に携わった後2008年に独立。
その後、福井県のベビーリーフ農家へ転身し、独自の営業手法を駆使してわずか2ヶ月でスーパー150店舗、レストラン400店舗との新規取引を開拓。ビニールハウス2棟から33棟への急拡大を牽引。OTAや農業ベンチャーの役員を経て、現在は営業職不在の中小企業を支援する営業代行会社の代表取締役。