
重機のレンタル依頼は元請けや取引先からの紹介が中心で、新しい顧客がなかなか増えない。そんな悩みを抱えている重機レンタル業の経営者や営業担当の方も多いのではないでしょうか。
背景には、既存客からの紹介に依存しやすい業界構造と、価格競争による利益率の低下という、重機レンタル業特有の事情があります。新規開拓の手法を見直すことは、安定した受注確保につながります。
本記事では、重機レンタル業に有効な新規開拓の手法と、FAXDM(FAXを使った案内送付による営業手法)の活用方法とコツについて詳しく解説していきます。
重機レンタル業で新規開拓が進まない理由

重機レンタル業では、新規の取引先を増やしたいと考えていても、日々の業務に追われて営業活動まで手が回らないケースが少なくありません。ここでは、新規開拓が進みにくい2つの要因について確認します。
既存客・元請け経由の紹介に依存しやすい業界構造
重機レンタル業では、元請けやこれまでの取引先からの紹介によって案件が決まることが多く、自社から積極的に営業をかける習慣が根づきにくいという特徴があります。専任の営業担当を置いていない企業も多く、日常業務と兼務で対応している企業が目立ちます。この構造は一定の安定した受注につながる一方で、紹介元の状況が変われば依頼件数が急に減るリスクも抱えています。取引先が特定の元請けに偏っていると、その元請けの受注状況がそのまま自社の稼働率に直結してしまいます。
そのため、新しい取引先を自社で開拓できる体制を整えておくことが、経営の安定につながります。複数の受注経路を持っておくことは、そうした変動への備えにもなります。
価格競争に陥りやすい市場環境
国土交通省の建設業許可業者数調査によれば、建設業許可業者数は近年増加傾向にあり、取引先の選択肢が広がる一方で、価格だけで比較されやすい状況が生まれています。同じ機種であれば、依頼先はレンタル料金で選ばれやすくなるため、値引き競争に巻き込まれやすくなります。加えて、建設業では2024年4月から時間外労働の上限規制が適用され、現場の稼働スケジュールにも変化が生じています。工期の組み方や重機の稼働時間帯にも影響が及んでおり、これまでと同じ営業の仕方だけでは対応しきれない場面も出てきています。
そんな状態から抜け出すためにも、対応の早さや保守体制、機種の豊富さといった強みを具体的に伝え、価格だけに頼らない付加価値の伝え方が、これまで以上に重要になっています。
重機レンタル業に有効な新規開拓の手法

新規開拓の手法には、こちらから働きかける「プッシュ型」と、相手に見つけてもらう「プル型」の2つの型があります。どちらか一方だけに偏るのではなく、自社の状況に応じて組み合わせて活用することが、無理のない新規開拓につながります。ここでは、それぞれの特徴と重機レンタル業との相性を確認します。
プッシュ型営業(テレアポ・飛び込み・FAXDM等)
プッシュ型営業は、電話や訪問、FAX等で自社から企業に働きかける方法です。テレアポ(電話での商談予定獲得営業)や飛び込み営業は、建設・解体業者へ直接自社のサービスを提案できる点が強みですが、専任の担当者が必要で、断られる件数も多いため精神的な負担が大きくなりがちです。
その点FAXDMは、電話や訪問に比べて一度に多くの企業へ提案でき、紙として残る為担当者が不在でも提案内容を確認してもらいやすい方法です。また、配信に対応する人数も場合によっては1人で対応出来るため、人手が限られる重機レンタル業でも取り組みやすい手法といえます。複数のプッシュ型営業を並行して進める必要はなく、自社の人員体制に合わせて一つずつ試しながら、反応の良かった手法に力を入れていく進め方が現実的です。
こちらについては以下の動画でも解説しています。
プル型営業(自社サイトSEO対策・広告等)
プル型営業は、SEO対策(検索結果で自社サイトが上位に表示されやすくする取り組み)、インターネット広告を通じて、重機を探している企業に見つけてもらう方法です。「重機レンタル+地域名」「重機レンタル+相場」など利用の意欲が明確な顧客が入力しているキーワードを調査し、そのキーワードで検索されたときに自社サイトが見つかる状態を作ることで、問い合わせにつながりやすくなります。
ただし、自社サイトの整備やSEO対策には一定の時間がかかるため、すぐに問い合わせを増やしたい場合は、インターネット広告やプッシュ型営業と組み合わせて進めるのが現実的です。プル型営業は中長期の取り組みと捉え、並行してプッシュ型営業で目の前の受注を確保していく形が無理のない進め方です。
| 手法 | コスト目安 | 即効性 | 向いている企業・ フェーズ |
| テレアポ・飛び込み営業 | 人件費が中心(月数万円程度〜) | 比較的早い | 営業に人手を割ける企業 |
| FAXDM | 配信1社あたり数十円程度〜 | 早い | 営業体制が薄い中小企業 |
| 展示会・イベント出展 | 出展料など数十万円程度〜 | 中程度 | 認知拡大を狙う企業 |
| 自社サイト・SEO対策 | 制作費数十万円程度〜、運用は月数万円程度〜 | 時間がかかる | 中長期で問い合わせを増やしたい企業 |
| インターネット広告(リスティング広告等) | 広告費に応じて変動 | 早い | 一定の広告予算を確保できる企業 |
FAXDMを使った新規開拓の進め方

ここでは、重機レンタル業とFAXDMの相性や、実際に取り組む際の進め方について解説します。自社の体制や予算に合わせて、無理なく始められる規模から取り組んでいきましょう。
FAXDMが重機レンタル業に向いている理由
重機レンタル業の取引先は建設業・解体業・土木業など業種がある程度絞り込める法人であり、FAX番号のリストを用意しやすいという特徴があります。電話営業のように担当者と直接話す必要がないため、少人数の体制でも配信作業を進められます。
また、建設現場は電話がつながりにくい時間帯も多く、担当者が不在の間でも紙として残るFAXDMは、現場仕事が中心の業界と相性の良い手法といえます。費用に関しても、郵送のDMと比べて、FAXDMは印刷・封入の手間が少なく、比較的低コストで繰り返し配信しやすい点も特徴です。
関連記事:DM発送代行のメリット・デメリットは?基礎知識と相場をわかりやすく解説
配信先リストの選び方
配信先リストは、業種、対応可能な配送エリア、企業規模などの条件で絞り込みます。
- 業種(建設業・解体業・土木工事業など、重機を利用する業種)
- 対応可能な配送エリア(自社の配送範囲内かどうか)
- 企業規模(従業員数や取引実績の有無)
多くの人へ提案出来る方法だからと言っても、やみくもに配信数を増やすより、自社のサービスに需要を感じている企業に絞り込んだリストは反響が出やすいです。この時、最初からニッチな業種など条件を極端に絞り込みすぎると配信数が少なくなるため、まずは広めの条件で配信し、反応率を見ながら徐々に条件を調整していく進め方も検討できます。
紙面作成で押さえるポイント
FAX紙面の作成方法についてですが、とにかく「営業臭」を消す事が重要です。紙面の上部は、顧客が抱える課題とその解決策を短文でわかりやすく明記し、突然の連絡に対するお詫びを完結に記載し、提案した経緯と、対応可能な重機の種類や台数、配送エリア、問い合わせ先を記載しましょう。
正直このような書き方だと、他で推奨されている画像やロゴが無く、地味で効果が無いと感じる方も多いと思います。ですが、必ずモノクロで印刷される為、画像は黒く見えにくいものにもなりますし、詳細を読まなくてもパッと見で「営業」と判断できませんか?そんな広告っぽさをなくした紙面は、取引先からの重要事項かも知れないと感じさせ、「読ませる」ことに注力できます。
また、送信者情報(社名・連絡先等)を案内文に明記しておくことも欠かせません。BtoB間のFAXDMは通信販売を対象とする特定商取引法の直接の規制対象ではありませんが、消費者庁の[特定商取引法ガイド(通信販売)]で示されている考え方に沿った実務対応を心がけることで、相手企業との信頼関係を保ちやすくなります。
自社サイト・Web発信を組み合わせて問い合わせを増やす

FAXDMなどのプッシュ型営業に加えて、自社サイトを整えておくことも新規開拓には有効です。ここでは、Web発信で意識したいポイントを確認します。
検索されるための情報発信
保有する重機の機種一覧や対応エリア、過去の施工事例などをサイト上で紹介しておくと、重機レンタル業者を探している企業から見つけてもらいやすくなります。情報量が多く整理されたサイトは、問い合わせ前の比較検討段階でも選ばれやすい傾向があります。
FAXDMで接点を持った企業が、後日サイトで詳細を確認するというケースも珍しくありません。もし案内文とサイトの内容にずれがあると、問い合わせを迷わせてしまう原因になります。オフラインとオンラインの情報を一致させておくことが大切です。
AI検索からの流入にも対応する重要性
近年は、ChatGPTなど生成AIを使った検索から情報にたどり着く企業も増えています。Google検索とAI検索の両方から見つけてもらえるよう、サイトの情報網羅性を高めておく視点が今後さらに重要になります。
ただサイトの見栄えの良さだけを意識したり整えるのではなく、取り扱っている機種の対応可否や料金の目安、問い合わせ方法といった実務的な情報をしっかり掲載しておくことが、検索経由の問い合わせを増やす近道になります。施工事例や機種ごとの特徴をテキストで丁寧に説明しておくことは、生成AIが情報を正しく参照する際にも役立ちます。
重機レンタル業の新規開拓を成功させるポイント

新規開拓の手法を選ぶ前に、押さえておきたい2つのポイントを確認します。どちらの項目も社内で話し合うだけで確認できる内容です。
目的・数値目標を明確にしてから手法を選ぶ
「遊休重機の稼働率を上げたい」「閑散期の受注を確保したい」など、新規開拓の目的を先に定めておくことで、選ぶべき手法や配分すべき予算感が把握できます。目的があいまいなまま、なんとなくで進めてしまうと、途中で効果を判断できなくなってしまいます。
問い合わせ数や、商談につながった件数の割合(商談化率)など、項目ごとの指標(KPI)を決めておくと振り返りがしやすくなります。数か月単位で振り返り、反応の良かった手法に予算を寄せていく進め方が着実です。
新規開拓と既存顧客フォローを両立させる
新規開拓に力を入れるあまり、既存客への対応が手薄になっては本末転倒です。既存客からの紹介や再依頼も引き続き重要な受注源であるため、稼働状況を見ながら無理のない範囲で新規開拓を進めることが望まれます。
新規開拓で得た取引先が、将来的に紹介元になってくれる可能性もあります。目先の受注だけでなく、長く付き合える取引先を増やすという視点を持つことで、営業活動全体の方向性が定まりやすくなります。
| 確認項目 | 判断基準 | 具体例 |
| 目的の明確化 | 何のために新規開拓するかが定まっているか | 遊休重機の稼働率向上、閑散期の受注確保など |
| 予算感の設定 | 施策にかけられる費用感を把握しているか | 月数万円規模か、まとまった予算を確保できるか |
| ターゲットの絞り込み | 対象業種・エリアが具体化されているか | 建設業・解体業、対応可能な配送エリアなど |
| 既存顧客との両立 | 新規開拓が既存客対応の負担にならないか | 稼働状況を踏まえた優先順位付け |
まとめ:営業手法を組み合わせて新規開拓を成功させる
重機レンタル業の新規開拓が進みにくい背景には、紹介中心の受注構造と価格競争という2つの要因があります。テレアポやFAXDM等のプッシュ型営業と、自社サイトによるプル型営業を組み合わせることで、紹介だけに頼らない受注の入り口を増やせます。
まずは目的と数値目標を明確にしたうえで、自社の体制に合った手法から着手することが現実的な進め方です。人手が限られている場合は、FAXDMのように少人数でも取り組みやすい手法や、発送業務の外部委託も選択肢になります。どの手法から始めるにしても、まずは自社の体制や予算に合った一歩から着手し、反応を見ながら改善を重ねていくことが新規開拓を軌道に乗せる近道です。
FAXDMを活用した新規開拓については、urikata.netでもご相談を承っています。
米澤 俊一(よねざわ しゅんいち)
株式会社セールスマーケティングファーム代表
1979年横浜市出身。日本体育大学卒業。
IT企業で4年間Web運営に携わった後2008年に独立。
その後、福井県のベビーリーフ農家へ転身し、独自の営業手法を駆使してわずか2ヶ月でスーパー150店舗、レストラン400店舗との新規取引を開拓。ビニールハウス2棟から33棟への急拡大を牽引。OTAや農業ベンチャーの役員を経て、現在は営業職不在の中小企業を支援する営業代行会社の代表取締役。