
日本酒やビール、ワインなどを扱う酒蔵・酒類卸・酒販店の中には、居酒屋や既存の卸先だけに頼った営業では、この先の売上に不安を感じているという方も多いのではないでしょうか。
東京商工リサーチの調査によると、2026年上半期の居酒屋倒産は過去最多の118件に達し、統計開始以来で初めて上半期に100件を超えました。値上げと節約志向の板挟みで、既存の販路が縮小しているのが実情です。
本記事では、酒類業界における新規開拓・販路開拓の具体的な方法と、飲食店や酒販店から選ばれる酒類事業者の条件、FAXDM活用時の注意点をわかりやすく解説します。
酒類業界で新規開拓・販路開拓が求められる背景

酒類業界を取り巻く環境は大きく変化しており、既存の販路だけに依存する経営にはリスクが生じています。ここでは、酒類業界で新規開拓・販路開拓が求められる背景を解説します。
酒類卸・酒販店の廃業増加と市場縮小の実態
財務省の資料によると、酒類全体の課税数量は平成11年度の1,017万キロリットルをピークに減少傾向が続いています。人口減少や飲酒習慣の多様化を背景に、酒類市場全体が緩やかな縮小局面にあることがうかがえます。そのため、既存の得意先が今後も同じ量を買い続けてくれるとは限らず、市場全体が縮む中では、取引先の数そのものを増やしていかなければなりません。
また、東京商工リサーチの調査によると、2026年上半期(1〜6月)の居酒屋(酒場・ビヤホール)の倒産は118件で、統計を開始した1989年以降で上半期として最多を記録しました。前年同期の98件を大幅に上回り、上半期で初めて100件を超えているというのが現状です。ビールやウイスキー、日本酒などの値上げが続く一方、来店客の節約志向が強まっており、原因別では「販売不振」が全体の約9割を占めています。宴会需要が中心だった飲食店では、忘年会や歓送迎会の回数そのものが減る傾向もみられます。(参照:東京商工リサーチ TSRデータインサイト)
居酒屋は酒類の重要な販路のひとつであり、その減少は酒蔵・酒類卸・酒販店にとって既存取引先の先細りを意味します。従業員10名未満の小規模店の倒産が全体の97%超を占めており、地域密着型で長年取引してきた事業者ほど影響を受けやすい状況です。取引先の廃業は、売上の減少だけでなく、これまで積み上げてきた与信管理や配送ルートの見直しといった負担も伴います。
既存ルート・下請け構造に依存するリスク
特約店制度や長年の取引慣行に守られてきた酒類業界では、「今の取引先で十分」と考える事業者も少なくありません。しかし、取引先である酒販店や飲食店そのものが淘汰される時代においては、既存ルートに依存し続けることそのものが経営リスクになり得ます。
特定の得意先への依存度が高いほど、その1社の廃業や取引縮小が自社の売上に直結してしまうためです。新規の取引先を継続的に開拓できる体制を持つことは、こうした売上減少のリスクを分散し、経営の安定につながります。
急に営業体制を大きく変える必要はなく、月に数件でも新規の商談機会をつくる仕組みを持つことが、長期的な安定経営の土台になります。特に営業担当者を専任で置けない小規模な酒蔵や酒販店ほど、日々の業務と両立できる形で新規開拓を進める工夫が欠かせません。
酒類業における新規開拓・販路開拓の主な方法

新規開拓・販路開拓の手法は一つではありません。それぞれ必要な人手やコスト、成果が出るまでの期間が異なるため、自社の営業体制に合った方法を選ぶことが重要です。ここでは、酒類業で実践されている代表的な4つの方法を紹介します。1つの方法にこだわらず、自社の商材や体制に合わせて複数を組み合わせることで、新規開拓の間口を広げやすくなります。
飲食店・小売店への直接提案
酒蔵や酒類卸が飲食店や酒販店に直接提案し、商品の強みや売れる根拠を提示して取引を獲得する方法です。相手の業態やメニュー構成を踏まえた提案ができるため、単価や取引条件の交渉がしやすいのが特徴です。実際に商品を持参して試飲してもらえるため、価格だけでは伝わりにくい品質の良さを直接アピールできる点も強みといえます。
一方で、営業担当者の人手と時間を要するため、営業体制が手薄な中小事業者にとってはハードルになりやすい一面もあります。訪問件数を確保できなければ商談自体が生まれにくく、成果が営業担当者個人のスキルや経験に左右されやすい点には注意が必要です。
展示会・商談会への出展
酒類関連の展示会や商談会に出展し、複数のバイヤーと一度に接点を持つ方法です。試飲や商品説明を通じて自社商品の魅力を直接伝えられる一方、出展費用や準備の手間がかかり、成果につながるまでに時間を要する部分には注意が必要です。
取り組む場合は単発の出展で終わらせず、名刺交換した相手先への継続的なフォローを行うことで、成約につながる可能性が高まります。会場では同業他社の商品構成や価格帯を直接見比べられる点も、出展のメリットのひとつです。
自社サイト・Web発信での認知獲得
自社サイトやSNSで商品情報や取り扱い実績を発信し、顧客側からの問い合わせを継続的に獲得する方法です。Google検索やAI検索から自社の情報を見つけてもらうためには、商品情報や取引条件をサイト上で網羅的に発信しておくことが重要になります。
営業担当者が個別に説明しなくても、サイトを見ただけで取引のイメージが湧くように情報を整えておくことが、問い合わせの獲得につながります。ただホームページがあるだけでは情報量が少ないですし、定期的な最新情報を発信しないと網羅性が薄れていき、人だけでなくインターネットからも見つけてもらいにくくなる点には注意が必要です。
FAXDM・営業代行の活用
商品案内や企業リストの準備、配信までを外部に任せられるFAXDM営業代行を活用する方法です。これは営業人員が不足しがちな中小の酒類事業者と相性の良い手法といえます。飛び込み営業やテレアポと異なり、相手の手が空いた時間に目を通してもらえる紙媒体である点も、多忙な飲食店や酒販店への営業に向いています。
いきなり営業代行に頼むのはちょっと…と言う場合でもテレアポや訪問営業に比べれば工数や人手がない状態でも取り組むことができます。まずは低コストで幅広く営業できるFAXDMで反響のある相手先を見極め、その後の商談を直接営業で深めていく組み合わせ方も有効です。
関連記事:飲食店・レストランへの直接販路開拓が求められる理由と切り替えの提案方法
| 方法 | メリット | 留意点 |
| 直接提案 | 柔軟な条件交渉がしやすい | 営業の人手と時間が必要 |
| 展示会・商談会 | 複数の見込み先と一度に接点を持てる | 出展費用と準備の手間がかかる |
| Web発信 | 24時間問い合わせを受け付けられる | 効果が出るまで時間がかかる |
| FAXDM・営業代行 | 低コストで人手をかけずに開拓できる | 反応率は0.1〜0.3%程度が目安 |
新規の取引先に選ばれる酒類事業者の条件

新規開拓の手法を実践しても、相手に選ばれる材料がなければ取引にはつながりません。ここでは、飲食店や酒販店、卸から選ばれるために酒類事業者が押さえておきたい条件について解説します。
自社商品の強み・売れる根拠の明確化
「美味しい」といった主観的な魅力だけでは、初めて取引する相手の判断材料にはなりません。産地や製法、価格帯、想定される客層など、自社商品が相手のメニューや品揃えにどう貢献できるかを客観的な言葉で整理しておくことが重要です。
既存の取扱商品と比べてどのような差別化ポイントがあるのか、どの客層に刺さりやすいのかあらかじめ言語化しておくと、初めて話す相手にも短時間で魅力が伝わりやすくなります。取引実績や生産量の推移など、裏付けとなる情報をあわせて提示できると、相手の検討材料としての説得力も高まります。
また、直接提案だけに限らず情報を整理して言語化する事は、商談資料としても、FAXDMの原稿やWebサイトの掲載内容としても活用できるため、早い段階で情報の棚卸しをしておくことをおすすめします。
販促協力や柔軟な取引条件の提示
小ロットからの取引に対応する、配送方法を相手の営業時間に合わせるなど、柔軟な取引条件を用意できる酒類事業者は、大手にはない魅力として選ばれやすくなります。
あわせて、POPやメニュー提案、季節商品の情報提供など、相手先の販売そのものを後押しする姿勢を見せることも、継続的な取引につながるポイントです。単発の取引で終わらせず、相手の商売の成功を一緒に考えるという誠意が、長期的な信頼関係の構築につながります。
営業代行を使った酒類業の新規開拓の進め方

営業担当者を新たに増やせない酒類事業者にとって、営業代行は現実的な選択肢のひとつです。ここでは、代行会社を利用した場合の実際の進め方についてFAXDMを例にして解説します。
商品案内・企業リスト作成から配信までの流れ
営業代行は、テレアポ・メール・問い合わせフォームなどを活用し、営業リスト作成や初回連絡、商談日程の獲得などの一部あるいはすべてを代行する会社です。FAXDM営業代行では、まず商品の魅力が一目で伝わる紙面を作成し、送付先となる飲食店や酒販店、卸などをまとめた営業リストを準備します。紙面とリストが整った後に配信を実施します。
配信する紙面には、商品の特徴に加えて、サンプル提供や初回限定の条件など、返信のハードルを下げる工夫を盛り込み、自社の強みに需要を持つ企業だけに絞り込んだ営業リスト宛に配信することで、反応率を高めます。
また、配信して終わりではなく、業態別・エリア別の反響を記録し、次回配信の原稿やリストの精度に反映させていくことで、新規開拓の効率を少しずつ高めていくことができます。
少人数・低コストで営業活動を進める仕組み
私達urikata.netでは、商品案内の作成から企業リストの準備、FAX配信までを1社約20円からまとめて任せられる仕組みを整えています。営業担当者が不在の酒類事業者でも、既存の業務と並行しながら新規開拓に取り組むことができます。
原稿作成や配信先リストの精度づくりといった専門的な工程を丸ごと任せられる点が特徴で、配信後の反響先へのフォローに集中できます。醸造や仕入れ、店舗運営など本業に追われがちな酒類事業者にとって、営業活動の一部を丸ごと外部に任せられる点は大きな負担軽減につながります。
酒類業が新規開拓を進める際の注意点

新規開拓を進めるうえで、法令やマナー面での配慮も欠かせません。ここでは、酒類業がFAXDMや訴求表現で注意すべき点を解説します。
FAXDM送信時の実務対応
2017年12月に施行された改正特定商取引法により、通信販売事業者が一般消費者に送るFAX広告には、送信拒否の意思表示手段の表示と送信者情報の明記が義務化されています(詳細は消費者庁の特定商取引法ガイドを参照)。法人間(BtoB)のFAXDMはこの規制の直接対象ではありませんが、送信停止の依頼には速やかに対応し、原稿に社名や連絡先を明記するなど、誠実な運用を心がけることが取引先からの信頼構築につながります。
また、飲食店や酒販店は開店・閉店の入れ替わりも多い業界のため、配信リストに記載された情報の鮮度を定期的に見直すことも、誤送信によるクレームや違反を防ぐうえで大切です。
成果を誇張しない訴求表現の注意点
新規開拓の成果を紹介する際は、「必ず売上が伸びます」といった断定的な表現は避け、「〜という結果が出ています」のように事実に基づいた言い回しにとどめることが重要です。実績数値を紹介する場合も、根拠のある事例に基づいた内容にとどめましょう。
合わせて、景品表示法上のリスクを避けるためにも、根拠のない「業界No.1」といった最上級表現や、他社を名指しで批判するような表現は使用しないよう注意が必要です。誇張のない誠実な情報発信を積み重ねることが、結果として取引先からの信頼獲得につながります。
| 項目 | 望ましい対応 |
| 送信拒否への対応 | 申し出があれば速やかにリストから除外する |
| 送信者情報 | 社名・連絡先を原稿に明記する |
| 成果の訴求表現 | 断定的な表現を避け、事実に基づいた言い回しにする |
まとめ:多くの取引先を獲得するには小さなことからコツコツと
酒類業界では、居酒屋をはじめとした既存の販路が縮小しており、酒蔵・酒類卸・酒販店にとって新規開拓・販路開拓は避けて通れない課題になっています。直接提案や展示会出展、Web発信、FAXDM営業代行など、自社の営業体制に合った方法を組み合わせることが、安定した取引先の確保につながります。
とりわけ、営業担当者を新たに雇用する余裕がない酒類事業者にとって、商品案内の作成から配信までを任せられるFAXDM営業代行は、低コストで始められる現実的な選択肢です。まずは自社商品の強みを整理し、無理のない範囲で新規開拓に着手してみてはいかがでしょうか。既存の取引先との関係を大切にしながら、少しずつ新しい販路を積み上げていくことが、酒類事業者の安定した経営につながっていきます。営業担当者の有無にかかわらず、今できる一歩から新規開拓を始めてみてください。
酒類業の新規開拓・販路開拓ならurikata.netにご相談ください
米澤 俊一(よねざわ しゅんいち)
株式会社セールスマーケティングファーム代表
1979年横浜市出身。日本体育大学卒業。
IT企業で4年間Web運営に携わった後2008年に独立。
その後、福井県のベビーリーフ農家へ転身し、独自の営業手法を駆使してわずか2ヶ月でスーパー150店舗、レストラン400店舗との新規取引を開拓。ビニールハウス2棟から33棟への急拡大を牽引。OTAや農業ベンチャーの役員を経て、現在は営業職不在の中小企業を支援する営業代行会社の代表取締役。