
紹介や口コミだけに頼った受注が続き、新しい取引先や送客ルートがなかなか増えないとお悩みではないでしょうか。
葬儀業界は特別な資格や許可が不要で参入障壁が低いため、異業種からの新規参入が相次ぎ、価格競争が激しくなっています。待ちの姿勢だけでは受注が安定せず、紹介や広告に頼るだけでなく、個人客への集客と法人への営業を組み合わせた新規開拓が欠かせなくなっています。
本記事では、葬儀社が取り組める新規開拓・販路開拓の具体的な手法を、BtoC集客とBtoB法人営業に分けて比較しながら、自社の状況に合った進め方を解説します。
葬儀社の新規開拓が難しい理由と押さえるべき前提

葬儀社の新規開拓が思うように進まない背景には、業界特有の受注構造と競争環境があります。ここでは、対策を検討する前に押さえておきたい3つの前提を確認します。
紹介・口コミに依存した受注構造からの脱却が課題
葬儀は多くの場合、家族や親族に不幸があった際に急に必要となるサービスです。そのため、事前に比較検討する時間が少なく、施設や病院、知人からの紹介、あるいは口コミで葬儀社を決めるケースが少なくありません。
実際、葬儀社を選ぶ理由として「近くだったから」「口コミや評判」「互助会を通じて」といった声が多く聞かれる傾向があり、紹介ルートの重要性がうかがえます。
紹介や口コミだけに依存した受注体質では、紹介元の人事異動や取引方針の変化によって、売上が大きく左右されてしまいます。安定した受注を確保するには、自ら能動的に見込み顧客との接点を作る新規開拓の視点が欠かせません。
参入障壁の低さによる価格競争の激化
葬儀業は特別な資格や許可、大きな設備投資が不要なため、鉄道会社や異業種企業からの新規参入が相次いでいます。参入事業者が増えるほど、価格を軸にした競争は激しくなり、待っているだけでは選ばれにくい状況が生まれています。
また、葬儀費用の支払い方法もローンや分割払いなど多様化しており、消費者にとって選択肢が広がっている一方、葬儀社側は価格の見せ方やわかりやすい説明で差別化を図る必要が出てきています。自社の対応実績や明瞭な料金表示など、他社との違いを明確に打ち出すことも、新規開拓を後押しする土台になります。
葬儀を自社で行わず集客と紹介のみを担う仲介事業者も増えており、価格だけで比較されないためにも、自社の強みを伝えられる新規開拓の手を打つ必要があります。
「今すぐ客」と「そのうち客」の両方を対象にする視点
新規開拓を考える際は、今すぐ葬儀社を探している「今すぐ客」と「そのうち客」の両方を意識することが大切です。
今すぐ客には検索広告や地域名を絡めたSEO(検索エンジンでの上位表示を狙う)など即効性や地域性のある施策が向いており、そのうち客には終活セミナーや法人との関係構築など、時間をかけて信頼を積み上げる施策が向いています。
例えば、葬儀の基礎知識やマナーを解説する記事はそのうち客の情報収集に役立ち、地域名を絡めた費用相場のページは今すぐ客の比較検討に役立ちます。両方の切り口を用意しておくことが、幅広い層との接点づくりにつながります。
新規開拓の2つの軸:BtoC集客とBtoB法人営業

葬儀社の新規開拓は、個人客に直接アプローチする「BtoC集客」と、送客元や法人契約先を開拓する「BtoB法人営業」の2つの軸で考えると整理しやすくなります。ここでは、それぞれの特徴を確認します。
BtoC集客(個人客への直接提案)でできること
BtoC集客は、ホームページやポータルサイト、Web広告などを通じて、葬儀を検討している個人や家族に直接提案する方法です。Googleなどの検索エンジンやSNSを使って情報収集する人が増えているため、Web上での情報発信は多くの葬儀社にとって欠かせない取り組みになっています。
自社ホームページに葬儀の流れやマナー、費用に関するコラムを掲載しておくと、検索経由での流入だけでなく、家族や友人に相談を受けた人が確認する際の信頼材料にもなります。
一方で、競合も同じ土俵で情報発信をしているため、価格や見た目の訴求だけでは埋もれてしまいやすいという側面もあります。自社ならではの強みを、わかりやすい言葉で伝える工夫が求められます。
BtoB法人営業(送客元・法人契約の獲得)でできること
BtoB法人営業は、介護施設や医療機関、士業などの「送客元」となる法人や、福利厚生・社葬契約といった形で自社を直接利用してもらう法人との関係を築く方法です。
たとえば、企業の福利厚生として葬儀サービスを割引価格で導入してもらう提案や、供花・弔電の指定業者として窓口を一本化してもらう提案などが代表的です。こうした関係は一度築ければ、長期的な取引につながりやすいという特徴があります。
1件あたりの単価が高くなりやすく、継続的な紹介ルートを確保できれば、個人客の集客だけに依存しない安定した受注基盤を作れます。具体的な送客元業種の選び方や、法人営業を成功させるコツについては、以下の記事で詳しく解説していますので、あわせてご参照ください。
関連記事:葬儀社の集客を安定させる営業戦略|送客元になる業種と法人営業の進め方
BtoC集客とBtoB法人営業には、対象となる相手や成果が出るまでの速さ、必要な工数や人手などのリソースにそれぞれ違いがあります。下記の表で全体像を整理します。
| 項目 | BtoC集客 | BtoB法人営業 |
| 主な対象 | 葬儀を検討している個人・家族 | 介護施設や医療機関、士業などの法人 |
| 即効性 | 広告出稿など即効性のある施策もある | 関係構築に時間がかかりやすい |
| 単価の傾向 | 個人葬の規模に応じた単価 | 継続契約や社葬など高単価案件も期待できる |
| 必要なリソース | Web運用や広告予算 | 訪問や提案を行う営業人員 |
葬儀社の新規開拓・販路開拓に使える具体的な手法

新規開拓の方向性が定まったら、次は具体的にどの手法から着手するかを検討します。ここでは、Web集客系、オフライン集客系、法人向けの3つに分けて主な手法を紹介します。
Web集客系の手法(SEO・MEO・ポータルサイト・Web広告)
自社ホームページのSEO対策や、地図検索で上位表示を狙うMEO対策は、中長期的に安定した集客が見込める手法です。「地域名+葬儀社」といった利用する意図や意欲が明確なキーワードで上位に表示されれば、広告費をかけずに継続的な問い合わせにつながります。
Googleビジネスプロフィールへの登録も、無料で始められる基本的な施策です。エリアや対応可能なサービス内容を詳しく設定し、口コミへの返信を積み重ねることで、MEO対策の効果を高められます。
ポータルサイトへの掲載やリスティング広告は即効性がある一方、成約時の手数料やクリック単価がかかる点に注意が必要です。潜在層向けの情報発信と、今すぐ客向けの地域名キーワード対策を両立させることがポイントです。
オフライン集客系の手法(チラシ・ポスティング・地域イベント)
チラシのポスティングは、インターネットをあまり使わない層や、まだ検索行動に至っていない潜在層への接点作りに向いています。配布エリアやターゲットの年代を絞り込むことで、破棄されにくいチラシに仕上げられます。
配布するチラシには、葬儀の準備チェックリストや費用の目安など、読み手にとって役立つ情報を盛り込むと、その場で捨てられず保管してもらえる可能性が高まります。
終活セミナーや事前相談会などの地域イベントも、直接的な受注にはつながりにくいものの、自社を知ってもらうきっかけになります。定期的に開催し、口コミでの広がりを狙う姿勢が大切です。
法人向けの手法(飛び込み・テレアポ・FAX DM・郵送DM)
介護施設や病院、士業などへの法人向けの営業には、飛び込み訪問やテレアポのほか、FAX DMや郵送DMといった手法があります。FAX DMは、決裁者や現場の担当者宛てに直接情報を届けやすい手法で、比較的低コストで多くの企業に提案することができます。
決裁権を持つ施設長や事務長、総務担当者など、キーマンとなる人物に直接届く形で情報を送れる点も、法人向けならではの利点です。
なお、FAX DMを送る際は、送信停止の依頼があった場合に速やかに対応することや、自社の社名・連絡先を明記することなど、相手に配慮した運用を心がける必要があります。FAX DMを含む営業代行の活用については、以下の記事もあわせてご覧ください。
関連記事:営業代行とは?派遣との違いや依頼すべき企業の条件をプロが解説
ここまで紹介した手法は、コストやスピード、向いている事業者の規模がそれぞれ異なります。下記の表で特徴を比較します。
| 手法 | コスト | スピード | 向いている事業者 |
| SEO・MEO対策 | 低め(運用の手間はかかる) | 効果が出るまで数か月〜半年 | 中長期的な集客基盤を作りたい事業者 |
| ポータルサイト・広告 | 成約時の手数料やクリック課金が発生 | 比較的早い | すぐに問い合わせを増やしたい事業者 |
| チラシ・地域イベント | 印刷費や会場費程度 | 中期的 | 地域密着で信頼を積み上げたい事業者 |
| FAX DM・法人向けアプローチ | 1社あたりのコストを抑えやすい | 提案先の検討期間による | 送客元や法人契約を開拓したい事業者 |
新規開拓を進める際に注意したいポイント

新規開拓の手法を実行に移す際は、表示や情報発信の仕方に注意が必要です。ここでは、特に押さえておきたい2つのポイントを解説します。
広告表示・景品表示法上のリスクを避ける
葬儀社の広告表示をめぐっては、実際には条件付きで追加料金が発生するにもかかわらず「追加料金不要」と表示するなど、景品表示法上の措置命令の対象となった事例が公表されています。
特に「他社より安い」といった比較表現を使う場合は、根拠となるデータや比較条件を示せなければ、不当表示と判断されるおそれがあるため注意しましょう。
自社の広告やチラシ、ホームページで料金やサービス内容を伝える際は、条件や例外がある場合にその内容を明確に記載し、消費者に誤認を与えない表示を心がけることが重要です。景品表示法の詳しい内容は、消費者庁のWebサイトで確認できます。
参考:景品表示法|消費者庁
現場が忙しく営業に手が回らない問題への向き合い方
葬儀の施行やご遺族への対応を優先すると、新規開拓のための時間を確保しづらいという声もよく聞かれます。担当者が営業とご遺族対応を兼務している事業者ほど、この課題は深刻になりがちです。
例えば、新規開拓の中でもリスト作成やFAX DMの配信作業など、定型的な業務から外部に切り出すことで、現場の負担を抑えながら開拓を進められます。
すべての手法を自社だけで進めようとせず、優先順位をつけて着手する、あるいは一部を外部に任せるといった選択肢も検討する価値があります。
販路開拓を仕組み化する進め方

新規開拓を単発の取り組みで終わらせず、継続的な販路開拓の仕組みに育てるには、ターゲットの整理と検証が欠かせません。新規開拓は一度取り組んで終わりではなく、施策ごとの反応を見ながら継続的に改善していく前提で臨む姿勢が求められます。ここでは、具体的な進め方を紹介します。
ターゲットリストの作成と優先順位付け
送客元となりうる介護施設や医療機関、法人契約が見込める地元企業などをリスト化し、接触のしやすさや見込み度に応じて優先順位をつけます。
リストは企業名や連絡先を並べただけでは価値を発揮しません。過去の接触履歴や反応の有無を記録し、優先度の高い先から順に声掛けする運用ルールを決めておくことが重要です。特に法人向け営業は、担当者の異動や施設の方針変更によって状況が変わることもあるため、一度断られたとしても時期を改めて、連絡してみる価値があります。
また、一度作成したリストは放置せず、定期的に情報を更新することで、リストを継続的な資産として活用できます。リストの具体的な活用方法は、以下の記事で事例とあわせて紹介しています。
関連記事:眠った顧客を掘り起こす!営業リストの活用事例と効果的な運用法
複数媒体を組み合わせて検証・改善を繰り返す
Web集客、オフライン施策、法人向けのいずれか一つに頼るのではなく、複数の媒体を組み合わせ、それぞれの反応を確認しながら配分を調整していくことが、安定した販路開拓につながります。
新規開拓の成果は施策ごとにばらつきが出やすいため、月次で問い合わせ経路を振り返り、反応の良かった施策に予算や工数を再配分する運用が効果的です。どの経路からの反応が成約につながりやすいかを定期的に振り返る姿勢が大切です。
営業マン不足なら営業代行の活用も選択肢に

新規開拓の重要性を理解していても、現場の忙しさから実行に移せないという葬儀社様は少なくありません。そうした場合は、営業代行の活用も選択肢のひとつです。
FAX営業代行でできること
営業代行を利用すれば、ターゲットとなる法人リストの準備から、商品案内の作成、FAXや電話での初回連絡の一部またはすべてを任せることができます。現場のスタッフは葬儀の施行やご遺族へのケアといった本来の業務に集中しながら、法人への新規開拓を並行して進められる点がメリットです。
自社に合った代行会社を選ぶ際は、対応可能な業務範囲や、これまでの実績、報告体制などを事前に確認しておくと安心です。
まとめ:葬儀社の新規開拓・販路開拓はご相談ください
葬儀社の新規開拓・販路開拓は、個人客に向けたBtoC集客と、送客元や法人契約を対象にしたBtoB法人営業を組み合わせて考えることで、取り組むべき手法が見えやすくなります。それぞれの手法にはコストやスピード、向いている事業者の規模に違いがあるため、自社の現状に合わせて優先順位をつけることが大切です。
紹介や口コミだけに頼らない受注体制を作るには、ターゲットリストの整備や複数の営業方法の検証といった地道な取り組みを積み重ねる必要があります。一方で、現場の施行やご遺族対応に追われ、法人への新規開拓まで手が回らないという状況も珍しくありません。
私たちは、法人リストの準備から商品案内の作成、FAXでの配信までを1社約20円から丸投げでお任せいただける営業代行サービスを提供しています。営業担当者がいない、あるいは新規開拓に十分な時間を割けないという葬儀社様は、お気軽にご相談ください。
米澤 俊一(よねざわ しゅんいち)
株式会社セールスマーケティングファーム代表
1979年横浜市出身。日本体育大学卒業。
IT企業で4年間Web運営に携わった後2008年に独立。
その後、福井県のベビーリーフ農家へ転身し、独自の営業手法を駆使してわずか2ヶ月でスーパー150店舗、レストラン400店舗との新規取引を開拓。ビニールハウス2棟から33棟への急拡大を牽引。OTAや農業ベンチャーの役員を経て、現在は営業職不在の中小企業を支援する営業代行会社の代表取締役。