水産加工業の法人営業ガイド|価格競争を脱却し売上を改善するコツ

水産加工業の法人営業ガイド|価格競争を脱却し売上を改善するコツ

魚や海産物の加工食品を製造するなかで、法人顧客の新規開拓や売上改善に課題を感じていないでしょうか。原材料費の高騰や人手不足が続く水産加工業界では、下請け中心の製造や価格競争に依存した営業方針のままでは、十分な利益を確保することが難しくなっています。

本記事では、価格競争から脱却し、適正な利益を生み出すための法人営業のコツについて解説します。スーパー・外食・中食といったターゲット業態別の提案手法や、新規開拓の具体的な方法、法人取引で信頼を得る体制づくりのポイントもあわせておりますので、自社の営業方法に活用ください。

水産加工業が抱える法人営業の課題と現状

原材料高騰・人手不足による利益率の低下

気候変動による不漁や世界的な水産物需要の増加、物流費・包装資材の高騰により、原材料の調達コストは上昇を続けています。水産加工の現場では人手不足も深刻で、採用コストや人件費の負担も増加しており、これらのコスト上昇分を販売価格へ転嫁できなければ、利益率は圧迫される一方です。

帝国データバンクの調査によると、2025年は「物価高」を理由とした倒産が949件にのぼり、5年連続で過去最多を更新しました。業種別では製造業のうち「食料品・飼料・飲料製造」が50件で最も多く、コスト上昇が製造業の収益を圧迫している状況がうかがえます。また、2026年4月の同社調査では、正社員の人手不足を感じている企業は50.6%にのぼり、多くの企業が慢性的な人材確保の課題を抱えています。製造業と大きく括っていますが、原材料コストと人件費の両面で利益を圧迫する点は、多くの水産加工業者にも共通する部分でもあります。

参考:帝国データバンク「『物価高』倒産動向調査(2025年)」、帝国データバンク「人手不足に対する企業の動向調査(2026年4月)」

価格競争に陥りやすい「下請け体質」の限界

取引先から指定された仕様通りに製造を行うだけの下請け業務や、相見積もりを前提とした取引では、価格競争に巻き込まれやすくなります。自社で価格決定権を持てない下請け体質を続ける事は、営業担当者がどれほど新規開拓に奔走しても、利益水準の改善は見込みにくいのが実情です。

価格競争から脱却!利益を改善する営業の考え方

自社の「強み」を活かした高付加価値商品の開発

価格競争を避ける第一歩は、自社独自の強みを明確にし、それを商品に反映させることです。市場で仕入れる鮮魚をそのまま卸すのではなく、「たらこ」「干物」「漬け魚」などに加工することで、付加価値は大きく向上します。地元漁港との仕入れネットワークと、独自の味付けや熟成技術を掛け合わせれば、単価が高くても選ばれる商品を生み出すことができます。

御用聞きから「課題解決型(提案型)営業」への転換

顧客から言われたものをただ納品するだけの「御用聞き営業」から脱却し、相手の悩みを先回りして解決する「課題解決型の営業」へ切り替えることが重要です。法人顧客は単に「魚が欲しい」のではなく、「調理の手間を省きたい」「廃棄ロスを減らしたい」といった課題を抱えています。自社の加工品が相手先の厨房における人件費削減や業務効率化にどう貢献できるかを、具体的に提示することが大切です。

【ターゲット別】新規法人顧客を開拓する営業戦略

【ターゲット別】新規法人顧客を開拓する営業戦略

スーパー・量販店:ロス削減と陳列・調理の簡略化

スーパーや量販店の鮮魚・惣菜部門では、人手不足によりバックヤードでの調理負担軽減が急務です。「袋から出して並べるだけ」「すぐにパック詰めできる」加工品の提案が有効です。また、真空パックや冷凍技術で消費期限を延ばし、食品ロスを削減できる点も強力なアピール材料になります。

外食産業(飲食店・ホテル):厨房の省人化を支える加工提案

飲食店やホテルでは、魚を捌ける「職人」の不足が大きな課題です。「完全骨取り済みの切り身」や「ポーション分カット食材」「解凍するだけの刺身商材」を提案することで、調理時間の短縮と品質の均一化を実現できます。

中食産業(惣菜・弁当):独自メニュー開発と柔軟なロット対応

成長市場である中食産業を開拓するには、顧客店舗の差別化につながる「独自メニューの共同開発」を提案するのが効果的です。季節の魚を使ったオリジナル商材など、相手のコンセプトに合わせた提案を強みとしましょう。小ロット納品への対応や容器規格の柔軟な変更も、継続取引につながります。

水産加工業に効果的な新規開拓の営業手法

水産加工業に効果的な新規開拓の営業手法

ターゲットを絞ったDM・電話によるピンポイント営業

地域の飲食店や中規模スーパーへの営業では、ダイレクトメール(DM)や電話営業が有効です。無作為に送るのではなく、自社商品と相性の良い業態を抽出し、相手が抱える課題に寄り添った案内を行うことが重要です。無料サンプルを提供し、商談や接触する機会を増やしながら品質を直接確かめてもらいましょう。

営業先となる業態・企業をどう絞り込めばよいか迷う場合は、地域・業種であらかじめ対象を絞り込んだ営業先リストを活用する方法もあります。

直接提案するメリットについては以下の動画でも解説しています。郵送で届くDMとは違い、開封された状態で届くFAX営業の魅力や、実際に成果を出した水産会社の事例も合わせてご紹介しています。

展示会・商談会を活用した決裁者への提案

食品・外食産業向けの展示会やビジネスマッチング商談会への出展は、購買意欲の高いバイヤーや決裁者と直接出会える絶好の機会です。ブース試食を通じて、味や品質、加工技術の魅力をその場で体感してもらえます。出展前にターゲットを明確にし、サンプル準備と名刺交換後のフォロー体制を整えることが成功の鍵です。

Webサイトを活用したインバウンド営業の構築

営業人員が不足している水産加工会社にとって、自社Webサイトを活用した「インバウンド(反響)営業」は効率的な手法です。「水産加工 業務用」などのキーワードで検索して訪れる見込みの高い顧客に、自社の強みや製造工程、導入事例をわかりやすく発信しましょう。詳細に情報を掲載しつつSEO(検索エンジンへの評価を最適化する施策)を考慮したページをつくる事で、Webサイトが24時間稼働する営業担当として機能し、付加価値に共感した優良顧客からの問い合わせを獲得できます。

詳細な情報発信や検索エンジンだけでなく、AI検索でも見つけてもらえるサイトをつくる、または継続的に改善していくには、SEOの知見や更新体制が欠かせません。自社での対応が難しい場合は、サイト更新や改善を専門のサービスに外注することで業務を止めることなく対応できます。

法人取引で選ばれるための「信頼性」と「組織力」

HACCPなど衛生管理・品質管理体制の徹底とアピール

食品安全意識の高まりのなか、衛生管理体制は法人取引における必須の確認事項です。原則としてすべての食品等事業者に義務付けられているHACCP(2021年6月に完全施行)に沿った衛生管理はもちろん、国際基準の食品安全認証の取得は強力な営業の武器になります。異物混入対策や温度管理の徹底を、データや写真で可視化し、パンフレットやWebサイトで積極的に提示してバイヤーの不安を払拭しましょう。

安定供給の仕組みと、欠品リスクを防ぐ製造・営業の連携

スーパーや外食チェーンとの取引では、指定した納期と数量を確実に納品する「安定供給」が絶対条件です。天候不順による不漁や物流トラブルに備え、複数の仕入れルート確保と適切な在庫管理を整えます。営業担当者が顧客の需要変動をいち早く察知し、製造部門と密に連携することで、欠品リスクの防止と過剰在庫の抑制を実現します。

既存顧客の満足度向上とクロスセルによる単価アップ

新規開拓と同等に、既存顧客への提案も利益改善の重要な柱です。定期的なヒアリングで顧客の新たな課題を引き出し、要望に応えることで満足度を高め、競合への乗り換えを防ぎます。現在の納品に加えて関連商材を提案するクロスセル(掛け合わせ提案)で、営業コストを抑えたまま顧客あたりの取引単価を効率的に向上させることができます。

まとめ:水産加工業の売上改善は「強みを活かした提案力」から

水産加工業が価格競争から抜け出すには、自社独自の強みを高付加価値商品に変え、スーパー・外食・中食それぞれが抱える課題に寄り添った「提案型営業」へ転換することが欠かせません。DM・電話・FAXや展示会での直接営業と、Webサイトを通じた反響営業を組み合わせ、HACCPに沿った衛生管理や安定供給体制を明確に示すことで、価格以外の理由で選ばれる取引先になれます。今回紹介したターゲット事の提案方法などを活用し、今取り組める営業方法から取り入れてみましょう。

もし、人手不足に悩んでいる中、広範囲に効率よく営業したいと考えている場合は、営業代行の活用も視野に入れることで、1日でも早く新規開拓に取り掛かることができます。

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