
高い特殊印刷の技術を持ちながらも、新規案件の獲得に苦戦していませんか。ネット印刷の台頭により価格競争が激化する中、従来の「御用聞き営業」だけでは売上の維持が難しくなっています。しかし、社内に営業専任者がおらず、新たな販路を開拓する人手やノウハウが不足している企業も少なくありません。
本記事では、特殊印刷の強みを活かしたターゲット選定から、営業代行や支援ツールを活用して新規開拓を効率化する方法までを詳しく解説します。この記事を読めば、自社に合った営業手法が見え、利益率の高い直請け案件の獲得に向けて動き出せるはずです。
特殊印刷業界における販路開拓の現状と課題

新たな販路を築くことは、特殊印刷会社の成長を左右する重要な課題です。まずは現状の課題を整理します。
ネット印刷との価格競争と「御用聞き営業」の限界
ネット印刷の普及により、一般的な印刷物の価格競争は激化しています。発注者の要望を待つだけの「御用聞き営業」では低価格化の波に飲み込まれやすく、利益率の低下を招きます。特殊印刷の独自技術という強みを持ちながらも、その価値を適正な価格で販売できる直請け案件の獲得ルートを持たないことが、多くの企業にとって大きな課題となっています。
営業専任者が不在・ノウハウ不足という社内の壁
多くの特殊印刷会社では技術力向上に注力するあまり、営業活動に十分な工数を割けない現状があります。営業専任者が不在、または代表者や作業員が兼任しているため、自社の高度な加工技術をどのような業界へアピールすべきかという営業ノウハウが蓄積されていません。結果として、既存の取引先からの受注に依存してしまい、新規顧客の開拓へ踏み出せないという構造的な壁が存在しています。
待ちの姿勢から「提案型・プッシュ型営業」へ転換すべき理由
利益率を改善し、直接取引を増やすためには受身の姿勢から抜け出す必要があります。顧客の潜在的な課題に対し、特殊印刷の技術を用いた解決策を自ら提示する「提案型営業」への転換が欠かせません。高付加価値な提案によって自社の強みを直接市場に届けることができれば、価格競争を脱却し、長期的に安定した収益基盤を構築することが可能になります。
特殊印刷の強みを活かした販路開拓の手法

特殊印刷の技術力を売上へと直結させるには、自社の強みを最も必要としている市場を的確に見極める必要があります。ここでは、具体的なターゲット選定からリスト作成までの営業手法を解説します。
自社の技術(箔押し、バリアブル印刷など)が活きるターゲット選定
例えば、高いセキュリティが求められる金券類や、バリアブル印刷による個別対応が必要な業界など、自社の特殊技術が直接的な価値を生む市場を特定します。下請けから脱却し、高単価な直請け案件を獲得するには、自社の技術を「単なる加工」ではなく「顧客の課題解決手段」として再定義し、適切な業界へ狙いを定めることが重要です。
顧客の課題解決を軸にした「ターゲット設計」の重要性
技術そのものを売り込むのではなく、顧客のビジネス課題から逆算して理想の顧客像を描く「ターゲット設計」が、提案型営業の鍵を握ります。「情報管理の手間を省きたい」「販促物の開封率を上げたい」といった具体的な悩みを抱える企業像を明確にすることで、提案力が高まり、成約率の向上に直結します。
反応率を左右する高精度な「営業リスト作成」のコツ
明確にしたターゲットに基づき、条件に合致する企業だけを抽出した精度の高い営業リストを作成します。リストの質は後の反応率を大きく左右します。業界や企業規模だけでなく、対象企業が抱える潜在的な課題を仮説立ててリスト化することで、営業活動の無駄を省き、効率的な販路開拓が可能になります。
特殊印刷の営業を効率化する「営業代行」と「ツール」の活用

販路開拓を本格化させる際、人手不足を補う手段として「営業代行」と「営業支援ツール」の活用が有効です。両者の特性を理解し、自社の課題に合わせて導入することで、新規開拓を大幅に効率化できます。
人的な「営業代行サービス」に外注するメリット
営業代行の最大の利点は、プロの営業ノウハウを活用して「提案型営業」を実現できる点です。自社の特殊印刷技術がどう顧客の利益に繋がるかを適切に伝え、価格競争を避けた高単価な案件獲得が狙えます。社内の人手や工数を製造に集中させながら、事業拡大を進められる強力な手段となります。
フォーム営業やメール配信を自動化する「営業支援ツール」の特徴
営業支援ツールは、抽出したターゲットリストに対し、問い合わせフォームやメールから一括で提案できる仕組みです。「営業よりリスト作成に時間がかかる」といった非効率を解消し、見込み顧客との初期接点を自動で創出します。比較的低コストで広範囲に網を張る用途に非常に適しています。
人(代行)とIT(ツール)の最適な使い分けと併用戦略
ツールによる「自動化」で広く見込み顧客を獲得し、反応があった企業に対して「営業代行」が的確なヒアリングと提案を行う併用戦略が効果的です。ITで定型業務を効率化し、人で契約締結を後押しする「クロージング(契約締結)」の質を高めることで、営業活動全体の費用対効果と新規開拓の成功率を最大化できます。
販路開拓に強い「営業代行・支援ツール」の選び方と5つのポイント

特殊印刷の新規開拓を成功させるためには、自社に最適な営業代行会社や支援ツールを選ぶことが重要です。ここでは、導入前に必ず確認すべき5つのポイントを解説します。
1. 印刷業界の動向や特殊加工の専門知識を理解しているか
代行会社が特殊印刷の価値を理解しているかは最重要項目です。箔押しやバリアブル印刷といった専門用語や、それが顧客のどんな課題を解決するのかを把握していなければ、質の高い提案型営業はできません。印刷業界特有の商慣習やトレンドに精通し、自社の技術力を的確に言語化できる依頼先を選びましょう。
2. ターゲットリストの抽出精度と柔軟なカスタマイズ性
どんなに優れた営業手法でも、営業先が間違っていれば成果は出ません。ターゲットリストを作成する際、業種や地域だけでなく、企業規模や特定の課題を持つ企業など、細かな条件で抽出できるか確認してください。自社のターゲットに合わせて柔軟にリストをカスタマイズできる精度の高さが、反応率を大きく左右します。
3. 提案の質(文面作成・手法の最適化)が高いか
フォーム・メール・FAX・郵送DMなどは、最初の接点となる「提案文面の質」が問われます。自社の技術を一方的に宣伝するのではなく、相手の課題解決に寄り添った文面を設計してくれるかが重要です。また、反応率を見ながら文面や手法を継続的に改善し、最適化するノウハウを持っているかどうかも確認しましょう。
4. 金券や個人情報を扱う業務にも耐えうるセキュリティ管理体制
バリアブル印刷など、顧客の個人情報や金券類などの機密情報を扱う特殊印刷では、情報の取り扱いに細心の注意が必要です。依頼先が、個人情報保護の取り組みを認証する「プライバシーマーク」の取得など、高い水準のセキュリティ管理体制を構築しているかは必ず確認してください。情報漏洩リスクへの対策が万全な企業を選ぶことが、顧客からの信頼に直結します。
5. 費用対効果と、成果が出るまでのサポート体制
初期費用や月額料金だけでなく、最終的な商談獲得単価を見据えた費用対効果の検証が欠かせません。また、施策開始から成果が出るまでには一定の期間を要します。問い合わせ獲得後の商談設定や、運用サポート体制が整っているかを確認し、中長期的に協力し信頼できる企業を選びましょう。
特殊印刷の新規開拓を成功に導く具体的な手順

ここでは、準備から実行、改善までの具体的な手順を解説します。
1:自社の強みの棚卸しと競合との差別化ポイントの言語化
まずは自社の特殊印刷技術が持つ真の価値を再確認します。単なる加工技術としてではなく、顧客のコスト削減や機能向上に寄与するVA/VE(価値分析・価値工学)の視点を取り入れることが重要です。競合他社にはない強みや、提案型営業の核となる差別化ポイントを明確に言語化しましょう。
2:理想の顧客リスト作成と営業文面の設計
言語化した強みをもとに、それを最も必要とする理想の顧客像を設定し、精度の高い営業リストを作成します。営業で活用する文面は、自社の実績を羅列するのではなく、ターゲット企業が抱える課題に対する具体的な解決策を提示する構成に設計することが、反応率を高める秘訣です。
3:営業の実行と効果測定・改善サイクルによる改善
営業代行やツールを活用して営業を開始した後は、効果測定が欠かせません。メール営業の開封率やFAXの返信率、商談への移行率などのそれぞれの数値を分析し、リストの抽出条件や文面を継続的に見直します。改善サイクルを迅速に回すことで、新規開拓の精度は確実に向上していきます。
まとめ:外部後からを活用して特殊印刷の新規案件を獲得しよう
特殊印刷の販路開拓では、待ちの営業から一歩踏み出し、自社の技術を課題解決の手段として伝えることが成果につながります。とはいえ、社内の人手だけで新しい市場を切り拓くのは簡単ではありません。精度の高いリスト作成と自動化する営業支援ツール、そして質の高いクロージングを担う営業代行サービスを組み合わせることで、効率的に新規案件を獲得できます。自社の技術力と外部を掛け合わせ、利益率の高い直請け案件の獲得と、持続的な事業成長を目指しましょう。
米澤 俊一(よねざわ しゅんいち)
株式会社セールスマーケティングファーム代表
1979年横浜市出身。日本体育大学卒業。
IT企業で4年間Web運営に携わった後2008年に独立。
その後、福井県のベビーリーフ農家へ転身し、独自の営業手法を駆使してわずか2ヶ月でスーパー150店舗、レストラン400店舗との新規取引を開拓。ビニールハウス2棟から33棟への急拡大を牽引。OTAや農業ベンチャーの役員を経て、現在は営業職不在の中小企業を支援する営業代行会社の代表取締役。