
「素晴らしいデザインを作れるのに、新規案件がなかなか獲得できない」とお悩みではありませんか?デザイン制作会社にとって、下請けや紹介頼みの状態から脱却し、利益率の高い直請け案件を獲得することは大きな課題です。しかし、本来のクリエイティブ業務と新規開拓の営業活動を両立させるのは容易ではありません。
本記事では、デザイン制作に特化した新規開拓の基本戦略から、具体的な営業手法までをわかりやすく解説していきます。自社営業と営業代行の比較も詳しく紐解くため、自社の工数に最適な営業手法が見つかり、安定した案件獲得と売上アップを実現できるようになります。
デザイン制作会社が新規開拓を強化すべき理由と直面する壁

デザイン制作会社において、新規開拓の強化は事業を安定的に成長させるための最重要課題です。多くの制作会社が直面しているのが、利益率の低下と人手や対応時間の不足という二重の壁です。優れたデザインスキルやクリエイティブなアイデアを持っていても、自ら案件を獲得する営業機能を持たなければ、事業の主導権を握ることはできません。ここでは、デザイン業界特有の問題と、なぜ今すぐ自社主導の新規開拓へと踏み出すべきなのか、その背景にある理由と直面しやすい課題について解説致します。
下請け・紹介頼みの現状から脱却が急務な理由
代理店経由の下請け案件や紹介は、営業費用がかからない反面、価格交渉が難しく利益率が低迷しやすい構造にあります。案件の発生が他社依存となるため、売上予測が立てづらい点も大きなリスクです。企業として安定した収益基盤を構築し、適正な価格で自社の価値を提供し続けるためには、下請けから脱却し、直請け案件を自ら獲得する体制への移行が必要です。
クリエイティブ業務と営業活動の両立という課題
直請け案件の必要性を理解していても、クリエイターが営業を兼務するのは非常に困難です。日々の制作業務やクライアント(顧客)対応に追われる中、ターゲット選定やテレアポといった新規開拓に工数を割く余裕はありません。結果として営業活動が後回しになり、既存の繋がりや下請けに依存し続ける悪循環に陥ります。この工数不足と業務両立の壁をどう突破するかが、新規開拓成功の鍵を握ります。
デザイン制作の新規開拓における基本戦略とターゲット選定

新規開拓を成功させるためには、手当たり次第に営業をかけるのではなく、確固たる基本戦略と的確なターゲット選定が必要です。とくにデザイン制作のような無形商材においては、自社が提供できる独自の価値を明確にし、それを最も必要としている業界や企業へ売り込むことが重要となります。ここでは、効率的かつ利益率の高い直請け案件を獲得するための戦略的な提案方法について解説します。
自社の強みと提供出来る価値の再定義
まずは自社の強みの洗い出しが必要です。「綺麗なデザインが作れる」だけでなく、クライアントの事業課題をどう解決できるかという付加価値を明確にしましょう。特定業界への深い知見や、マーケティングの視点を持った制作体制など、他社との差別化要因を言語化することが、競争力の高い提案に直結します。
直請け案件を獲得しやすい業種とターゲットの絞り込み
ターゲットは、デザインの力を必要としながらノウハウが不足している業種を狙うのが効果的です。例えば、製造業や電気通信工事などの専門的なBtoB企業は、自社の複雑なサービスを視覚的に伝える要望が高く、直請け案件になりやすい傾向があります。自社の得意領域と相性の良い業界を的確に絞り込みましょう。
利益率を高める「提案型営業」への切り替え
単に制作を請け負うだけの御用聞き営業から、顧客の潜在的な課題を引き出し解決策を提示する「提案型営業」へ営業姿勢を切り替えることが重要です。デザインによる価値分析や価値向上(VA/VE)を軸に提案を行うことで価格競争を回避し、適正な利益率を確保できます。上流工程から入り込むことで長期的な関係構築も可能になります。
デザイン制作の新規開拓を成功させる営業手法

ターゲットが明確になったら、次は実際に顧客と接点を持つための営業活動を開始します。デザイン制作の新規開拓においては、自社から能動的に働きかける「アウトバウンド営業」と、顧客からの問い合わせを待つ「インバウンド営業」、そして既存の接点を活かす「再提案」の3つをバランスよく組み合わせることが重要です。自社の対応状況に合わせて最適な手法を選択し、継続的に実行できる仕組みを構築しましょう。ここでは、各手法の特徴とコツについて解説します。
アウトバウンド営業:テレアポ・問い合わせフォーム営業・FAX
ターゲット企業へ、テレアポや問い合わせフォーム、FAX経由で直接商材を提案する手法です。即効性が高く、自社が狙いたいBtoB企業へ的確に営業できる点が強みです。単なる制作実績の説明だけではなく、相手の業界課題を想定した具体的な仮説(例:採用強化のための視覚的ブランディングなど)を添えることで、商談獲得率を大幅に高めることができます。また、FAXは製造業などの業務に活用している企業に有効ですが、紙面には画像やQRコードを記載せず文字だけの説明に特化したほうが反応率が上がります。
インバウンド・Webマーケティング:SEO・SNS
自社サイトのSEO対策(検索エンジン最適化)やSNSを通じ、デザインに課題を持つ見込み顧客を集めて顧客自ら問い合わせる手法です。自社の強みや制作ノウハウを記事や資料などのコンテンツとして発信し、中長期的に質の高いリード(見込みの高い顧客)を獲得します。検索意図を満たす良質な記事は資産となり、営業人員の工数を割くことなく継続的に問い合わせを生み出す強力な基盤となります。
過去の失注顧客や休眠顧客への再提案
過去に失注した企業や、取引が途絶えている休眠顧客への再提案は非常に効率的な営業手法です。すでに自社の存在を認知しているため、全くの新規開拓よりも関係構築のハードルが下がります。定期的なメルマガでの最新実績の紹介や、相手企業の決算期前などの適切なタイミングで連絡を入れることで、新たな案件獲得に繋がります。
【徹底比較】自社営業と営業代行、どちらを選ぶべきか?

デザイン制作会社が新規開拓を進める際、最大の分岐点となるのが「自社で営業体制を構築するか」「営業代行サービスを活用するか」という選択です。どちらの手法にも明確な利点と懸念点が存在し、現在の人手や対応状況によって最適な選択肢は異なります。誤った営業活動はコストの浪費を招くため注意が必要です。ここでは、両者の特徴を客観的に比較し、自社の課題や目的に合わせて最適な手段を判断する基準について詳しく解説します。
自社で新規開拓を行うメリット・デメリット
メリットは、自社デザインの強みや熱意を直接伝えやすく、顧客の生の声を制作に即座に反映できる点です。さらに、営業ノウハウが社内に蓄積される利点もあります。一方デメリットは、クリエイターの業務負担が増大し、本来の制作業務を圧迫するリスクです。また、専任の営業担当を新たに採用・育成するには、多大な時間と固定費がかかります。
営業代行を活用するメリットと費用対効果
最大のメリットは、営業のプロによる即効性の高い新規開拓が可能な点です。クリエイターは制作に専念でき、社内の人手不足を一気に解消できます。固定報酬型や成果報酬型など様々な料金プランが存在し、専任担当者を自社で雇用する採用・育成コストと比較した場合、中長期的には非常に高い費用対効果(ROI)が期待できます。
営業代行を利用する際のデメリットと懸念点
外部の人間が営業を代行するため、自社のブランドイメージやデザインの細かなニュアンスが正確に伝わりきらない懸念があります。また、代行会社に業務を任せきりにしてしまうと、契約終了後に社内へ営業ノウハウが蓄積されません。これらのデメリットを防ぐためには、自社のターゲット層や提案内容について、代行会社と綿密な事前すり合わせを行う必要があります。
自社の課題に合わせた最適な選択基準
創業期で自社の強みやターゲットが不明確な場合は、顧客の声を直接聞ける自社営業から始めるのが基本です。一方、独自の強みや実績が蓄積され、「制作体制はあるが営業に掛ける人手や工数だけが不足している」という成長期には、営業代行の活用が最適解となります。現在の自社の課題を冷静に分析し、状況に応じた手法を選択してください。
デザイン制作に強い営業代行会社の選び方と注意点

営業代行の活用を決断した場合、次に重要となるのが委託先となる代行会社の選定です。しかし、世の中には数多くの営業代行サービスが存在し、それぞれ得意とする業界や支援の範囲が異なります。特にデザイン・クリエイティブという無形商材を扱う場合、自社の強みを正しく理解し、ターゲット企業へ適切に届けてくれる会社を見極めなければなりません。ここでは、失敗しない選び方と契約前の注意点を解説します。
BtoBサービスやクリエイティブ業界への理解度を確認する
デザイン制作のような無形商材を売るには、クリエイティブ領域やBtoBの商習慣への深い理解が必要です。単なるテレアポ要員ではなく、自社のデザインが顧客の事業課題をどう解決するのか、価値分析の視点を持って提案できる代行会社を選びましょう。過去の同業界での実績確認が重要です。確認の際は、各代行会社の事例や顧客の感想をまとめたページを確認するか、直接問い合わせてサイトに反映されていない最新実績を確認して見極めましょう。
料金体系(固定報酬型・成果報酬型)とサポート範囲の見極め
営業代行には、月額固定で安定した活動を行う「固定報酬型」と、問い合わせ獲得や受注ごとに費用が発生する「成果報酬型」があります。また、営業リスト作成から商談同席など、対応範囲も会社により異なります。自社の予算と不足している営業工程を照らし合わせ、費用対効果が最も高まるプランを見極めてください。
自社のブランドイメージを損なわないための事前すり合わせ
代行会社を活用する上で警戒すべきは、質の低い営業による自社ブランドの毀損です。これを防ぐためには、ターゲット選定の基準やトークスクリプトの内容、NG企業の共有など、稼働前の綿密なすり合わせを徹底してください。自社と代行会社が一体となる体制構築がトラブル回避と成果に繋がります。
新規開拓の商談化・受注率を高める必須の事前準備

せっかくターゲット企業との接点を持ち、商談の機会を得ても、事前準備が不足していれば受注には至りません。特にデザイン制作の新規開拓においては、単なる「過去制作の作品集」を見せるだけではなく、顧客のビジネス課題をどのように解決できるのかを示す論理的な提案と解決策の提示が求められます。ここでは、商談化率や受注率を最大化するために必要な、資料作成と社内体制の構築について解説します。
魅力的なポートフォリオと課題解決型の提案資料作成
商談の成否を分けるのは、視覚的な美しさを伝えるポートフォリオと、論理的な課題解決型の提案資料が必要です。特にBtoB案件では、価値分析などを反映させたデザインによる効果を数値や事例で示すことが重要です。単なる制作実績の羅列ではなく、クライアントの業界特有の課題に対してどのような改善策を提示できるか、提案型営業を軸とした資料を準備しましょう。
社内の受け入れ体制と業務フローの構築
新規案件を受注した際、クリエイティブ部門が素早く制作へ移行できる社内体制の構築も重要です。営業活動と制作業務の境界線を明確にし、要件定義や修正回数などのルールを事前に設定しておきましょう。これにより、受注後のトラブルを防ぐとともに、提供価値の質を維持しながら利益率の高いプロジェクト進行が可能となります。
まとめ:最適な営業戦略でデザイン制作の新規開拓を加速させよう
デザイン制作会社が下請けや紹介依存から脱却し、安定した収益基盤を築くためには、直請け案件の新規開拓が必要不可欠です。本記事で解説したように、まずは自社の提供価値を再定義し、最適なターゲットを選定することが成功の第一歩となります。その上で、自社の事業規模や人手や工数状況に応じて、自社営業と営業代行のどちらを活用すべきかを冷静に見極めましょう。
自社で取り組む場合は付加価値向上(VA/VEなど)を軸とした提案型営業の仕組み構築を、営業代行を利用する場合はターゲット業種への深い理解を持つ代行会社選びを徹底することが重要です。クライアントの課題解決に直結する提案資料を準備し、戦略的な売り込みを実践することで、デザイン制作の新規開拓を加速させ、高利益率な事業構造への転換を実現していきましょう。
米澤 俊一(よねざわ しゅんいち)
株式会社セールスマーケティングファーム代表
1979年横浜市出身。日本体育大学卒業。
IT企業で4年間Web運営に携わった後2008年に独立。
その後、福井県のベビーリーフ農家へ転身し、独自の営業手法を駆使してわずか2ヶ月でスーパー150店舗、レストラン400店舗との新規取引を開拓。ビニールハウス2棟から33棟への急拡大を牽引。OTAや農業ベンチャーの役員を経て、現在は営業職不在の中小企業を支援する営業代行会社の代表取締役。