FAXDMを始めようと考えたとき、原稿よりも先に「どこに送ればいいのか」「送り先のリストをどう用意すればいいのか」で手が止まることがあります。手元の名刺や取引先だけでは件数が足りず、かといってリストを買うべきか、借りるべきか、自社で集めるべきかも判断しにくいものです。
この記事では、商品・サービスから送り先を決める手順、リストの入手方法ごとの特徴と向いている会社、購入・レンタル前に確認したい品質、配信後の管理方法を順にお伝えします。
FAXDMのリストとは
FAXDMのリストとは、FAXで案内を送る相手企業の一覧です。会社名とFAX番号に加えて業種や所在地などの情報が入っていると、狙った相手に絞って送れるようになります。
リストに入れておきたい項目
最低限必要なのは、会社名、FAX番号、業種、所在地の4つです。業種と所在地があれば、後から条件で送り先を絞り込めます。
あると便利なのは電話番号と従業員規模です。反応があった企業へ電話で確認したいときや、会社の規模で送り先を分けたいときに役立ちます。部署名や担当者名は、分かる場合に入れておく任意の項目と考えて差し支えありません。
さらに、配信日、反応の有無、送信停止の依頼の有無を記録する列も用意しておきます。配信を重ねるごとに埋まっていく配信実績を管理するための列です。使い方は後半の「配信後のリスト管理」でお伝えします。
リストを用意する前に「誰に送るか」を決める
リスト探しから始めると、「何件集められるか」に意識が向きやすいですが、FAX営業で反応を得るには、送る件数よりも提案する商品・サービスが送り先企業の需要と合っているかが重要になります。ニーズのない企業へ送ったFAXは費用の無駄になるだけでなく、受け取った側に不要な営業という印象を残すため、リストを用意する前に「誰に送るか」を決めることが大切です。
商品・サービスを必要とする企業と場面を書き出す
最初に、自社の商品・サービスを使う企業と、その企業がどんな場面や状況で必要とするのかを書き出します。
たとえば金属加工の会社なら、図面をもとに部品の見積もりを依頼する機械メーカーや設備会社が候補になります。「試作の依頼先を探している」「今の外注先では対応できない材質がある」といった場面や状況まで考えると、どの企業にとって自社商材の案内が役に立つのかが見えてきます。新規企業を探す手がかりとして、既存の取引先がどんな業種で、どんなきっかけで発注してくれたのかを振り返ることも、送り先を集める材料となります。
業種・地域・規模などの抽出条件に落とし込む
次に、書き出した送り先を、リストで絞り込める条件に置き換えます。主に使うのは次の3つです。
- 業種(例:産業用機械の製造業、設備工事業など)
- 地域(配送や訪問ができる範囲など)
- 従業員規模
「機械メーカー」のような言葉のままでは、リストから抽出できません。リスト販売会社や配信サービスが使っている業種分類のうち、どれを選べば狙った相手が含まれるかを確認しておくと、入手方法を選ぶ段階で迷いにくくなります。
件数は、この条件で絞り込んだ結果として決まるものです。先に件数を決めてから送り先を広げると、需要の薄い企業まで含まれやすくなります。また、送り先が変われば、FAXに書くべき内容も変わります。同じ商品でも、相手の業種や課題によって関心を持つ情報が異なるため使い回さず、送り先に合わせて作成しましょう。
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FAXDMリストの入手方法と向いている会社
送り先の条件が決まったら、その条件に合うリストをどこから手に入れるかを選びます。主な方法は次の5つです。
自社の名刺・取引履歴・問い合わせから作る
展示会で交換した名刺、過去の取引履歴、問い合わせや見積依頼の記録は、すでに接点がある相手のリストです。初めて案内を送る企業と比べて、自社の名前を知ってもらえている点が強みですが、配信できる件数は限られます。古いデータは移転や廃業でFAX番号が変わっている場合もあるため、送る前に現在の情報かどうかを確認します。
Webサイトや業界団体名簿などの公開情報から集める
企業のWebサイトや業界団体の会員名簿など、公開されている情報から1件ずつ集める方法です。手間はかかりますが、各社の事業内容を確かめながら選べるため、特定の加工技術を持つ企業など、市販のリストでは絞り込みにくい送り先を探すのに向いています。
収集ツールを使えば作業は早くなりますが、同じ企業が重複したり、FAX番号が抜けていたりすることがあります。情報を集めるサイトの利用規約で、収集が禁止されていないかも確認してください。
リスト販売会社から購入する
リスト販売会社から、条件に合う企業データを購入する方法です。業種・地域・従業員規模などの細かい条件で抽出できる場合があり、まとまった件数を短期間で用意できます。利用条件によっては、購入後のデータを手元に残して繰り返し使えます。
ただし、データがいつ更新されたものかによって、届かない番号の多さが変わります。購入前の確認点は、次の章でまとめています。
FAXDM配信サービスのリストを借りる
FAXDMの配信サービスには、送信とあわせて企業リストを提供しているところがあります。条件を指定して借りる形のため、リストを整備・管理する手間は少なく済みます。
その一方で、リストのデータが社内に残らずレンタル利用しか出来ないケースがあります。反応の記録を自社のリストとして蓄積したい場合は、配信後にどの情報を受け取れるのかを事前に確認しておくと安心です。
送り先の選定ごとFAX営業代行に任せる
FAX営業代行では、送り先の選定から案内の作成、配信までをまとめて任せられます。リストを用意するだけでなく、「誰に送るか」を決める段階から相談できる点が、ほかの方法との違いです。社内に営業担当者がいない、リスト作りや原稿作成に割ける時間がないという会社に向いています。
ここまでの5つの方法の違いを表にまとめると、次のとおりです。
| 方法 | 手間 | 費用の考え方 | 鮮度 | 手元に残るか | 向いている会社 |
|---|---|---|---|---|---|
| 自社データ | 整理と確認の手間 | ほぼかからない | 古い情報が混ざりやすい | 残る | 既存の接点を活かしたい会社 |
| 公開情報から収集 | 大きい | 費用は少ないが作業時間がかかる | 収集時点の情報 | 残る | ニッチな送り先を1件ずつ選びたい会社 |
| 購入 | 少なめ | 件数・条件に応じてかかる | 提供元の更新状況による | 利用条件による | 条件を細かく指定して自社で配信したい会社 |
| レンタル | 少ない | 送信とあわせてかかる | 提供元の更新状況による | 残らない場合がある | 管理の手間をかけずに配信したい会社 |
| FAX営業代行 | 少ない | 選定・案内作成・配信をまとめて依頼 | 依頼先の管理による | 依頼先による | 社内に担当者や時間がない会社 |
方法を比べるときは、1件あたりの単価だけで判断しないことも大切です。届かない番号にも送信料がかかる場合があるほか、重複や送信停止の整理にかかる社内の手間も費用の一部です。これらを含めて、自社に合う方法を選びます。
購入・レンタル前に確認したいリストの品質
購入やレンタルでリストを用意する場合は、使う前に次の3点を提供元へ確認します。
狙いたい業種で絞り込めるか
前の章で決めた条件で、実際に企業情報を抽出できるか確認します。業種分類の区切り方は提供元によって異なり、たとえば小売店に送りたいのに卸売業が混ざってしまうことや、既存のお客様情報も含まれている可能性があります。収集したリストをそのまま利用するのではなく、必ず内容を確認してから使用しましょう。
更新頻度と不達時の扱い
企業の移転・廃業やFAX番号の変更は常に起きているため、データの更新が止まっているリストほど、届かない番号が増えます。
そのためにも、データをいつ、どのくらいの頻度で更新しているか、移転や廃業の情報をどう反映しているか、届かなかった分も送信料の対象になるかの3点を確認しましょう。
個人宅・個人情報の扱いに問題がないか
法令面で注意したいのが、リストに個人宅や一般消費者が含まれていないかです。
特定商取引法では、2017年12月から、請求や承諾のない消費者へのFAX広告の送信が禁止されています(第12条の5)。この規制は一般消費者向けの通信販売が対象で、事業者が営業のために結ぶ取引には原則として適用されません。ただし、相手が事業者や法人であるというだけで、一律に対象外になるわけではありません。BtoBの案内であっても、個人宅や消費者が混ざらないリストを使うことが前提です。制度の詳細は消費者庁の特定商取引法のページで確認できます。
また、法人のリストであっても、代表者名や担当者名、個人事業主の情報は個人情報に当たる場合があります。リスト販売会社などの第三者から個人データの提供を受けるときは、受け取る側にも、提供元の氏名・住所や、提供元がそのデータを取得した経緯を確認し、記録することが個人情報保護法で求められています(第30条)。購入前に、提供元がどのような方法でデータを集めたのかを説明してもらえるかも確認しておきましょう。詳しくは個人情報保護委員会のガイドライン(第三者提供時の確認・記録義務編)にまとめられています。
FAXDMの配信に関わる法的リスクと対策は、以下の記事で解説しています。
FAXDMは違法?特定商取引法の規制対象と法人宛てに送る際の注意点
配信後のリスト管理
リストは一度用意したら終わりではなく、配信のたびに手を入れることで使いやすくなっていきます。
送信停止の依頼は次回配信から漏れなく除外する
送信停止の依頼を受けた企業は配信除外リストにまとめ、配信のたびに送り先リストと照合して外します。リストを入れ替えたり新しく購入したりしたときに、除外済みの企業が再び混ざることがあるためです。
紙面には、送信停止の連絡方法(FAX返信欄や電話番号など)を分かりやすく記載しておきます。停止依頼への対応が遅れると、相手との関係を損ねるだけでなく、クレームにつながることもあります。配信サービスによっては、停止依頼のあった番号を自動で除外する機能もあるため、利用する場合は確認してみてください。
不達・重複を整理する
配信後は届かなかった番号を確認し、リストから外すか情報を更新します。複数のリストを組み合わせている場合は、FAX番号を基準に重複を整理しておくと、同じ企業に2通届くのを防げます。
社名や所在地の変更は、国税庁の法人番号公表サイトで確認できます。ただし、公表されているのは商号・所在地・法人番号の3つで、FAX番号は掲載されていません。個人事業主には法人番号が指定されないため、このサイトでは確認できない点にも注意が必要です。FAX番号そのものは、企業のWebサイトなどでそれぞれ確かめましょう。
反応を記録して次の送り先選びに活かす
資料請求や問い合わせなどの反応があった企業は、業種や地域とあわせて記録しておきます。どの条件の企業から反応があったかが分かれば、次回の配信で送り先の条件を見直す材料になります。
反応のあった業種の周辺に広げてみる、反応の少なかった地域を外してみるといった見直しを重ねることで、リストを自社の商品・サービスに合った送り先へ近づけていけます。
まとめ
FAXDMのリストづくりは、次の順番で進めると迷いにくくなります。
- 商品・サービスから「誰に送るか」を決め、業種・地域・規模などの条件に置き換える
- 自社の状況に合った入手方法を選ぶ
- 購入・レンタルの場合は、絞り込み・更新頻度・個人情報の扱いを確認する
- 配信後は、停止依頼の除外、不達・重複の整理、反応の記録を続ける
入手方法は、すでにある接点を活かすなら自社データ、ニッチな送り先なら公開情報からの収集、条件を指定してまとまった件数を用意するなら購入、管理の手間を抑えたいならレンタル、社内で回せないなら代行というように、自社で割ける人手と時間に合わせて選ぶのが現実的です。
送り先の選定から配信までの代行を検討している方は、弊社のFAX営業代行のご利用もご検討ください。
米澤 俊一(よねざわ しゅんいち)
株式会社セールスマーケティングファーム代表
1979年横浜市出身。日本体育大学卒業。
IT企業で4年間Web運営に携わった後2008年に独立。
その後、福井県のベビーリーフ農家へ転身し、独自の営業手法を駆使してわずか2ヶ月でスーパー150店舗、レストラン400店舗との新規取引を開拓。ビニールハウス2棟から33棟への急拡大を牽引。OTAや農業ベンチャーの役員を経て、現在は営業職不在の中小企業を支援する営業代行会社の代表取締役。