FAXDMで新規開拓を進めるとき、「オファーが大事」とよく言われます。ただ、無料プレゼントや割引、期間限定特典といった一般的なDMの考え方を、取引のない企業へ送るFAXにそのまま当てはめてよいのか、迷う方も多いのではないでしょうか。
この記事では、FAXDMにおけるオファーの考え方と、サンプル・資料・見積もりなど商材や送り先に合ったオファーの種類、紙面での伝え方を説明します。自社がFAXで営業する場合、どんな紙面で何を提示し、どんな特典を用意するかを決める材料にしてください。
FAXDMのオファーとは
FAXDMにおけるオファーとは、相手企業に返信や連絡をしてもらうために紙面で提示する「次の行動」と、その行動によって相手が受け取れる特典を指します。「サンプルをお送りします」「図面をお送りいただければ、対応可否と概算をお返しします」といった案内がこれにあたります。
新規開拓のFAXは、まだ取引のない企業に届きます。弊社では、初回の案内で契約や商談まで求めるのではなく、まず一度連絡をもらうことを目的にオファーを設置しています。契約の前に一度接触してもらうための、相手にとって負担の小さい入口と捉えると分かりやすいでしょう。
一般的なDMで言われる「オファー」との違い
一般的なDMや広告の解説では、無料特典や割引、期間限定の条件を用意し、目を引くキャッチコピーで行動を促す方法は、特典の魅力を高めて、申し込みや購入の後押しにするという考え方として紹介されています。
一方、接点のない企業に届く新規開拓FAXでは、特典を強く打ち出すほど紙面が広告チラシに見えやすくなります。チラシのような特典の強さを押し出す方法よりも、需要のありそうな相手に、売り込み感を抑えた紙面で、負担の小さい接点を示すことを弊社では重視しています。
これは一般的なDMの考え方を否定するものではなく、あくまでも新規開拓に活用するFAX営業という場面に合わせた考え方です。
オファーは「誰に送るか」とセットで決める
同じ商品でも、送り先が変われば、相手にとって受け取りやすいオファーは変わります。業種や用途、抱えている課題、発注ロットが違えば、知りたい情報や検討の進め方も異なるためです。
たとえば食品であれば、飲食店には味を確かめられるサンプルが向いている一方、卸売業者には規格書や価格表を送る方が検討を進めやすい場合があります。
そのため、オファーは紙面を作る段階で単独で考えるのではなく、「商品を理解する → その商品を必要とする相手を絞る → その相手が受け取りやすい接点を選ぶ」という順序で決めます。送り先の絞り込み方は、以下の記事で詳しく紹介しています。
【事例公開】失敗しないFAXDM戦略!費用対効果を高めるターゲット設定
新規開拓FAXで使われる主なオファー
新規開拓FAXでよく使われるオファーと、それぞれに向いている商材・相手を整理すると、次のようになります。
| オファー | 向いている商材・相手 | 相手の負担 | 主な返信方法 |
|---|---|---|---|
| サンプルを送る | 食品・消耗品・資材など、現物を見れば判断できる商材 | 小さい(申し込むだけで実物を確かめられる) | FAX返信欄、電話、Webフォーム |
| 資料・事例を送る | サービス業など、現物を送れない商材 | 小さい(申し込むだけで内容を確認できる) | FAX返信欄、メール、Webフォーム |
| 見積もり・図面確認 | 加工業・工事業など、案件ごとに条件が変わる商材 | 中程度(図面や条件を送る手間がある) | 図面のFAX・メール送付、電話 |
| 対応可否の確認 | 清掃・運送・工事など、地域・時期・規模で受けられるかが決まるサービス | 小さい(該当案件があるときに連絡すればよい) | 電話、FAX返信、メール |
| 割引・期間限定特典 | 商材と相手に合う場合に限って検討 | 条件による(紙面の広告感が強まりやすい) | 商材による |
サンプルを送る
食品や消耗品、資材など、現物を見たり使うことで良し悪しを判断できる商材では、サンプルの送付が有力な選択肢になります。相手は申し込むだけで実物を確かめられるため、検討の入口として負担が小さく済みます。
実際に、神奈川県の冷凍食品メーカーから「東京都だけで25社から問い合わせがあり、サンプルを送って16社と成約した」という報告をいただいています。また、大阪府の魚介類卸からは、10,000件に案内して30社からサンプル請求があり、そのうち10社と取引が始まったという声が届いています。ほかの業種の声はご利用企業様の感想ページでご確認ください・
資料や事例を送る
サービス業など現物を送れない商材では、資料や事例の送付が入口になります。ただし「詳しい資料をお送りします」とだけ書いても、相手は何が届くのか分からず、申し込むかを判断しにくくなります。それを防ぐためにまずは、対応できる業務の範囲、これまでの事例、価格の目安など、資料に何が載っているかを具体的に示すと、相手は自社に関係のある内容かどうかを判断しやすくなります。
見積もり・図面確認を受け付ける
金属加工や工事業のように、案件ごとに仕様や条件が変わる業種では、「図面をお送りいただければ、対応可否と概算をお返しします」という形のオファーが向いています。
相手には図面や条件を送る手間がかかりますが、発注先を探している企業にとっては、具体的な案件で対応力を確かめられる機会になります。何をどの形式で送ればよいか、回答の目安はいつ頃かを添えておくと、依頼する側は準備がしやすくなります。
対応できるかどうかの確認を受け付ける
清掃、運送、工事など、地域や時期、規模によって受けられるかどうかが決まるサービスでは、「該当する案件があればご相談ください」という形がオファーとして使われます。
相手はすぐに依頼する必要がなく、案件があるときに連絡すればよいため、負担は小さくなります。対応エリアや対応できる規模、受付方法を明記しておくと、相手は自社の案件が当てはまるかを判断しやすくなります。
割引や期間限定の特典を使う場合の注意
一般的なDMでは、割引や期間限定特典が行動のきっかけとして有効とされることがあります。
ただし新規開拓FAXでは、「○%オフ」「期間限定」といった表現が前面に出ると、紙面が広告らしく見えやすくなります。まだ関係のない相手は、価格の条件より先に「自社に関係のある商品かどうか」を判断する段階にいます。
割引や特典をまったく使わないということではありません。商材と相手に合う場合に限って検討し、使う場合も紙面の主役にしない扱いが無難です。
オファーを紙面で伝えるときのポイント
何が届き、返信後どうなるかを具体的に書く
紙面では、相手が返信した後に何が起きるのかを具体的に書きます。サンプルなら内容と量、資料なら掲載している項目、費用がかかるかどうか、返信後に電話や訪問の連絡があるのかどうか、といった点です。
営業感を抑えることは、情報を減らすことではありません。何を提供でき、相手が何をすればよいのかがはっきりしているほど、相手は返信してよいかを判断しやすくなります。
オファーを強調しすぎない
「無料プレゼント!」を大見出しにする、白抜き文字や派手な囲みで目立たせる、「今すぐ」「先着○社」と急がせる、といった表現は、FAX紙面を広告チラシのようなデザインに近づけてしまいます。
弊社では、手紙や案内文に近い落ち着いた紙面を作成することをオススメしています。判断の目安は、個々の表現を使うかどうかではなく、その表現によって紙面が「突然届いた営業チラシ」と受け取られやすくならないかという点です。オファーは紙面の中で分かりやすく伝えつつ、必要以上に目立たせないレイアウトを意識してください。
返信方法は相手が使いやすいものを選ぶ
返信方法には、FAX返信欄、電話、メール、Webフォーム、図面の送付先などがあります。FAX返信欄を設ける場合は、希望する内容にチェックを入れるだけで返信できる形にすると、記入の手間を減らせます。
時々QRコードの掲載を推奨するコラムなどもありますが、先ほどお話したとおり、必須の要素ではありません。導線の短さだけでなく、相手がふだん使っている連絡手段か、紙面全体が広告らしい印象にならないかも含めて選びます。
あわせて、送信者の情報と配信停止の連絡先を紙面に明記しておくことも、相手との関係を損なわないための配慮になります。配信停止の依頼を受けたときの対応は、以下の記事でも紹介しています。
FAXDMのクレーム対応マニュアル|電話応対の手順・ケース別の返答例と再発防止策
反応を見てオファーと送り先を見直す
配信後は、返信の件数だけでなく、その後に商談や取引につながったかまで確認します。返信が多くても取引につながらない場合は、オファーが相手の検討段階や関心とずれている可能性があります。
反応が少ないときも、オファーだけを差し替えるのではなく、送り先とセットで見直します。相手の需要と提案内容が合っていなければ、オファーを変えても反応は変わりにくいためです。反応率の考え方や改善の進め方は、以下の記事を参考に活用ください。
FAXDMの反応率の目安は?計算方法と実際の配信事例、反応を得るための見直し方
まとめ
FAXDMのオファーは、特典の豪華さで相手を動かすものではなく、まだ関係のない企業に一度連絡してもらうための入口です。まず送り先を絞り、その相手にとって負担の小さい接点を選び、何が届くのか、返信後どうなるのかを売り込みすぎずに具体的に書く。この順序で考えると、自社の紙面で何を提示すべきかを決めやすくなります。
弊社のFAX営業代行では、お申し込み前のご相談の段階で、案内内容や問い合わせ特典といった問い合わせのとり方も一緒に検討し、商品案内の作成、営業先リストの準備、配信までをまとめて行っています。外注したいと悩む場合は、一度ご相談ください。
米澤 俊一(よねざわ しゅんいち)
株式会社セールスマーケティングファーム代表
1979年横浜市出身。日本体育大学卒業。
IT企業で4年間Web運営に携わった後2008年に独立。
その後、福井県のベビーリーフ農家へ転身し、独自の営業手法を駆使してわずか2ヶ月でスーパー150店舗、レストラン400店舗との新規取引を開拓。ビニールハウス2棟から33棟への急拡大を牽引。OTAや農業ベンチャーの役員を経て、現在は営業職不在の中小企業を支援する営業代行会社の代表取締役。