電気工事士の資格取得を目指す際、「第一種と第二種のどちらから受けるべきか」「難易度やキャリアへの影響はどう違うのか」と迷う方は少なくありません。自身の現状や個人向けの実務か、法人向けの大型案件獲得を見据えるかなど、将来理想としている姿によって、選択肢は大きく異なります。
本記事では、試験の難易度や必要な勉強時間、取得の順番といった基本から、BtoBビジネス展開における有資格者の優位性までを徹底比較します。最短ルートで自身の市場価値を高め、事業拡大や法人営業の強化に繋げる目標に達成するまでの目安としてご活用ください。
第一種と第二種電気工事士の決定的な違い
第一種と第二種電気工事士の最も大きな違いは、取り扱える電気設備の規模と、それに伴う試験の難易度です。第二種は一般住宅や小規模な店舗などを対象とするのに対し、第一種はビルや工場などの大規模な施設まで対応範囲が広がります。この対応範囲の広さが、そのまま試験で求められる知識の深さや技能レベルの違いに直結しています。
これから資格取得を目指す場合、まずはこの根幹となる難易度や必要な労力の違いを正しく理解し、ご自身の現状に合わせた無理のない目標設定を行うことが重要です。
試験の難易度と合格率の明確な差
試験の難易度を合格率で比較すると、両者には明確な差が見られます。第二種の合格率は、筆記試験が約60%、技能試験が約70%と比較的易しい傾向にあります。一方、第一種の合格率は筆記試験が約50%、技能試験が約60%前後と一段階下がります。
第一種では高圧な電気設備に関する高度な専門知識や複雑な計算問題が出題されるため、第二種と比較して難易度が跳ね上がります。緻密な試験対策を行わずに合格することは困難なレベルと言えます。
合格までに必要な勉強時間の目安
合格までに確保すべき勉強時間の目安にも大きな開きがあります。第二種の場合、初心者が基礎から学ぶ場合でも、大体1〜2ヶ月、時間にすると約50〜100時間程度の学習で合格水準に達することが可能です。
しかし、第一種になると出題範囲が大幅に拡大するため、すでに第二種の知識を有している状態であっても、さらに2〜3ヶ月、約100〜150時間の継続的な勉強が必要とされています。完全な未経験から第一種に挑戦する場合は、より長期的な学習計画が重要となります。
どっちから受けるべき?最適な取得の順番と戦略
電気工事士の資格取得を目指す際、第一種と第二種のどちらを先に受験すべきか迷う方は多くいらっしゃいます。結論から言うと、ご自身の知識レベルや実務経験が「今現在」あるかないかによって順番は異なります。一般的には、基礎から徐々に一段づつステップアップしていく流れが王道とされていますが、すでに一定の知識を持っている経験者であれば、独自の受験対策を立てることも可能です。ここでは、それぞれの状況に応じた取得の順番と、効率よく合格を勝ち取るための受験の戦略について具体的に解説します。
未経験者は「第二種」からの挑戦が推奨される理由
電気工事の完全未経験者は、基礎知識から身につく第二種からの受験を強く推奨します。第二種は受験資格に制限がなく、テキストも初心者向けに分かりやすく解説されたものが豊富です。まずは第二種を通じて電気の基本的な法則や配線図の読み方、工具の正しい使い方を習得することが、上位資格へ挑戦するための強固な土台となります。
第二種合格後、期間を空けずに第一種へ挑戦するメリット
第二種に合格した後、学習習慣や試験の感覚が残っているうちに第一種へ挑戦するのは非常に効率的です。第一種の出題範囲には、第二種で学んだ基礎理論や配線設計の知識が多数含まれています。期間を空けずに継続して学習することで、共通分野の復習時間を短縮でき、第一種特有の高圧受電設備などの勉強に集中して時間を割くことができます。
第一種と第二種の「同時受験」は現実的か?
第一種と第二種を同年度に同時受験することは制度上可能ですが、未経験者には現実的ではありません。試験のスケジュールが近接しており、膨大な試験範囲と異なる難易度の対策を並行して進める必要があるためです。学習の負担が過大になり共倒れになるリスクが高いため、確実に一つずつ合格を積み重ねる順序が最も安全な戦略です。
筆記・技能試験における具体的な難易度の違い
電気工事士の試験は、第一種・第二種ともに「筆記試験」と「技能試験」の2段階で構成されています。先ほど解説したように、対象となる電気設備の規模が異なるため、それぞれの試験で求められる知識の深さや技能レベルには歴然とした差が存在します。これから受験の学習計画を立てるにあたり、具体的にどのような問題が出題され、試験のどこに注意点があるのかを把握しておくことは非常に重要です。ここでは、筆記および技能の試験内容に焦点を当て、第一種と第二種の具体的な難易度の違いを解説します。
【筆記試験】出題範囲の広さと計算問題のレベル差
第二種の筆記試験は基礎知識が中心で、暗記で対応できる問題も多数存在します。しかし第一種では、高圧受電設備に関する専門知識が加わり出題範囲が大幅に拡大します。特に三相交流回路などの計算問題はレベルが高く、応用的な数学的思考が求められるため、過去問の反復だけでは対応が難しい点が大きな違いです。
【技能試験】求められる作業スピードと施工条件の複雑さ
与えられた配線図をもとに回路を作成する技能試験において、第二種の試験時間は40分、第一種は60分です。第一種は時間が長い分、高圧ケーブルの処理など作業工程が複雑化します。また、扱う電線自体が太く硬くなるため、第二種以上の正確な技術力と、それを時間内に完遂する迅速な作業スピードが厳格に求められます。
免状交付までの流れと維持管理面での違いに要注意
電気工事士の試験に合格した後、実際に資格を活用して現場業務を行うためには、各都道府県知事から資格を持っている証明として「免状」の交付を受ける必要があります。実は、この交付までの流れや取得後の維持管理のルールに関しても、第一種と第二種で明確な違いが存在します。試験に合格したからといって、すぐに第一種電気工事士としてすべての業務が行えるわけではありません。今後の就職や転職、あるいは将来独立など目標を立てる上で、これらの手続き上の違いや継続的な維持にかかる労力について事前に把握しておくことが大切です。
第一種は試験合格後、すぐに免状が発行されない
第二種は試験合格後、手続きを行えばすぐに免状が交付されます。一方、第一種は試験に合格しても、免状の交付には原則として3年以上の実務経験が必要です。つまり、試験合格という事実だけでは第一種の業務に従事できず、実務を積むための期間を見込んだ長期的なキャリア計画が求められます。
第一種にのみ課せられる「定期講習」の義務
第二種には更新制度がなく、一度取得すれば生涯有効です。しかし第一種電気工事士は、免状取得後5年ごとの「定期講習」受講が法令で義務付けられています。高圧設備を扱うための最新技術や法令の知識をアップデートし続ける必要があり、資格維持のための時間と費用が継続的に発生します。
キャリアと年収・待遇面で比較する第一種と第二種
電気工事士の資格取得を検討する際、多くの方が重視するのが「年収」や「待遇」など、ご自身の生活や将来に直結する現実的な違いです。第一種と第二種では対応できる電気設備の規模が異なるため、就職・転職市場における企業からの評価や、入社後の給与水準にも明確な差が生じます。
ここでは、各資格の平均的な年収差や、毎月の給与に上乗せされる資格手当の相場、そして数年先の昇進等を見据えた場合の資格の選び方について具体的に解説します。資格を単なる証明で終わらせず、収入アップへ繋げるためにも、是非参考にしてください。
第一種と第二種での平均的な年収差
電気工事士の平均年収は、所持する資格の種類により差があります。第二種電気工事士の場合、平均年収はおおよそ350万円〜500万円程度が相場とされています。一方、第一種電気工事士になると、扱える業務範囲が広がるため、平均年収は450万円〜650万円以上と高水準になります。大規模施設の案件をこなせる第一種は、収入面でも明確な利点です。
企業が支給する「資格手当」の相場と評価の違い
多くの企業では、毎月の給与に「資格手当」が支給されます。第二種の手当相場が月額2,000円〜5,000円程度であるのに対し、第一種は月額5,000円〜15,000円程度と高く設定される傾向にあります。企業側にとって第一種保持者は、公共工事の入札や大規模案件の受注に必要な存在であるため、採用時の評価も格段に高くなり、好待遇で迎えられやすくなります。
将来を見据えた場合の選択基準
自身の将来設計によって、どちらを目指すべきかが決まります。住宅等の小規模工事を中心に行う場合は第二種でも活躍できます。しかし、将来的に施工管理への挑戦や、ビル・工場を対象とした独立開業、あるいは法人向けの大型案件を獲得して事業拡大を目指すのであれば、第一種の取得は必須の選択肢となります。
【法人営業】資格の違いがBtoBに与える影響
独立や事業拡大を目指す際、ターゲットとなる層を一般顧客(BtoC)から法人顧客(BtoB)へ転換することは、収益の安定化において非常に重要です。電気工事の分野において、第一種と第二種の資格の差は、そのままアプローチできる法人規模の差に直結します。大型案件を獲得できれば一度の契約で大きな利益が見込めますが、そのためには自社の施工体制と並行して、対策を練った営業活動を構築する必要があります。
ここでは、BtoBにおける資格の違いが与える影響と、新規開拓に向けた提案方法を解説します。
第一種取得による工場・ビル等の大型案件受注へのメリット
第一種を取得すると、工場や商業ビルといった大規模な法人向け案件(最大電力500kW未満の需要設備など)を直接受注できるのが最大のメリットです。法人案件は単価が非常に高く、定期的なメンテナンスや追加工事の契約へ繋がりやすいため、長期的な自社の収益基盤を強固に安定させることができます。
第二種で対応可能な法人案件と新規開拓活動における限界
第二種の範囲でも、小規模店舗や小規模オフィスの内装工事など、一定の法人案件を獲得することは可能です。しかし、高圧受電設備を持つ大型施設には対応できないため、営業できるターゲット層が限定されます。BtoB領域での大幅な売上拡大や高単価顧客の開拓を狙う上では、事業成長の障壁になり得ます。
有資格者を押し出した法人顧客獲得と効果的な営業戦略
第一種の保有は強力な武器ですが、技術力だけでは新規開拓は進みません。専門性を押し出す積極的な提案が大切です。もし自社に営業マンがいない場合は、BtoBに特化した「営業代行サービス」の活用も非常に有効です。
様々なサービスがありますが、私たちが行っているFAXを活用した営業代行は、コストを抑えつつ多くの企業へ自社を知ってもらう機会を作れます。特に飲食、製造、建設などは今でも業務にFAXを使用しているので、Web広告のような検索を待つ広告ではなく、呼んでくださいと投げかける営業方法の為、より多くの方に会社を知らせる事ができます。ご興味がございましたら、是非ご活用ください。
第一種・第二種電気工事士の違いに関するよくある質問
資格取得を目指す過程で、多くの方が抱く共通の疑問があります。ここでは、第一種と第二種電気工事士の違いに関連して、試験の免除制度や必要な費用、学習のハードルなど、よくある質問をQ&A形式で分かりやすくまとめました。本格的な試験勉強を始める前に、これらの細かな疑問を解消しておくことで、試験までの対策をより立てることができます。
すでに第二種を取得していると、第一種の試験で免除制度はある?
結論から言うと、第二種を取得していても第一種の筆記試験や技能試験が免除される制度はありません。第一種はより高度な知識が求められるため、全員が試験を受ける必要があります。ただし、第二種で学んだ電気の基礎知識や基本的な配線技術は第一種の学習においてもそのまま活かせるため、実質的な学習負担は大きく軽減されます。
数学が苦手な場合、第一種の合格はハードルが高い?
第一種の筆記試験では、三相交流などの計算問題が出題されるため、数学が苦手な方には一定のハードルとなります。しかし、高校レベルの高度な数学知識が必須というわけではありません。頻出する公式を暗記し、過去問を繰り返し解くことで、文系出身者や数学に苦手意識がある方でも十分に合格点への到達が可能です。
試験の受験料や取得にかかる総費用に違いはある?
受験手数料は、第一種の方が第二種よりもやや高額に設定されています。さらに、試験対策に必要な参考書代に加え、技能試験用の専用工具や練習用部材の購入費用がかかります。第一種の技能試験は扱うケーブルなどの部材が太く高価になる傾向があるため、総合的に考えると取得費用は高くなります。費用に関しても事前に十分な予算計画を立てておくことが重要です。
まとめ:自身の現状に合わせて資格取得を目指そう
第一種と第二種電気工事士の最大の違いは、対応できる電気設備の規模とそれに伴う試験の難易度にあります。完全未経験から手堅くキャリアをスタートさせたい方は、基礎から学べる「第二種」からの受験が最も確実な道です。一方で、将来的に工場などの大型案件を獲得し、BtoB領域での事業拡大や年収アップを目指すのであれば、より高度な専門知識が求められる「第一種」の取得が最終的な目標となります。ご自身の現在のスキルレベルや将来のキャリアビジョンと照らし合わせ、無理のない学習計画を立てることが重要です。本記事での比較を参考に、ご自身に最適なステップアップの第一歩を踏み出してください。
米澤 俊一(よねざわ しゅんいち)
株式会社セールスマーケティングファーム代表
1979年横浜市出身。日本体育大学卒業。
IT企業で4年間Web運営に携わった後2008年に独立。
その後、福井県のベビーリーフ農家へ転身し、独自の営業手法を駆使してわずか2ヶ月でスーパー150店舗、レストラン400店舗との新規取引を開拓。ビニールハウス2棟から33棟への急拡大を牽引。OTAや農業ベンチャーの役員を経て、現在は営業職不在の中小企業を支援する営業代行会社の代表取締役。