
清掃業を営むなかで、「単発(スポット)の清掃依頼はあるものの、月によって売上が大きく変動してしまう」という悩みを抱えていないでしょうか。
スポット案件中心の経営では、繁忙期と閑散期の差が大きく、人員配置や資金繰りの見通しを立てにくいという課題があります。この課題を根本的に解決する方法のひとつが、ビルやマンションなどの共用部を対象に、毎月決まった売上が見込める「巡回清掃」という定期契約を増やすことです。
本記事では、巡回清掃という定期契約を軸に、不動産管理会社やオーナーへの具体的な営業方法、オフライン・オンラインの集客施策、価格競争に陥らないために必要な差別化ポイントをまとめて解説します。
清掃業全般における集客・差別化の考え方について詳しく知りたい方は、以下の記事も合わせてご参照ください。
リピーター続出!清掃業の集客を成功に導く差別化とアピールのコツ
巡回清掃が清掃業の売上安定に直結する理由

ストックビジネスとしての巡回清掃の魅力
巡回清掃とは、ビルやマンションなどの共用部を対象に、毎日ではなく週1〜2回程度の頻度で巡回しながら行う清掃業務を指します。毎日常駐する日常清掃や、汚れが気になったときにだけ依頼される単発のスポット清掃とは異なり、あらかじめ決めた頻度・範囲で定期的に訪問する契約形態です。
この巡回清掃の最大の魅力は、一度契約を結べば毎月継続的な売上が見込める「ストックビジネス」に該当する点にあります。単発の案件だけに頼る経営では受注件数によって月ごとの売上が大きく波打ちますが、巡回清掃の定期契約を積み上げていけば、閑散期でも一定の収入が確保でき、採用計画や設備投資の見通しも立てやすくなります。
スポット清掃と巡回清掃の収益性の違い
スポット清掃は1件あたりの単価が高い一方、案件ごとに新規の営業活動が必要になるため、営業コストが継続的にかかり、受注状況によって波が生じやすいという特徴があります。これに対して巡回清掃は、1回あたりの単価こそ低めであっても、長期契約が前提となるため、契約期間全体で見た顧客生涯価値(LTV。顧客が契約期間中にもたらす利益の総額を指す考え方)は高くなりやすいという違いがあります。
効率的なルート構築で利益率を最大化できる
巡回清掃では、担当エリアを絞り込み、複数の物件を効率よく回れるルートを構築することで、移動時間や交通費といった見えないコストを削減できます。ルート効率化によって浮いた時間を別の現場対応や新規営業に充てられるようになれば、従業員一人あたりの生産性が高まり、結果として利益率の向上にもつながります。
【ターゲット別】巡回清掃の営業・集客方法

不動産管理会社への提案(BtoB)
多くの物件を管理する不動産管理会社は、一度の取引で複数物件の巡回清掃を継続的に受注できる可能性が高い重要なターゲットです。提案の際は、「入居者からのクレーム削減」や「写真付き報告書による管理業務の負担軽減」など、管理会社側が日々抱えている業務課題の解決につながるメリットを具体的に提示することが、成約への近道になります。
マンション・アパートの物件オーナーへの直接営業
自主管理を行っているオーナーや、既存の清掃業者に不満を感じているオーナーに対しては、ポスティングや郵送DMによる直接営業が有効です。「共用部を清潔に保つことで内見時の第一印象が良くなり、入居率の向上につながる」といった、費用対効果と物件価値の維持を結び付けた提案がポイントになります。
既存顧客からの紹介やスポット案件からの引き上げ
すでにスポット清掃で取引のある顧客に対して、作業品質への満足度を高めたうえで「共用部の巡回清掃も一括で対応できます」と提案する引き上げ戦略も、新規開拓に比べて成約のハードルが低い手堅い手法です。あわせて、既存顧客に他の管理物件での困りごとをヒアリングし、紹介につなげる仕組みを作っておくことも、売上の安定化に役立ちます。
巡回清掃の案件を獲得する「オフライン営業」の具体策

反響を呼ぶポスティングチラシの作成と配布のコツ
チラシでは「誰の、どんな悩みを解決するのか」を冒頭で明確に示すことが重要です。具体的な問題提起から入り、料金の目安、ビフォーアフターの写真、責任者の顔写真などを掲載することで、初めて依頼する読み手にも安心感を与えられます。無差別に配布するのではなく、外観や共用部の汚れが目立つ物件を選んで配布することで、問い合わせにつながる反響率を効果的に高められます。
信頼関係を築く飛び込み営業・テレアポの基本
不動産管理会社への訪問・電話では、いきなり自社の強みを売り込むのではなく、まず相手の困りごとをヒアリングする姿勢が基本です。「現在の清掃業者の対応品質にばらつきがある」「報告が遅れがちで困っている」といった課題を引き出しながら、解決策として自社を紹介する進め方を意識しましょう。すぐに契約に至らなくても、定期的に誠実な対応を続けることで、既存業者が対応しきれなくなった際に真っ先に声がかかる関係を築くことができます。
地域の異業種交流会やオーナーコミュニティの活用
商工会議所の交流会やオーナー同士のコミュニティへの参加も、地域密着でBtoB案件を広げるうえで有効です。その場での直接的な売り込みよりも、人脈づくりと信頼獲得を目的とすることが大切です。リフォーム業者や税理士など、物件オーナーと接点を持つ異業種と関係を築いておくことで、間接的な紹介ルートが生まれることもあります。
企業の決裁者へ直接情報を届ける「FAXDM」という選択肢
ポスティングチラシと同様に、管理会社の担当者に「現場を見てもらう前段階」で情報を届ける手段として、FAXDM(FAXによる営業案内の配信)も選択肢のひとつです。テレアポや飛び込み営業では受付や現場担当者の段階で断られてしまう場合でも、FAXDMであれば担当者の手元に直接資料が届く可能性があります。チラシと同様ターゲットの悩みと解決策を、冒頭に記載しますが、QRコードやロゴなどの「いかにも営業と感じさせる紙面」にしない事が反響率増加に繋がります。実際の紙面の構成やデザインのイメージを知りたい場合は、サンプルもあわせてご確認ください。
注意:FAX DMは法人営業に活用できる一方、通信販売に関するFAX広告については、特定商取引法第12条の5により、消費者の事前承諾を得ない送信が原則として禁止されています。そのため、個人宅などの消費者に対して、承諾なく営業目的のFAXを送信することはできません。
安定集客を自動化する!清掃業の「Web集客戦略」

清掃業に特化したホームページの重要性
管理会社やオーナーは、サービスの導入を検討する前や問い合わせる前に、自ら検索してホームページを見て信頼性を確認することがほとんどです。「巡回清掃の基本料金」「対応エリア」「作業報告書のサンプル」「お客様の声」など、利用を検討している人たちが知りたい情報を具体的に掲載しておくことで、「どんな人が来て、どの程度きれいになるのか」という不安を払拭し、問い合わせへの心理的なハードルを下げられます。
SEO対策で「地域名+清掃」の検索上位を狙う
「〇〇市 巡回清掃」のような「地域名+サービス名」のキーワードで検索上位を狙うことは、Web集客の基本です。対応エリアごとの専用ページを用意したり、施工実績をブログで継続的に更新したりすることで、その地域で清掃業者を探している見込み客に効率よく見つけてもらいやすくなります。この、検索結果の上位表示対策の事をSEO対策と言います。
MEO対策(Googleビジネスプロフィール)で近隣顧客を獲得
「近くの清掃業者」と検索するユーザーを取り込むには、MEO対策(マップ検索での上位表示対策)が有効です。Googleビジネスプロフィールに無料登録したうえで、現場写真を継続的に投稿し、口コミを集めていきましょう。良い口コミが多い業者はマップ検索で上位に表示されやすくなり、地域密着型の案件獲得において大きな効果を発揮します。
SNSを活用した施工事例のアピールと信頼獲得
Instagramなどの画像・動画中心のSNSは、清掃業の技術力を視覚的に伝えやすく、認知度向上に役立ちます。「頑固な汚れが落ちた」というビフォーアフターを継続的に発信することで専門性をアピールできるほか、作業風景やスタッフの人柄が伝わる投稿は親近感・信頼感の獲得にもつながり、ホームページへの流入導線としても機能します。
こうしたホームページの情報充実やSEO・MEOなどの発信を通じて、検索エンジンだけでなく、AI検索経由でも見込みの高い顧客に見つけてもらえる状態を作りたい・維持したい場合は、Web集客に特化した運用サービスの活用も選択肢のひとつです。
価格競争から抜け出す!差別化と成約率アップの極意

丁寧な「写真付き作業報告書」で管理者的な立場を築く
管理会社や遠方のオーナーが抱える「本当に清掃されているか」という不安に対して、写真付きの作業報告書は有効な手段のひとつです。清掃前後の写真を迅速に提出するだけでなく、「電球が切れている」「共用部の設備に不具合がある」といった気づきを添えて報告することで、単なる清掃業者ではなく、物件の状態を日常的に見守る「管理者」としての立ち位置を確立できます。この積み重ねが、他社への乗り換えを防ぐ付加価値につながります。
見積もり提出時のレスポンス速度と提案力
相見積もりの場面で決め手になりやすいのが、連絡や対応などのレスポンスの速さと提案の質です。問い合わせを受けたら即日から翌日には現地調査の日程を調整し、スピード感を持って見積もりを提示しましょう。また、「月4回の掃き掃除より、月2回の掃き掃除と月1回の高圧洗浄を組み合わせた方が長期的に美観を保てる」など、顧客の資産価値向上を意識したプロならではの改善提案ができれば、価格だけで比較されにくくなります。
自社ならではの「強み」を言語化し付加価値をつける
「なぜ他社ではなく自社に依頼すべきか」を、具体的な言葉で伝えることも欠かせません。「女性スタッフのみで対応するため安心感がある」「スマートフォンから作業報告書を確認できる」など、ターゲットの要望や課題に合った特徴を明確に打ち出すことで、単価がやや高めでも指名され、継続的な契約につながりやすくなります。
独立直後の実績不足を補う工夫と誠実な対応
独立して間もない時期は、実績の少なさが不安材料になりがちです。この不安は、小回りの利く対応力と、属人的な信頼感で補うことができます。代表者のプロフィールや清掃に対する想いを顔写真付きで公開して安心感を醸成したり、「最初の1か月はお試し期間として、立ち会いのもとで細かく要望をすり合わせる」といった柔軟で丁寧な対応を提案したりすることが、実績の少なさを補い、安心して任せてもらうきっかけになります。
巡回清掃の集客拡大における注意点と課題対策

案件増加に伴う人手不足と品質低下の防止策
案件が増えて1件あたりの清掃時間が短くなると、品質が低下し、せっかく獲得した継続案件を失ってしまう恐れがあります。これを防ぐには、集客活動と並行して採用活動や外注先の開拓を進めることが欠かせません。また、誰が担当しても一定の品質を保てるよう、作業手順をまとめた業務マニュアルを整備し、特定のスタッフに頼らない体制を作っておくことも重要です。
業務効率を高める最新機器(業務用ロボット掃除機など)の導入
人手不足の解消と利益率向上を両立させる手段として、業務用ロボット掃除機の導入も効果的です。エントランスなど広い床面の清掃をロボットに任せている間に、スタッフは手すりの拭き上げなど手作業でなければできない部分に集中できます。これにより1現場あたりの作業時間を短縮でき、1日に回れる物件数を増やせるため、長期的な人件費の抑制と品質の安定化につながります。
まとめ:ストック型契約を増やし、安定した経営基盤を築こう
単発のスポット案件に依存する経営から抜け出す鍵は、巡回清掃という定期契約を着実に積み上げることにあります。不動産管理会社やオーナーが抱える「美観維持」「入居率向上」といった課題に寄り添った提案を行い、写真付き報告書や柔軟な対応で価格以外の付加価値を示せれば、価格競争に巻き込まれずに長期契約へつなげやすくなります。あわせて、案件増加時の人手不足対策や業務マニュアルの整備を進めておくことで、獲得した契約を安定的に維持できる体制を築けます。
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米澤 俊一(よねざわ しゅんいち)
株式会社セールスマーケティングファーム代表
1979年横浜市出身。日本体育大学卒業。
IT企業で4年間Web運営に携わった後2008年に独立。
その後、福井県のベビーリーフ農家へ転身し、独自の営業手法を駆使してわずか2ヶ月でスーパー150店舗、レストラン400店舗との新規取引を開拓。ビニールハウス2棟から33棟への急拡大を牽引。OTAや農業ベンチャーの役員を経て、現在は営業職不在の中小企業を支援する営業代行会社の代表取締役。