元請けからの下請け、一括見積もりサイト、知人からの紹介。仕事の入口がこのどれかに偏っていて、手数料や相見積もりでの値下げのために、思うように利益が残らないと感じていないでしょうか。自社で直接受ける仕事を増やしたくても、現場をこなしながら営業まで手を回すのは簡単ではありません。
外壁塗装の集客方法には、ホームページ、チラシ、ポータルサイトなどさまざまなものがありますが、どれが合うかは「どんなお客さんから仕事を受けたいか」によって変わります。この記事では、仕事の受け先を「個人施主」「法人の発注元」「一括見積もりサイト経由」の3つに分け、それぞれの集客方法と、自社の状況に合わせて取り組む順番を説明します。
外壁塗装の集客は「誰から仕事を受けるか」で方法が変わる
集客方法を選ぶ前に、自社がいまどこから仕事を受けていて、今後どこからの仕事を増やしたいのかを整理しておくと、手を付ける施策を絞り込みやすくなります。外壁塗装の仕事の請け先は、大きく次の3つに分けられます。
個人施主から直接受ける
戸建て住宅の持ち主から、自社が直接依頼を受ける形です。間に元請けや紹介サイトが入らないため手数料がかからず、価格や工事内容を自社で決められます。
一方で、インターネットで業者を探す施主は、複数の会社を見比べてから問い合わせるため、最初から相見積もりを前提に話が進みやすくなります。また、外壁の塗り替えは頻繁に発注するものではなく、1回の工事で取引が終わることが多いため、新しい施主からの問い合わせを集め続ける仕組みが必要です。
管理会社・リフォーム会社など法人の発注元から受ける
賃貸物件を管理する会社、リフォーム会社や工務店、工場や店舗を持つ企業などから塗装工事を受ける形です。元請けからの下請け案件もこの一種ですが、特定の元請けだけに頼るのではなく、複数の発注元と取引できる状態を目指す考え方として扱います。
法人の発注元は複数の物件や現場を抱えていることがあり、対応や仕上がりを評価されれば、別の物件で再び声がかかる場合があります。ただし、単価や支払い条件は発注元ごとに異なり、個人施主から直接受けるより単価が低くなることもあります。取引先を見つけて関係をつくるまでに時間がかかる点も考えておく必要があります。
一括見積もりサイト経由で受ける
施主が見積もりを依頼すると、サイトが複数の塗装会社を紹介する仕組みです。集客のノウハウや自社サイトがなくても、塗装を検討している施主と接点を持てる点が利点です。
便利ですがその代わりとして、紹介や成約に応じて手数料がかかります。複数社への同時依頼が前提のため相見積もりになりやすく、価格で比べられる場面も増えます。依存度が高くなるほど、自社の利益や仕事量がサイトの仕組みに左右されやすくなるため、始めやすい入口として使いながら、ほかの経路を育てて割合を下げていく位置付けが現実的です。
3つの経路を比べると、次のようになります。
| 経路 | 費用のかかり方 | 相見積もりになりやすいか | 取引の続き方 | 向いている会社 |
|---|---|---|---|---|
| 個人施主から直接 | 自社サイトやチラシの制作費と自社の手間。紹介手数料はかからない | なりやすい(特にWeb経由) | 1回で終わることが多い。点検や紹介で次につながる場合がある | 地域で施工実績を積み、強みを自社で発信できる会社 |
| 法人の発注元から | 案内の作成・送付と、関係づくりの手間 | 発注元の方針による | 対応を評価されれば、別の物件で継続して依頼が来る場合がある | 対応エリアや対応できる工事を明確に示せる会社 |
| 一括見積もりサイト経由 | 紹介や成約に応じた手数料 | なりやすい | 1回で終わることが多い | 集客の仕組みがまだなく、まず施主との接点を増やしたい会社 |
個人施主からの問い合わせを増やす方法
個人施主から直接受ける仕事を増やすには、施主が業者を探す場面ごとに、自社を見つけてもらい、選んでもらうための準備が必要です。
自社サイトとGoogleビジネスプロフィールで、地域の検索に備える
塗装業者を探す施主は、「○○市 外壁塗装」のように地域名を入れて検索することがあります。このとき自社を見つけてもらう入口になるのが、自社サイトとGoogleビジネスプロフィールです。
Googleビジネスプロフィールは、Googleの検索結果や地図に会社の情報を表示できる仕組みで、無料で登録できます(Googleビジネスプロフィール ヘルプ)。施工写真を掲載し、寄せられた口コミに一つずつ返信しておくと、施主が会社の雰囲気や対応を判断する材料になります。地図での表示を意識したこうした取り組みは、「MEO(地図検索対策)」と呼ばれることもあります。
自社サイトには、施主が業者を選ぶときに知りたい情報を載せます。具体的には、施工前後の写真、費用の目安、施工する職人の紹介、実際のお客様の声などです。検索結果に表示されやすいようにサイトの内容を整えることを「SEO(検索エンジン対策)」と呼びますが、出発点であり1番重要なことは、施主が知りたい情報を具体的かつ正確に載せることです。
どちらの施策もやって・作って終わりではありません。新しい施工事例を追加し、口コミに返信するといった更新を続けることで情報が積み上がり、地域で自社を見つけてもらえる機会が増えていきます。最近はGoogle検索だけでなく、ChatGPTのような生成AIに業者の探し方を相談する人もいるため、Web上に自社の情報が十分にそろっているかどうかが、より問われるようになっています。
自社サイトに何を載せればよいか分からない、更新に手が回らないという場合は、Google検索やAI検索から問い合わせにつなげるためのWeb集客支援サービスurikata.aiもご検討ください。
施工現場の近隣へのチラシとあいさつ
施工中の現場は、近隣の住民に自社の仕事ぶりを見てもらえる機会です。工事前のあいさつに合わせてチラシを配ると、同じ時期に建てられた近所の家の施主が、自宅の塗り替えを考えるきっかけになることがあります。
チラシでは、「なぜ今、塗装が必要なのか」(ひび割れや色あせを放置すると何が起こるか)と、「誰が施工するのか」を、施工写真や職人の顔写真を添えて伝えます。会社名と価格だけを並べたチラシよりも、施主が依頼するかどうかを判断しやすくなります。
配る範囲は、現場の近隣や、自社がすぐに駆け付けられる地域に絞りましょう。施工後の点検や不具合への対応を考えると、近くの施主の方が対応しやすく、施主にとっても地元の会社であることは安心材料になります。
施工後の点検と紹介
外壁塗装は、工事が終わった後も施主との接点を持ち続けやすい仕事です。施工から一定期間ごとに点検に伺う、不具合がないか連絡するといった対応は、施主の安心につながるだけでなく、家族や知人に塗装会社を紹介してもらうきっかけにもなります。
紹介で依頼してくる施主は、すでに知人から自社の対応を聞いているため、ほかの会社と横並びで比べられる前から話を始められることがあります。点検の時期を記録しておき、計画的に連絡する仕組みをつくっておくと、忙しい時期でも施主との接点が途切れにくくなります。
相見積もりで比較されたときに選ばれる情報を出す
Webや一括見積もりサイト経由の施主は、複数社を比べて決めることが前提になりやすく、比べられた時に選ぶ理由や利用するメリットを示せるかどうかが受注を左右します。
注意したいのが「当て馬」にされる構造です。施主がすでに本命の会社を決めていて、価格が妥当かを確かめるためだけに、ほかの会社から見積もりを取ることがあります。見積書の金額だけで比べられると、自社の見積もりは本命の会社との値下げ交渉の材料に使われて終わってしまいます。
比べられたときに選ばれるには、「親切丁寧」「高品質」のような、どの会社でも書ける言葉ではなく、事実で強みを示すことが大切です。例えば、地域での施工件数、保有資格、保証の内容と期間、自社の職人が施工するかどうか、といった具体的な情報です。
さらに、その事実を施主にとってのメリットに言い換えて伝えます。「自社施工」であれば、「現地調査をした担当者の話がそのまま職人に伝わり、打ち合わせと仕上がりが食い違いにくい」「下請けに出さない分、中間の費用がかからない」というように、施主が何を得られるのかまで説明します。見積書に添える説明資料や自社サイトの会社紹介にも同じ内容を載せておくと、比較の場面で判断材料として使ってもらえます。
なお、検索結果に広告を出すリスティング広告という方法もあります。ただし、広告費を払っている間は表示されても、出稿を止めれば問い合わせも止まる、費用をかけている間だけ効果が続く施策です。「外壁塗装 見積もり」のように多くの会社が出稿する言葉は広告費が高くなりやすく、限られた予算では費用が先にふくらみやすいです。まずは自社サイトやGoogleビジネスプロフィールのように、続けるほど情報が積み上がる施策を優先し、広告は費用と問い合わせ数を見ながら限定的に検討するのが無難です。
SNSの活用や見学会・相談会など、建設業全般で使われる集客方法については以下の記事でも紹介しています。
法人の発注元から継続して仕事を受ける方法
個人施主からの仕事は、1件ごとに新しい施主を見つける必要があります。一方、法人の発注元とは、一度関係ができれば繰り返し依頼を受けられる場合があります。下請けや一括見積もりサイトへの偏りを減らす手段として、取引できる法人を増やすことも選択肢になります。
外壁塗装を外注する法人と、それぞれが求めること
外壁塗装を外部の塗装会社に依頼する法人には、主に次のような相手があります。それぞれ塗装会社に求めることが異なるため、相手ごとに何を確認されるかを事前に把握しておくと、案内の内容を決めやすくなります。
- 賃貸管理会社・不動産会社:管理するアパートやマンションの外壁塗装を、建物オーナーの意向や修繕計画に沿って手配します。管理物件のある地域に対応できるか、入居者が暮らす中で配慮した工事ができるか、工事前後の写真付きの報告があるか、などを見られることがあります。
- リフォーム会社・工務店:自社に塗装職人がいない場合や、繁忙期に手が足りない場合に協力業者へ依頼します。自社の顧客の家を任せることになるため、施工品質に加えて、現場での施主への対応、急ぎの依頼への対応、見積もりを出す速さなどが判断材料になります。
- 工場・店舗・社屋を持つ法人施主:自社の建物の外壁塗装を直接発注します。工場や倉庫など、住宅とは規模や構造が違う建物に対応できるか、操業や営業を止めずに工事を進められるか、といった点を確認されます。
法人から受ける仕事でも、単価、支払いまでの期間、継続して依頼があるかどうかは相手によって異なります。法人だから利益が出やすいとは限らないため、今の元請けからの仕事や個人施主からの仕事と比べ、自社にとって条件が合うかを見極めることが大切です。
法人へ自社を知ってもらう方法と、案内で伝える内容
法人の発注元は、新しい塗装会社を探している状況とは限りません。すでに付き合いのある協力業者に依頼していることもあり、こちらから存在を知らせなければ、依頼先や切り替えの候補にも入りません。そのために、自社から直接案内を届ける営業が中心となります。
直接案内する方法には、電話、郵送、FAXがあります。電話は担当者につながるまでに手間がかかり、現場と並行して続けるには負担が大きくなりやすく、郵送のダイレクトメールは、パンフレットなどを直接送ることができるので有力ですが、封筒を開けてもらって初めて中身が読まれるため、知らない企業と判断した場合読まれない可能性があります。その点FAXは受信して印刷された時点で紙面が見える状態になるため、開封の手間がなく、目に入りやすい媒体です。とはいえ、届いた案内がすべて読まれるわけではないため、誰に何を書くかが重要になります。
FAXを利用する場合は、送る件数を増やすことよりも、誰に送るかを決め、その相手に合わせた内容にすることを重視します。管理会社に送るなら、管理物件の修繕に対応できることや入居者への配慮、利用者の口コミを伝える。工場を持つ企業に送るなら、大きな建物や操業中の工事に対応できることを伝える。このように、送る相手が変われば、書くべき内容も変わります。
紙媒体を活用した営業を取り入れる際には、主に次のような内容を載せましょう。
- 対応できる工事(外壁塗装、屋根塗装、防水工事など)と、対応できる建物の種類・規模
- 対応エリア
- 施工実績(建物の種類や件数など、事実で示せるもの)
- 保有資格や建設業許可
- 見積もりや現地調査への対応(依頼からどのくらいで伺えるかなど)
自社に合う集客方法の選び方と始める順番
3つの経路のうち、どれか1つだけが正解というわけではありません。手を付ける順番は、次の3つの視点から考えます。
- 今の仕事が、どの経路に偏っているか
- その施策を、自社の人手で続けられるか
- 費用をかけている間だけ効果が続く施策か、続けるほど情報や取引関係が積み上がって残る施策か
この視点を、よくある状況に当てはめると次のようになります。
下請けが中心で、Webでの発信がない会社は、まず自社を見つけてもらう入口をつくるところから始めましょう。無料で登録できるGoogleビジネスプロフィールに、これまでの施工写真を載せることが最初の一歩となります。それと並行して、今の元請け以外に取引できる法人を探し、下請けで積んだ経験(対応できる工事、報告の丁寧さなど)を営業時のトークや文面に生かせば、これまでの実績を別の発注元との取引につなげられます。
一括見積もりサイトへの依存度が高い会社は、いきなり登録をやめる必要はありません。サイト経由で受けた施主にも施工後の点検を続けて紹介につなげる、自社サイトに施工事例を蓄積する、といった手数料のかからない経路を少しずつ育て、サイト経由の割合を下げていきます。
人手や予算が限られる会社は、すべてを同時に始めようとせず、1つか2つに絞ります。施工後の点検と紹介、現場近隣へのあいさつとチラシは、今の現場の延長で取り組みましょう。そのうえで、増やしたいのが個人施主からの仕事なのか、継続して取引できる法人なのかを決め、Webでの発信か法人への提案のどちらかに絞って広げていきます。
まとめ
外壁塗装の集客は、施策の数を増やすことよりも、「誰から仕事を受けたいか」を決めることから始まります。個人施主から直接受けたいなら、地域で見つけてもらう入口と、相見積もりで比べられたときに選ばれる情報を整える。法人の発注元から継続して受けたいなら、相手が求めることに合わせた案内を、送る相手を絞って届ける。一括見積もりサイトは、入口として使いながら依存度を下げていきましょう。
そのうえで、今の受け先の偏りと、自社の人手・予算で続けられるかを基準に、取り組む営業の順番を決めてください。費用をかけている間だけ効果が続く施策より、続けるほど実績や取引関係が積み上がる施策を優先することで、下請けや手数料に左右されにくい仕事の受け方に近づいていきます。
米澤 俊一(よねざわ しゅんいち)
株式会社セールスマーケティングファーム代表
1979年横浜市出身。日本体育大学卒業。
IT企業で4年間Web運営に携わった後2008年に独立。
その後、福井県のベビーリーフ農家へ転身し、独自の営業手法を駆使してわずか2ヶ月でスーパー150店舗、レストラン400店舗との新規取引を開拓。ビニールハウス2棟から33棟への急拡大を牽引。OTAや農業ベンチャーの役員を経て、現在は営業職不在の中小企業を支援する営業代行会社の代表取締役。