
飲料を製造している会社の経営者や営業担当者からは、「新しい取引先をどう増やせばいいか分からない」「既存の卸ルート以外に営業の当てがない」という相談をよくいただきます。清涼飲料、茶系飲料、機能性飲料、地サイダーなど扱う商品は違っても、抱えている課題は共通しています。
飲料は他の食品と比べても販路の影響を受けやすく、限られた取引先に依存していると、製造ラインの稼働率や利益率に直結します。展示会に出展したり、既存の卸先からの紹介を待ったりするだけでは、新規開拓のペースはなかなか上がりません。
この記事では、飲料製造業が新規開拓に苦戦しやすい理由を整理したうえで、狙うべき取引先の種類、それぞれへの具体的な営業方法、そして少ない人員でも開拓を進める工夫について解説します。
飲料製造業が新規開拓・販路拡大に苦戦しやすい理由

飲料製造業の新規開拓が難しい背景には、業界特有の商流構造があります。多くの飲料メーカーは大手卸や特約店(メーカーと契約し優先的に取り扱う卸・販売店)を経由して小売店・飲食店に商品を届けており、この構造自体が新規参入のハードルを上げています。既存の卸ルートに商品を乗せてもらうこと自体が難しく、乗った後も棚の一角を確保できるかは卸・小売側の判断に左右されます。
加えて、飲料は夏場に売上が集中するなど季節・天候による変動が大きく、賞味期限が短い商品(無糖茶、乳飲料、果汁飲料等)も多いため、在庫を長く抱えて売り先を探す余裕がありません。新しい取引先を継続的に確保できていないと、繁忙期に生産能力を活かしきれず、閑散期には稼働率が落ち込むという波を抱えたままになります。
さらに、OEM(他社ブランドの商品を受託製造すること)やPB(プライベートブランド)の受託製造が広がっている業界でもあり、依頼元企業との価格交渉力の差から、受託製造だけに依存すると利益率が圧迫されやすい構造があります。自社ブランドの直接販路と、OEM・PB受託の双方で取引先の選択肢を広げておくことが、事業の安定につながります。
飲料製品の新しい販路として検討できる取引先

新規開拓を考えるとき、狙う取引先によって商談の進め方も必要な準備も変わります。ここでは代表的な開拓先ごとの特徴を見ていきます。
卸売業者(酒類卸・食品卸)
卸売業者は、一度取引が始まれば複数の小売店・飲食店への波及が期待できる開拓先です。清涼飲料であれば食品卸、ビールや地サイダーなどアルコールを含む飲料であれば酒類卸が主な窓口になります。卸は既存の取扱商品と競合しない商品性や、一定量を安定供給できる体制を重視するため、商品の強みと供給力を整理してから商談に臨む必要があります。
なお、アルコールを含む飲料を卸売する場合は酒税法上の販売業免許が関わるため、対象商品が酒類に該当するかどうかは事前に確認しておくと商談がスムーズです(国税庁:酒類の販売業免許)。
小売店(スーパー・コンビニ・酒販店・ドラッグストア等)
全国チェーンへの直接営業はハードルが高い一方、地域のスーパーや酒販店、ドラッグストアであれば、地元産・地域性を訴求できる商品ほど採用されやすい傾向があります。バイヤーとの商談では、価格だけでなく、販促物や試飲会など店頭での売り方まで提案できるかが選ばれる要因になります。
飲食店・カフェ・ホテル等の業務用ルート
飲食店やカフェ、ホテルなどの業務用ルートは、小売店に比べて1件あたりの取引量は小さいものの、メニューとの相性が合えば継続的な定番採用につながりやすい開拓先です。業務用ルートへの営業の進め方については、以下の記事で詳しく解説しています。
飲食店・レストランへの直接販路開拓が求められる理由と切り替えの提案方法
自動販売機運営会社
全国清涼飲料連合会(出典:日本自動販売システム機械工業会調べ)によると、清涼飲料の自動販売機は全国に約199万4,000台設置されています(2022年12月末時点、全国清涼飲料連合会)。日本食糧新聞の報道によれば、飲料自動販売機全体の台数は2023年も前年比1.1%減となっており(日本食糧新聞、2024年4月15日)、コンビニやスーパーとの競合、飲料価格の上昇などを背景に減少傾向が続いています。新規の設置先を大きく増やせる市場ではなくなりつつあるため、自販機運営会社(オペレーター)への営業では、既存ラインナップの入れ替えタイミングを見極めるなど、的を絞った営業が求められます。
OEM/PB企画会社(受託製造としての開拓)
自社ブランドの拡販だけでなく、他社ブランド・PB商品の受託製造として取引先を広げる方法もあります。小売チェーンや飲料企画会社は自社で製造設備を持たずに商品開発を行うケースが多く、製造能力に余力がある飲料メーカーにとっては新しい売上の柱になり得ます。受託製造は価格交渉力で不利になりやすい点を踏まえ、自社ブランドの販路とバランスを取りながら開拓することが大切です。
新規取引先を開拓する具体的な方法と使い分け

開拓先が定まったら、次はどう営業をかけるかです。手法によってコストやスピード、向いている企業規模が異なるため、自社の体制に合わせて使い分けましょう。
展示会・商談会への出展
食品・飲料関連の展示会は、バイヤーと直接接点を持てる場として有効です。ただし出展料や人員の確保が必要なうえ、成果が出るまでに時間がかかることも多く、単独の手法として位置づけるより、他の開拓手法と組み合わせて使うのが現実的です。
卸・商社を経由した売り込み
卸や商社に商品を採用してもらえれば、その先の小売店・飲食店への展開を任せられる効率の良さがあります。一方で、卸・商社側の商品選定基準や取引条件を満たす必要があり、交渉には時間がかかる場合があります。
法人への直接営業(FAX・DM等)
小売店・飲食店・卸売業者など、営業対象を業種や地域で絞り込める飲料業界では、FAXやDMを使った直接営業も選択肢になります。電話営業のように相手の時間を大きく拘束せず資料を残せるため、多忙な仕入れ担当者にも情報を届けやすい手法です。
Webサイト・SNSでの情報発信
自社サイトやSNSで商品情報・取扱実績を発信しておくと、バイヤー側から問い合わせが来る場合もあります。ただし成果が出るまでの時間軸は他の手法より長くなりやすく、即効性を求める新規開拓の主軸には向きません。
| 手法 | 主な対象 | コスト感 | スピード感 | 向いている企業 |
| 展示会・商談会への出展 | バイヤー全般 | 高め(出展料・人員) | 中〜長い | ある程度の人員・予算を確保できる企業 |
| 卸・商社を経由したアプローチ | 卸売業者・商社 | 中程度 | 中程度 | 商品力・安定供給力に自信がある企業 |
| 法人への直接営業(FAX・DM等) | 卸・小売・飲食店等 | 低め | 比較的早い | 少人数でも営業対象を絞り込める企業 |
| Webサイト・SNSでの情報発信 | 幅広いバイヤー | 低め(時間コストは大) | 長い | 中長期で情報発信を継続できる企業 |
少ない人員・時間で効率的に新規開拓を進めるには

前章で触れた直接営業を実行する場合、最初のハードルになりやすいのが「どの企業に送るか」というリストの準備です。卸・小売・飲食店・酒販店など、業種や地域を絞り込んで営業先を洗い出す作業には手間がかかり、片手間で続けるのは容易ではありません。
そんなリスト作成から商材に関してまとめた紙面作成、配信までを外部に任せられるのが、FAX営業代行です。飲料業界であれば、地域の酒販店や食品卸、飲食店など、業種・エリアを指定した営業先リストをもとに配信できるため、担当者を増やさずに開拓の母数を確保できます。専任の営業担当を置く余裕がない中小の飲料メーカーでも、既存業務と並行して新規開拓を進めやすくなります。
どの業種・地域の企業を対象にリストを作成できるか、無料でダウンロードして確認できます。
▽動画でも解説しています!
まとめ
飲料製造業の新規開拓は、卸・小売・飲食店・自動販売機運営会社・OEMやPB企画会社など、狙う取引先によって商談の進め方が変わります。まずは自社の生産余力や商品特性に合った開拓先を絞り込み、展示会や卸経由の営業と、FAX・DM等の直接営業を組み合わせて動かすことが現実的な進め方です。
特に、営業に割ける人員が限られている場合は、リスト作成や配信作業を外部に任せることで、既存業務を止めずに新規開拓のペースを上げられます。まずはサービス資料で、飲料業界での活用イメージを確認してみてください。
FAX営業代行の仕組みや費用感を確認したい方はこちら。
米澤 俊一(よねざわ しゅんいち)
株式会社セールスマーケティングファーム代表
1979年横浜市出身。日本体育大学卒業。
IT企業で4年間Web運営に携わった後2008年に独立。
その後、福井県のベビーリーフ農家へ転身し、独自の営業手法を駆使してわずか2ヶ月でスーパー150店舗、レストラン400店舗との新規取引を開拓。ビニールハウス2棟から33棟への急拡大を牽引。OTAや農業ベンチャーの役員を経て、現在は営業職不在の中小企業を支援する営業代行会社の代表取締役。