
SaaSの新規開拓がうまくいかず、商談獲得や成約に苦戦していませんか?継続利用を前提とするSaaSの営業は、従来の売り切り型商材とは異なる特有の難しさがあります。競合ツールが増加する中、単なる機能や価格のアピールだけでは決裁者の関心を惹きつけることは困難です。
本記事では、SaaS新規開拓で直面する状況別の課題と、その解決策となる高単価顧客を狙う「提案型営業」への切り替え、さらには人手不足を補う営業代行の活用法まで徹底解説します。最後までお読みいただくことで、自社の事業規模に最適な営業戦略を構築し、見込み顧客獲得から成約、LTV最大化までを一気に加速させるヒントが得られます。
SaaSの新規開拓が従来の営業よりも難しい理由

SaaSの営業は、買い切り型の有形商材を売る従来の手法とは本質的に異なります。特に新規開拓においては、SaaS特有の仕組みや製品特性が壁となり、商談獲得や成約へのハードルが高くなりがちです。ここでは、SaaSの新規開拓が難しいとされる主な理由を解説します。
無形商材ゆえの「価値の伝わりにくさ」
ソフトウェアという無形商材であるSaaSは、導入によって自社にどのような変化や利益をもたらすのか、顧客が具体的にイメージしにくいという特徴があります。実物を見せて機能を売り込むことができないため、顧客の潜在的な課題を掘り下げ、導入後の明確な費用対効果(ROI)を論理的に提示する高い提案力が求められます。
サブスクリプションモデルにおける「LTV」の壁
買い切り型とは異なり、SaaSは継続利用を前提とします。そのため、単に契約を取るだけでなく、解約(チャーン)を防ぎLTV(顧客生涯価値)を最大化することが重要です。導入後のミスマッチを防ぐため、自社のサービスに適合する顧客を厳密に見極め、営業段階で期待値を正確にすり合わせる難しさがあります。
継続的な更新による「情報の複雑化」
クラウドサービスであるSaaSは、高い頻度で機能追加や仕様変更が行われます。営業担当者は自社サービスの最新情報を常に収集し、他社ツールとの連携状況なども把握しておく必要があります。情報の更新が激しいため、営業トークの標準化が難しく、属人的なスキルに依存しやすい点も新規開拓を難しくする要因です。
SaaS新規開拓における「よくある課題」

SaaSの新規開拓を進める中で、企業はどの状況でつまずきやすいのでしょうか。リード(見込み顧客)獲得からクロージングに至るまで、各段階で発生しやすい具体的な課題を整理します。自社が現在抱えている障壁を正確に把握することが、効果的な改善策を打つ第一歩となります。
【認知・顧客獲得】知名度・実績が不足している
立ち上げ期や新規参入時、最大の壁となるのが知名度と実績の不足です。SaaSは信頼性が重視されるため、導入事例や業界内での実績がない状態では顧客に警戒されやすく、問い合わせや資料請求といった最初の接点を作ることすら困難になります。
【売り込み】営業リストの精度が低く、商談が取れない
闇雲に企業へ商材を売り込んでもSaaSの商談は獲得できません。自社サービスが解決できる課題を持つ企業を絞り込めておらず、営業リストの精度が低いと、架電やメールの労力が無駄になります。需要の不一致により、門前払いとなる事態が多発します。
【工数】営業人員やノウハウが圧倒的に足りない
社内に最新のSaaS営業に精通した人材が不足している企業は少なくありません。人員不足により既存顧客のフォローに追われ、新規開拓に十分な工数を割けない悪循環に陥りがちです。また、効果的な営業手法が社内に蓄積されないことも深刻な課題です。
【クロージング】商談化しても「導入」に至らない
商談化できても、単なる機能説明に終始してしまうと成約には至りません。顧客の経営課題に深く入り込み、具体的な費用対効果を示す「提案型営業」ができなければ、決裁者を納得させられず、最終的に導入を見送られてしまうという壁に直面します。
課題を打ち破る!SaaS新規開拓の解決策と手法

SaaSの新規開拓で直面する認知不足や工数不足といった課題を克服するためには、ターゲット顧客の購買行動に合わせた多角的な営業が大切です。限られた人手や時間の中で効率的に見込み顧客を獲得し、商談につなげるためには、問い合わせを待つ営業(インバウンド)と積極的に提案していく営業(アウトバウンド)をバランスよく組み合わせることが求められます。ここでは、SaaS企業が優先して取り組むべき新規開拓の解決策と実践手法を解説します。自社の課題や予算に最適な施策を選択し、営業活動を最適化していきましょう。
コンテンツSEOとWeb広告による待ちの顧客獲得
今導入を検討していない潜在層への認知を獲得し、継続的なリード(見込み顧客)流入の基盤を作るにはコンテンツSEOが有効です。顧客が抱える課題や検索意図に応える専門的な記事を発信し、自社の信頼性を高めます。同時に、即効性を求める場合はリスティング広告やBtoB向けSNS広告を並行運用し、解決策を探している課題や浮き彫りになっている顕在層へ直接提案することが重要です。
資料・ウェビナーを活用した顧客育成
獲得した顧客の関心を引き上げ、商談へ繋げるためには顧客育成が必要です。業界ノウハウをまとめたホワイトペーパー(お役立ち資料)を提供し、顧客の課題解決を支援します。さらに、ウェビナー(オンラインセミナー)を開催して自社ツールの活用事例や導入メリットを解説することで、製品理解を深めつつ心理的ハードルを下げることが可能です。
フォーム営業・架電・FAXの最適化
攻めの手法として、問い合わせフォームや架電(テレアポ)、FAXも依然として有効です。ただし、一律の定型文を大量に送るのではなく、ターゲット企業の業界課題に合わせた個別の提案文を作成し、各企業に沿った提案内容にすることが重要です。事業やサービスを適切に事前に調査し、決裁者との接点創出の確率が大幅に向上します。トークスクリプトや文章例などのサンプルやテンプレートを活用することで効率よく取り掛かる事ができます。
「機能売り」から「提案型営業」への切り替えが重要

SaaS営業において、競合他社との差別化を図り、価格競争による単価の下落を防ぐためには、単なる機能やスペックの説明に終始する「機能売り」から脱却しなければなりません。特に、顧客の業務フローに深く関わるSaaSの場合、単なるツールを提供するベンダーではなく、事業成長を支援する経営に関わる仲間としての立ち位置を確立することが重要です。ここでは、高単価な契約や上位顧客の開拓に直結する「提案型営業」への切り替えについて解説します。
顧客の経営課題に踏み込む提案型営業の重要性
SaaS導入を推進するには、顧客自身も気づいていない潜在的な課題を可視化し、解決策として自社サービスを提示する提案型営業が大切です。単純な機能比較から抜け出し、コスト削減や業務効率化の先にある「利益率の向上」など、経営層が重視する指標に直結する価値を提案することで、決裁者からの強い信頼を獲得できます。
大手企業の開拓を成功させるABM戦略
LTV(顧客生涯価値)の高い大手企業層を開拓するには、ターゲット企業を個別に攻略するABM(アカウントベースドマーケティング)戦略が極めて有効です。企業の組織図や決裁フローを分析し、決裁者の抱える課題に対してVA(価値分析)やVE(価値工学)の視点を取り入れた高度な提案を行うことで、全社導入といった大規模商談を戦略的に創出します。
人手不足を解消する「営業代行」の戦略的活用

社内の営業工数や人手が枯渇しているSaaS企業にとって、外部の専門的な知見と実行力を借りる「営業代行」の活用は、事業成長を拡大させるための有効な選択肢です。これを単なる人手不足の解消手段としてではなく、高度なBtoB営業のノウハウを最速で自社に実装する戦略的な投資として捉える必要があります。新規開拓の立ち上げ期から一気に市場拡大を取りに行く拡販時期まで、状況に合わせて代行会社を適切に組み込むことで、自社の職員は成約に直結する主業務に集中できます。
SaaS営業における営業代行活用のメリットと費用対効果
最大のメリットは、採用や育成の期間をかけずに即戦力となるプロの営業手法を導入できる点です。固定費を変動費化しつつ、ターゲット層への営業を一気に最大化できます。初期投資は発生しますが、質の高い見込み顧客の獲得から商談へと繋がり成約率が向上することで、中長期的な投資利益率は大きく改善します。
自社に適した営業代行会社の選び方と連携のポイント
委託先を選ぶ際は、無形商材やSaaS特有のビジネスモデルへの理解度と、自社商材と同様の開拓実績があるかを必ず確認してください。また、業務を任せっきりにするのではなく、現場で得られた顧客の生の声を自社のプロダクト改善やマーケティング施策に共有する定期的な連携フローを構築することが成功の鍵となります。サイトに記載されている事例だけでなく、直近で獲得した実績やターゲット企業の商習慣を理解している事も、成功に繋がります。
まとめ:自社の課題に合わせたSaaS新規開拓戦略を
SaaSの新規開拓は、無形商材特有の価値の伝わりにくさやLTV重視のビジネスモデルから、従来の売り切り型とは異なる提案が求められます。知名度不足や工数不足といった課題ごとの壁を乗り越えるためには、単なる機能のアピールから脱却し、顧客の経営課題や利益構造に深く入り込む「提案型営業」への切り替えが不可欠です。
また、見込み顧客獲得から商談創出までの全工程を、無理に自社の力だけで完結させる必要はありません。とくに人手が限られている状況下においては、高度な営業ノウハウを持つ営業代行などの外部の専門家を戦略的に活用することが、事業成長を最速で拡大させる鍵となります。自社の現在地と課題を正確に見極め、ターゲット層に最適な営業の仕組みを構築して、継続的な売上拡大に向けた第一歩を踏み出しましょう。
米澤 俊一(よねざわ しゅんいち)
株式会社セールスマーケティングファーム代表
1979年横浜市出身。日本体育大学卒業。
IT企業で4年間Web運営に携わった後2008年に独立。
その後、福井県のベビーリーフ農家へ転身し、独自の営業手法を駆使してわずか2ヶ月でスーパー150店舗、レストラン400店舗との新規取引を開拓。ビニールハウス2棟から33棟への急拡大を牽引。OTAや農業ベンチャーの役員を経て、現在は営業職不在の中小企業を支援する営業代行会社の代表取締役。