
「従来のテレアポや飛び込み営業では新規案件が獲得できない」「既存顧客からの受注だけでは利益率が上がらない」とお悩みのSIer(システムインテグレーター)の営業担当者や経営層の方も多いのではないでしょうか。多重下請け構造や価格競争の激化により、SIerを取り巻く環境は年々厳しさを増しています。特定の優秀な担当者に依存する「属人化」から脱却し、組織的な営業体制へ移行することが急務です。
本記事では、利益率の高い「直請け・提案型営業」へ切り替えるための実践手順や、インサイドセールスによる新規開拓の仕組み化について解説します。競合と差別化を図り、持続的な売上拡大を実現する次世代の営業体制を構築しましょう。
SIerの新規開拓が年々難しくなっている背景と課題

従来の飛び込みやテレアポ営業が通用しない理由
テレワークの普及や企業のセキュリティ強化により、担当者に直接繋がる確率は激減しています。また、決裁者は自らインターネットで情報収集を行い、比較検討を進めるため、相手のタイミングを無視したテレアポや飛び込み営業は敬遠されがちです。顧客が能動的に情報を探す現代において、一方的な売り込み型の手法は費用対効果が合わなくなっています。
既存顧客への依存と多重下請け構造による利益率の低下
既存顧客からの継続受注は安定をもたらす反面、大幅な予算拡大は見込みにくく、売上の成長には限界があります。さらに、IT業界特有の多重下請け構造の中で二次請け・三次請けに甘んじていると、利益率は低迷したままです。自社の収益基盤を強化するためには、下請け案件の紹介を待つのではなく、直請け案件を自ら獲得しに行く必要があります。
一部の優秀な担当者に依存する「営業の属人化」のリスク
経験豊富な一部のトップセールス(優秀な営業マン)に新規開拓を依存している組織は、深刻なリスクを抱えています。個人の勘や人脈に頼った営業手法は他社員へのノウハウ共有が難しく、若手が育ちません。また、該当担当者が退職・異動した途端に案件の供給がストップする恐れもあります。組織全体の営業力を底上げするためには、属人化を排除した仕組み化が必要です。
利益率を高める「直請け・提案型営業」への切り替え

御用聞き営業から脱却し、ビジネス課題を解決する提案へ
顧客からの要望通りに動く「御用聞き」では、単価や納期の競争に巻き込まれます。直請け案件を獲得するには、顧客が気づいていない潜在的な事業課題を深掘りし、解決策を提示する「提案型営業」への切り替えが重要になります。単なるシステム導入を目的とするのではなく、顧客の売上拡大や業務効率化といった、経営層が抱える本質的な課題を見据えた提案が求められます。
価格競争を回避する「自社の強み」の再定義
価格競争を避けるには、自社の提供価値(VA/VEなどの価値工学の視点)を再定義し、強みを打ち出す必要があります。例えば、製造業や電気通信工事業など、特定の業界に特化した深い業務知識や開発実績を棚卸ししましょう。「自社にしか提供できない解決策」を明確にできれば、単なるコストではなく「価値」で選ばれるSIerとなり、高利益率な直請け案件の獲得に繋がります。
営業とエンジニアが連携する体制構築の重要性とメリット
提案型営業を成功させるには、営業とエンジニアの強固な連携が成果に関係します。営業がヒアリングした経営課題に対し、エンジニアが技術的視点から実現可能性や最適なシステム構成を助言することで、提案の説得力は飛躍的に向上します。両者が初期段階から商談に同席し、専門知識を掛け合わせることで顧客の厚い信頼を獲得でき、結果として大型のプライム案件(元請け)受注へと直結します。
提案型営業を成功させるターゲット選定とリスト作成

優良な直請け案件を獲得するターゲット企業の絞り込み方
直請け案件を狙う場合、単なる企業規模や業種だけでなく「自社の強みが活きるか」を基準にターゲットを絞り込みます。過去の成功事例と類似するビジネスモデルを持つ企業や、DX推進に課題を抱えつつも内製化が進んでいない中堅企業などは狙い目です。明確な選定基準を設けることで、成約率の低い顧客への無駄な営業を削減し、営業効率を劇的に向上させることが可能です。
顧客の潜在課題を仮説立てする情報収集の手法
営業前の情報収集と仮説構築が、提案型営業の成否を分けます。ターゲット企業の公式サイト、IR情報、中期経営計画などを確認し、「どのような経営課題に直面しているか」を推測します。「売上拡大を目指しているなら、顧客管理の非効率さが足かせではないか」といった詳細な仮説を事前に立てることで、単なる挨拶で終わらない、初回の接点から質の高い提案やヒアリングが可能になります。
効率的なリスト作成を支えるマーケティングツールの活用
手作業でのリスト作成は膨大な時間を要するため、マーケティングツールの活用も大切です。企業データベースやMA(マーケティングオートメーション)ツールを導入すれば、条件に合致するターゲットリストを効率的に抽出できます。また、自社サイトの閲覧履歴やホワイトペーパー(お役立ち資料)のダウンロードといった行動履歴を追跡することで、顧客の課題が顕在化した最適なタイミングを逃さずに売り込む事ができる仕組みが整います。以下は営業ツールについて詳細に記載されていますので、合わせてお読みください。
属人化を防ぎ、新規開拓を仕組み化するインサイドセールスの導入

SIerの営業工程にインサイドセールスが必要とされる理由
従来のSIer営業は、見込み顧客(リード)獲得から商談、受注までを一人が担うため属人化しがちでした。インサイドセールス(内勤営業)を導入し、初回連絡や顧客育成を分業化することで、営業担当者はメイン業務である提案や商談に専念できます。これにより、個人の能力に依存しない安定した見込み顧客供給の仕組みが構築され、組織全体の営業生産性が大幅に向上します。以下はインサイドセールスについて詳細にまとめていますので、合わせてお読みください。
アウトバウンド型とインバウンド型の効果的な使い分け
インサイドセールス(内勤営業)には2つの型があります。ターゲット企業へ能動的に電話やメールで声掛けする「アウトバウンド型」は、特定の直請け企業を狙い撃ちする際に有効です。一方、Webからの問い合わせに対応する「インバウンド型」は、すでに課題を持つ顧客との関係構築に適しています。自社の課題と戦略に合わせて両者を組み合わせることが成功に繋がります。
マーケティング部門との連携による質の高い顧客獲得
インサイドセールス(内勤営業)単独ではなく、マーケティング部門と連携することで見込み顧客(リード)の質は飛躍的に向上します。例えば、マーケティングが開催したウェビナーの参加者に対し、インサイドセールスが迅速に定期連絡を行う体制が効果的です。顧客の関心度や行動履歴をCRMで共有し、最適なタイミングで声をかければ、商談化率の高い商談を獲得できます。
提案型営業の実践手順:初回連絡から受注まで

顧客の関心を惹きつけ、商談獲得率を上げるコツ
決裁者の関心を惹きつけるには、自社商材の売り込みではなく、顧客の業界トレンドや競合動向を交えた仮説ベースの提案が有効です。「〇〇の課題解決に役立つ事例があります」と明確な利点を提示し、まずは情報提供の姿勢を取ることで警戒心を解き、商談獲得率を大幅に高めることができます。
初回商談における的確なヒアリングと課題の引き出し方
初回商談では自社紹介を最小限に留め、顧客の現状と理想のギャップ(課題)をヒアリングすることに注力します。BANT条件(予算・決裁権・必要性・導入時期)の確認に加え、システム導入の先にある「今後の事業目標」を深掘りすることで、単なる開発提供者ではなく、伴走する提携先としての信頼を獲得できます。
競合と差をつける具体的な解決策の提案方法
提案段階では、ヒアリングした課題に対してVA(価値分析)やVE(価値工学)の視点を組み込み、費用対効果を論理的に示します。単なる機能の説明ではなく、「自社の提案によっていかに業務コストを削減し、利益を最大化できるか」を具体的な数値を用いてプレゼンすることで、価格競争を脱却し高単価での受注へと繋げます。
自社に最適な営業体制の選び方:内製化か外注か

インサイドセールス・新規開拓を自社で内製化するメリットと壁
新規開拓を内製化する最大のメリットは、顧客のリアルな反応や営業ノウハウが自社に蓄積される点です。長期的な組織力強化に繋がりますが、一方で導入初期の教育コストや、システム構築の負担が壁となります。特に人手が限られる中小システムインテグレーターの場合、専任担当者を配置できず、既存の営業活動と兼務になり、結局運用が立ち行かなくなる事態が多発するため、慎重な人員計画が求められます。
人手不足を解消し、即戦力を確保する「営業代行」の活用基準
社内に人手や工数が不足している場合、営業代行の活用が有効な選択肢です。自社に営業ノウハウがない状態でも、IT業界に精通したプロの即戦力を活用し、短期間で見込み顧客の獲得や商談創出を実現できます。新サービスのテストマーケティングを迅速に行いたい場合や、初回連絡から初期商談までを切り出して本来の業務に集中したい場合において、営業代行の活用は強力な武器となります。
SIerが外注先選びで失敗しないための評価・選定ポイント
営業代行会社を選ぶ際は、単なる「商談獲得数」や「コスト」だけで判断してはいけません。必ず「SIer・IT業界における直請け案件の獲得実績」や「提案型営業のスキル」を持つかを評価してください。また、営業時のトークスクリプトや録音データを透明性高く共有してくれる業者を選ぶことが重要です。これにより、外注しながらも自社に営業ノウハウを還元させることが可能になります。
代行会社を選ぶ際、中小企業向けに提案したいと考えている場合は私たちのFAX営業代行が有効です。今でも業務にFAXを活用する「製造業」「建設業」はWeb媒体よりも高い視認性を得ることができます。本記事で紹介したターゲットの絞り込みの重要性や自社の強みが活かせる業界を明確に絞り込んで成果を出した事例動画や、自社に適したターゲット企業をまとめた営業先リストのサンプルは以下になります。
まとめ:SIerの新規開拓は「仕組み化」と「提案力」で成功する
新規開拓を成功させるには、勘に頼らないデータ主導の運用が必須です。見込み顧客獲得数、商談化率、受注率といった各工程の目標を明確に設定し、定期的に振り返りましょう。失注理由や成功パターンをCRMで分析・共有することで、組織全体の営業工程が改善され、持続的な売上拡大を実現する強固な基盤が完成します。
まずは現状の営業工程を整理し、課題を可視化することから始めましょう。「リストが枯渇している」「初回商談から案件化しない」など、障壁を特定することが重要です。課題に合わせてインサイドセールス(内勤営業)の導入や営業代行の活用を検討し、自社に最適な脱・属人化と提案型営業への切り替えを段階的に進めていきましょう。
米澤 俊一(よねざわ しゅんいち)
株式会社セールスマーケティングファーム代表
1979年横浜市出身。日本体育大学卒業。
IT企業で4年間Web運営に携わった後2008年に独立。
その後、福井県のベビーリーフ農家へ転身し、独自の営業手法を駆使してわずか2ヶ月でスーパー150店舗、レストラン400店舗との新規取引を開拓。ビニールハウス2棟から33棟への急拡大を牽引。OTAや農業ベンチャーの役員を経て、現在は営業職不在の中小企業を支援する営業代行会社の代表取締役。