
一度は自社を利用したものの、現在は足が遠のいている休眠顧客。再度接点を作り成約につなげたいと考えるご担当者様は多いのではないでしょうか。休眠顧客の掘り起こしは新規開拓よりも低コストで成約率が高く、メールを送ることも大切ですが、もう一つの手段として「郵送DM」が注目されています。
本記事では、反響率を高めるDMの例文を中心に、実務で使える文章作成に関するポイントや送付のコツを解説致します。最後まで読むことで、売り込み感を抑えつつ顧客の心に響く文面を作成でき、休眠顧客を優良なリピーターへ育てるノウハウが身につきます。
休眠顧客とは?声掛けにDMを活用すべき理由

休眠顧客の定義と離脱してしまう主な原因
休眠顧客とは、過去に取引があったものの、現在(一般的に半年から1年以上)は利用や購買が途絶えている顧客を指します。顧客が離脱してしまう原因は、商品やサービスへの不満だけではありません。「単純に存在を忘れている」「一時的に必要がなくなった」「担当者の変更や異動があった」といった理由が大半を占めます。そのため、適切なタイミングで再び接点を持つことで、再び取引を開始してくれる可能性は十分にあります。休眠顧客の定義や詳細については以下の記事で詳しく解説していますので、合わせてお読みください。
新規開拓よりも低コストで成約率が高い理由
新規顧客を獲得するには、既存顧客の維持や再開にかかるコストの5倍を要すると言われています(1:5の法則)。休眠顧客はすでに自社の商品やサービスを認知しており、一度は価値を感じて契約や購入に至った実績を持っています。ゼロから自社を認知させ、信頼関係を構築する必要がある新規開拓と比較して心理的なハードルが低く、的確な営業を行えば低コストで高い成約率が期待できるのが大きな強みです。
メールではなくあえて「郵送のDM」を送るメリット
BtoBの現場では、日々膨大な数の営業メールが届くため、休眠顧客にメールを送っても他の業務連絡に埋もれてしまいがちです。一方で、はがきや封書などの「郵送DM」は物理的な実体として手元に残るため視認性が高く、担当者に直接届きやすいメリットがあります。特に製造業や物流関連の企業などでは、紙媒体の方が社内で回覧されやすく、決裁者の目に留まる確率を飛躍的に高めることができます。
メリットは多く存在しますが、新規開拓にかかる費用と比べればコストは低いものの、メールでの掘り起こしに比べると費用面では劣る部分もございます。以下の記事ではメールを活用して休眠顧客へ連絡を取る際のコツなどをまとめていますので、参考にご活用ください。
休眠顧客向けDMの反響率を高める文章作成のポイント

唐突感を与えない「送付の理由」を明記する
休眠顧客は自社のことを忘れているか、関心が薄れている状態です。そのため、突然DMが届くと警戒される恐れがあります。「なぜ今、あなたにこの手紙を送ったのか」という送付の理由を冒頭で明記することが重要です。「担当者変更の連絡について」「以前〇〇をご購入いただいた方への特別なご案内」など、送付に至った自然な口実を添えることで、唐突感を払拭し、スムーズに本文へ誘導できます。
売り込み感を抑え、顧客への気遣いを優先する
久しぶりの接触でいきなり新商品やキャンペーンを強く売り込むと、かえって顧客の心が離れてしまいます。まずは「その後、〇〇の使い心地はいかがでしょうか」「ご無沙汰しておりますが、いかがお過ごしでしょうか」といった、顧客を気遣う挨拶から入りましょう。過去のご利用に対する感謝の気持ちを丁寧に伝えることで、不快感を与えずに「自社を思い出してもらう」という第一目標を達成しやすくなります。
ターゲットの現状の悩みに寄り添うメッセージを添える
顧客が再び購入や利用を検討するのは、何らかの課題や悩みが生じたときです。過去の購入履歴や属性データを分析し、「〇〇の交換時期ではありませんか?」「決算期に向けて業務効率化はお済みでしょうか?」など、現在の状況に寄り添った問いかけを添えましょう。自社がその悩みを解決できる存在であることを控えめにアピールすることで、休眠顧客の潜在的な課題を掘り起こすことができます。
行動を促す魅力的なオファー(特典)と期限を設ける
挨拶や気遣いだけで終わらせず、再来店や問い合わせなど具体的な行動につなげるための後押しが必要です。「本DMご持参で〇%オフ」「無料の個別相談会へご招待」といった、顧客にとってメリットの大きいオファー(特典)を用意しましょう。さらに「〇月〇日まで有効」「先着〇名様限定」のように明確な期限や制限を設けることで、「今すぐ行動しなければ損をする」という心理が働き、開封後の反響率が大きく向上します。
実際このオファー設計は休眠顧客に限らず、新規顧客の開拓でも有効です。その理由として私たちの行っているFAX営業代行を活用したお客様の事例がまさしく当てはまります。
既存の販路からの受注がコロナ禍に途絶えてしまった食品メーカーが、取引経験のないパン屋との取引獲得を目標にした時、「サンプルの提供ができる」という強みをオファーとして取り入れ、FAX紙面に反映した所、120件の問い合わせを獲得し50店舗との契約を獲得しております。顧客側が行動する理由を提示することでより見込み度合いの高い顧客へと育てる事が可能になりますので、是非積極的にオファーを設置しましょう。
紹介した事例を解説している動画もございますので、参考にご活用ください。
【BtoB向け】休眠顧客との関係を再構築するDM例文
新製品・新サービスの案内を兼ねた例文
過去に利用していた製品やサービスとの違いを明確にし、導入するメリットを感じさせる構成にします。
【例文】
拝啓
貴社におかれましては益々ご清栄のこととお慶び申し上げます。平素は格別のご高配を賜り、厚く御礼申し上げます。
さて、本日は弊社より新たにリリースいたしました「〇〇(新製品名)」につきまして、いち早く貴社にご案内したくご連絡いたしました。
以前ご利用いただいておりました「△△」よりもさらに〇〇の面で機能が向上しており、貴社の業務効率化に大きく貢献できる仕様となっております。
同封のパンフレットに詳細な導入事例を記載しておりますので、ぜひご一読いただけますと幸いです。ご不明な点などがございましたら、担当の〇〇までお気軽にお申し付けください。
敬具
担当者変更や決算期に合わせたご挨拶の例文
担当者の変更や決算期といった節目のタイミングは、不自然さを感じさせずに連絡を取る絶好の口実となります。
【例文】
拝啓
貴社におかれましては益々ご清栄のこととお慶び申し上げます。平素は格別のお引き立てを賜り、誠にありがとうございます。
この度、貴社の担当を新たに〇〇(氏名)が務めさせていただくこととなりました。前任の△△同様、貴社の事業発展に尽力して参る所存です。
つきましては、ご挨拶を兼ねて近日中に一度お電話を差し上げたく存じます。また、決算期に向けたコスト削減のお手伝いができる特別プランの資料も同封いたしましたので、併せてご確認いただけますと幸いです。
まずは略儀ながら、書中をもちましてご挨拶申し上げます。
敬具
BtoB特有の「課題解決」を提示する理由と必要性
BtoBの休眠顧客は、感情よりも「自社の課題をどう解決できるか(費用対効果など)」という論理的なメリットで動きます。そのため、「〇〇のコストを△%削減できる」といった具体的な数値や、同業他社の成功事例をDMに盛り込むことが効果的です。単なる近況伺いではなく、有益な情報提供者としての立ち位置を築きましょう。
休眠顧客へDMを送る際に意識すべき送付のコツとタイミング

例文を整えても、顧客に開封されなければDMの意味はありません。休眠顧客の掘り起こしを成功させるには、相手に届く形状選びや、不自然さを感じさせない送付のタイミング、そして顧客リストの分類分けといった送付のコツを押さえることが重要です。ここでは、開封率や反響率を底上げするコツについて解説します。
開封率を左右するDMの形状(はがき・圧着・封書)の選び方
休眠顧客へのDMは、目的によって形状を変えるのが基本です。低コストで手軽に送りたい場合は「通常はがき」、より多くの情報を載せつつ開封率を高めたい場合は「圧着はがき」が適しています。一方、カタログや重要なお知らせを同封する場合は「封書」を選びましょう。特にBtoBでは透明なOPP封筒を使用すると、開封せずとも中身の重要性が伝わり、決裁者の目に留まりやすくなります。
新サービスの紹介やイベントに沿った自然な送付タイミング
久々のDMでも顧客が受け入れやすいのは、DMが届くこと自体が「自然な理由」であるタイミングです。代表的なものとして、年末年始の挨拶、お中元・お歳暮の時期が挙げられます。また、自社の店舗リニューアル、新サービス開始、周年記念キャンペーンなども、休眠顧客へ連絡する正当な理由となります。これらのイベントと特典を掛け合わせることで、再度接点をつくることへの心理的なハードルを大きく下げることが可能です。
顧客の休眠期間に応じた分類分けと内容の調整
すべての休眠顧客に同じDMを送るのではなく、最終利用からの期間(休眠期間)に応じた分類分けが重要です。例えば、離脱から半年未満の顧客には「ご状況はいかがですか」という軽い気遣いと利用促進のオファーを提示します。一方、1年以上離れている顧客には、「ご無沙汰しております」と丁寧な挨拶を添えた上で、当時からのサービスの進化や大幅な割引特典を提示するなど、提案内容の強弱をつけるのが効果的です。
DM送付後の効果測定と状況確認の施策
反響率を正確に測るための効果測定の手法
DMの効果を可視化するには、事前に行動をトラッキング(追跡)する仕組みの構築が必須です。具体的には、DM専用のQRコードや特設ページのURLを記載する、あるいは独自の問い合わせ番号やクーポンコードを付与するなどの手法があります。これにより「どの層の顧客がDMを確認し行動を起こしたか」を正確に把握でき、次回以降のターゲット選定の精度向上や、より確度の高い顧客リストの構築に活かすことができます。
DM送付後の電話・メールによる状況確認
DM到着の数日後に電話等で状況確認を行うと、成約率は飛躍的に高まります。「ご案内は届きましたか?」という確認から入り、顧客の現在の課題を引き出して解決策を提示する提案型営業へと繋げるのが理想です。架電のための人手や社員の工数が不足している場合は、営業代行を活用するなども一つの有効な手段となります。しつこい追客は避け、あくまで有益な情報提供者としての姿勢を貫きましょう。
まとめ:休眠顧客の掘り起こしは継続的な声掛けが重要
休眠顧客の掘り起こしは、新規開拓に比べて低コストかつ高い成約率が期待できる重要な営業の施策です。特に郵送DMは、手元に残りやすくBtoB・BtoC問わず視認性が高いため、再検討を促すのに最適なツールと言えます。
DMを作成する際は、唐突感を与えない自然な送付理由を明記し、売り込み感を抑えて顧客の悩みに寄り添う姿勢を示すことが反響率を高めます。また、最終利用からの休眠期間に応じた分類分けや、オファーの期限設定、送付後の効果測定・状況確認を組み合わせることで、より確実な成果に結びつきます。
一度の送付で反応がなくても諦めず、顧客の状況変化を見据えて適切なタイミングで継続的に接点を作り、休眠顧客を再び優良なリピーターへと育てていきましょう。
米澤 俊一(よねざわ しゅんいち)
株式会社セールスマーケティングファーム代表
1979年横浜市出身。日本体育大学卒業。
IT企業で4年間Web運営に携わった後2008年に独立。
その後、福井県のベビーリーフ農家へ転身し、独自の営業手法を駆使してわずか2ヶ月でスーパー150店舗、レストラン400店舗との新規取引を開拓。ビニールハウス2棟から33棟への急拡大を牽引。OTAや農業ベンチャーの役員を経て、現在は営業職不在の中小企業を支援する営業代行会社の代表取締役。