「コンテンツマーケティングの大切さはわかってるけど無計画に進めて失敗したくない」と思う方はいるのではないでしょうか。コンテンツマーケティングは長期的な集客に有効ですが、なんとなく作り続けているだけで、全体像を把握しないまま場当たり的な運用を続けても、望むような成果は得られません。
本記事では、コンテンツマーケティングを構成する全体像と、設計から実行に至る手順を「実際に失敗した1人」として事例も合わせて解説します。
全体のマップとなる構造と正しいコンパスになる手順を把握することで、途中で迷うことなく、より早くに売上や問い合わせ増加につながる施策を実行できるようになります。
コンテンツマーケティングの「全体像」を構成する2つの工程
コンテンツマーケティングの全体像は、大きく分けると「設計・計画」と「実行・改善」の2つに分類されます。いきなり記事を書き始めるのではなく、まずはこの2つの大きな枠組みを理解することが重要です。それぞれの工程がどのような役割を持っているのか、具体的に解説します。
戦略の「設計・計画」
設計・計画の工程は、コンテンツマーケティングの土台を作る最も重要な役割です。「誰に」「何を」「どうやって」届けるのかを定義し、目的を明確にします。顧客とする人物像の設定や購入に至るまでの経路となるカスタマージャーニーの作成などを通じてターゲットの要望を深く理解し、最適な配信媒体や記事や資料などの「コンテンツ形式」を決定します。ここでの精度の高さが、後の成果を大きく左右します。
施策の「実行・改善」
設計・計画に基づき、実際に記事や資料などのコンテンツを制作して悩みや課題を抱えている方に届けるのが実行・改善の工程です。記事や動画を作成し、SEOやSNSを活用して顧客へ適切に届けます。さらに、配信後は効果測定を行い、データに基づいた継続的な改善を繰り返す(PDCAサイクルを回す)ことで、コンテンツの集客力が高まり、最終的な成約へと繋がっていきます。
実践の前にコンテンツマーケティングの「全体像」を把握すべき理由
施策を始める前に、なぜコンテンツマーケティングの全体像を把握しておく必要があるのでしょうか。それは、全体像が見えていないと「ただ記事を作るだけ」という手段の目的化に陥りやすいからです。全体を俯瞰することで得られる大きなメリットについて解説します。
目的のブレを防ぎ、正しい指標(KPI)を追うため
全体像を把握することで、最終的な目的(KGI)とそこに至るまでの中間目標(KPI)が明確になります。例えば「認知拡大」が目的ならアクセス数やSNSのシェア数を、「見込み顧客獲得(リード獲得)」が目的なら資料請求数を追うべきです。全体像が定まっていれば、施策の途中で目的を見失うことなく、適切な指標に基づいて記事や資料の良し悪しを正確に評価・改善できるようになります。
チーム全体で施策の現在地と役割を共有するため
コンテンツマーケティングは、ディレクター、ライター、デザイナーなど複数の部署や人員で進行することが多いです。全体像を可視化しておくことで、「今、誰が、どの段階の作業をしているのか」という施策の現在地をチーム全体で共有できます。各メンバーが自分の役割と事業全体における意義を理解できるため、業務の属人化を防ぎ、スムーズな連携が可能になります。
失敗した私の原因:目的や方針が定まっておらず彷徨う
先ほど紹介した「目的を定める事」「可視化出来る状況を作っていなかった事」ができておらず、資産と思って作っていたものがすべてガラクタと判定された事が実際にあります。その頃の目的はより悩みを解決することでは無く、自分たちの存在をとにかく知ってもらいたくて「伝えたい事」を基準に記事を作成し、なんか上手く言った「気がする」だけを頼りに、自己流を貫いた結果彷徨っていました。とりあえず知ってほしいし使ってほしい!では無く、「誰に届けたいのか」「どうしたら知ってもらえるか」を決める事は本当に本当に大切な事だと、記事を書いている際に再認識しました。
【設計・計画編】コンテンツマーケティングの実践手順
全体像を構成する最初の工程「設計・計画」における具体的な手順を解説します。事前の戦略設計がコンテンツマーケティングの成否を分けるため、以下の4ステップを確実に行いましょう。
手順1:目的(KGI・KPI)の明確化
まずはコンテンツマーケティングを行う最終的な目的(KGI)を決定します。「売上向上」「リード獲得」「認知度アップ」など、自社の課題に合わせて設定してください。その後、KGIを達成するための中間目標(KPI)として、PV数やセッション数、資料のダウンロード数などを具体的な数値として定めます。
手順2:顧客像(ペルソナ)の設計
目的が決まったら、コンテンツを届ける顧客の人物像(ペルソナ)を設計します。年齢、性別、職業といった属性情報だけでなく、その人が抱えている悩みや情報収集の方法、価値観まで具体的に言語化します。実在する人物のように詳細に設定することで、ユーザーの心に刺さるコンテンツの軸が定まり、チーム内での認識のズレも防げます。
手順3:カスタマージャーニーマップの作成
ペルソナが自社の商材を知り、購買や問い合わせに至るまでの行動や心理の変化を可視化した「カスタマージャーニーマップ」を作成します。「認知」「興味関心」「比較検討」「購買」の各段階において、どんな情報を求めているかを整理することで、どのタイミングでどのようなコンテンツを提供すべきかが明確になります。
手順4:配信媒体とコンテンツ形式の選定
カスタマージャーニーに基づき、ターゲットに情報を届ける最適な手段を選定します。情報収集の段階ならSEOを意識したブログ記事、認知拡大ならSNSや動画、比較検討段階ならメルマガや導入事例といったように、ユーザーの心理状態に合わせて配信媒体とコンテンツ形式を組み合わせます。自社の運用工数も考慮して決定しましょう。
【実行・改善編】コンテンツマーケティングの実践手順
戦略の設計が完了したら、いよいよ施策の実行に移ります。ここからは、継続的な運用と改善が求められる「実行・改善」における3つの手順を具体的に解説します。
手順5:制作体制の構築とコンテンツ制作
社内で作るか、外部のプロに委託するかを含め、安定してコンテンツを生み出せる制作体制を構築します。体制が整ったら、カスタマージャーニーに沿って実際の記事や資料を制作します。なお、具体的な記事の書き方や外注先を選ぶ際のポイントについては、別記事で詳しく解説しているため、そちらも併せて参考にしてください。
手順6:ターゲットへの配信と情報の拡散
制作したコンテンツは、公開して終わりではありません。検索エンジン経由の自然流入(SEO)を狙うだけでなく、公式SNSでのシェアや、プレスリリース、メルマガでの告知など、様々な媒体を用いてターゲットへ積極的に届けましょう。適切なタイミングで情報を拡散することで、コンテンツへの接触機会をより増やす事ができます。
手順7:効果測定とPDCAサイクルの実行
配信後は、事前に設定した中間目標に沿って効果測定を行います。アクセス数やコンバージョン率などのデータを分析し、想定通りに機能しているか検証します。課題が見つかれば改善策を立案し、次のコンテンツ制作に活かすPDCAサイクルを回し続けましょう。なお、効果測定に役立つ分析ツールの詳細については別記事をご参照ください。
コンテンツマーケティングの手順をスムーズに進めるためのコツ
全体像と手順を理解しても、実務では人手不足や成果が出るまでの期間に悩むことが少なくありません。運用を軌道に乗せるための3つのコツを紹介します。
過去の資料やデータなど既存の資産を棚卸しして活用する
ゼロからコンテンツを作るのは多大な労力がかかります。まずは自社にある営業資料、顧客向けのQ&A、過去のセミナー動画などを棚卸ししましょう。これらをブログ記事やお役立ち資料として再編集することで、制作コストを抑えつつ、質の高いコンテンツを迅速に展開することが可能になります。
最初は完璧を求めず、スモールスタートで始める
最初からすべての手順を完璧にこなそうとすると、公開までに時間がかかりすぎて挫折の原因になります。まずは特定のターゲットや課題に絞り、少数のコンテンツから配信を始めましょう。実際のユーザーの反応を見ながら徐々に規模を拡大していくことで、リスクを抑えつつ現場に即した運用知識を蓄積できます。
各手順における弊害を早期に特定する
施策が停滞している場合は、どの手順で問題が起きているかを特定してください。「制作が追いつかない」のか「流入はあるがCVしない」のか、壁となる部分を明確にすることで、体制の見直しや導線改善といった適切な打ち手が打てるようになります。全体像を把握していれば、こうした原因特定もスムーズに行えます。
まとめ:全体像と手順を把握してコンテンツマーケティングを成功させよう
コンテンツマーケティングで確実に成果を出すためには、手法の細部にこだわる前に「全体像」を捉え、正しい「手順」で進めることが大切です。
- 全体像の把握: 「設計・計画」と「実行・改善」の役割を理解する
- 戦略設計: 目的、ペルソナ、カスタマージャーニーを固め、土台を作る
- 実行と改善: 適切な体制で制作・配信を行い、データに基づきPDCAを回す
この一連の流れを意識することで、施策の迷いが消え、顧客に選ばれ続ける資産性の高いマーケティング体制を構築できるようになります。まずは自社の現状がどの状況や工程にあるかを確認し、次にやるべきことは何かを明確にしましょう。
米澤 俊一(よねざわ しゅんいち)
株式会社セールスマーケティングファーム代表
1979年横浜市出身。日本体育大学卒業。
IT企業で4年間Web運営に携わった後2008年に独立。
その後、福井県のベビーリーフ農家へ転身し、独自の営業手法を駆使してわずか2ヶ月でスーパー150店舗、レストラン400店舗との新規取引を開拓。ビニールハウス2棟から33棟への急拡大を牽引。OTAや農業ベンチャーの役員を経て、現在は営業職不在の中小企業を支援する営業代行会社の代表取締役。